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第三章
北へ行く準備
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「ギルド行くの?」
「ああ」
フロランとアルが馬車に乗ろうとしたところでマドレーヌが声をかける。
「私も行くわ。待てる?」
アルは鷹揚に頷きフロランは
「急げよ」
と言って待ってくれるようだ。マドレーヌは急いで部屋に駆け込む。菜園で収穫してきたかぼちゃや芋類を台所に届けることは忘れなかった。今日はマリアンヌの為にかぼちゃのパイを祖母が作るというので頃合いのものを収穫してきたのだ。
「お待たせ」
マドレーヌは長い髪を首筋から三つ編みにし横に垂らす。秋らしい色のチュニックに鹿皮のスパッツでフロラン達の前に現れた。いつもより少しおしゃれなのは侍女の気遣いで会った。ほおっておくとマドレーヌは鹿皮のスパッツに同じような色のチュニックで中性的な容姿をより中性的にみえるようなものを着るからだ。
「今日はやや綺麗にしてるな」
フロランがづけづけという。
「ん。ベルがこれにしろって」
ベルと言うのは最近マドレーヌについている使用人で、マドレーヌを飾る事を趣味にしている。いつもはすっぴんのマドレーヌだが今日はおしろいと薄く色づいた唇をしている。アルは少しどきっとした。
「王都のギルドまで行くけど。マドレーヌはどうする?」
「一緒に行く。夕飯までに帰るよね?」
「どうかな。……このまま酒場で夕飯かも」
フロランは夕食を家族とすることはなくなっている。マドレーヌは理由を知らない。
「そっか。じゃ帰りは徒歩だね」
「暗くなってたら馬車で帰れよ。男二人だしどこかに泊まるかもだしな。少なくとも日暮れ頃にこっちのギルドに俺達がいなかったら馬車使って」
「はーい」
秋の日暮れは早いのでギルドのある街まで行くと館に帰るまでに真っ暗になるからだ。あとは単に冷えるので春や夏の様にギルドで馬を借りて乗って帰るのもなかなかに辛いからだった。御者は街に親族の家があるのでそこで時間を潰して待っていてくれる。
街のギルドから装置を使い王都のギルドに転移する。
「ギルドが開いてない時間に緊急移動の時は神殿の転移装置使うんですよ」
フロランはかしこまり過ぎない態度でアルに説明する。これはアルのリハビリでもあった。なにか起こった時に逃げる時に使える物を説明したり、も兼ねている。実はアルはあまり王都に出た事が無かったので珍しそうに周りを見ている。
「ギルドはどこの国でも同じ空気だな」
「冒険者は根無し草も多いですからね」
マドレーヌは二人が冬用の衣類を買い込んでいるのをじっとみてから
「ちょっと東の商会にいかない?東の食べ物を定食で出してくれるんだって。お昼ご飯にいいかも」
と誘ってくる。
「なんだよ、一人じゃ寂しいのか」
フロランはマドレーヌの頭をぐりぐり撫でる。それまで男二人と一緒にいる美少女を物干しげに眺めていた男たちは『あ、片方は兄弟か。なんか似てるしな』と矛を収める。どう見ても仲の良い兄妹で、男たちの中には故郷の弟妹や兄姉を思い出してしまったものもいた。
「だってフロラン、最近食堂にこないじゃん」
フロランはちょっと眼をそらした。
「あー。エマ様一人で食べさせるのも悪いし。精霊が守護者の樹の所に行きたがるんだよ」
「ああ」
フロランとアルが馬車に乗ろうとしたところでマドレーヌが声をかける。
「私も行くわ。待てる?」
アルは鷹揚に頷きフロランは
「急げよ」
と言って待ってくれるようだ。マドレーヌは急いで部屋に駆け込む。菜園で収穫してきたかぼちゃや芋類を台所に届けることは忘れなかった。今日はマリアンヌの為にかぼちゃのパイを祖母が作るというので頃合いのものを収穫してきたのだ。
「お待たせ」
マドレーヌは長い髪を首筋から三つ編みにし横に垂らす。秋らしい色のチュニックに鹿皮のスパッツでフロラン達の前に現れた。いつもより少しおしゃれなのは侍女の気遣いで会った。ほおっておくとマドレーヌは鹿皮のスパッツに同じような色のチュニックで中性的な容姿をより中性的にみえるようなものを着るからだ。
「今日はやや綺麗にしてるな」
フロランがづけづけという。
「ん。ベルがこれにしろって」
ベルと言うのは最近マドレーヌについている使用人で、マドレーヌを飾る事を趣味にしている。いつもはすっぴんのマドレーヌだが今日はおしろいと薄く色づいた唇をしている。アルは少しどきっとした。
「王都のギルドまで行くけど。マドレーヌはどうする?」
「一緒に行く。夕飯までに帰るよね?」
「どうかな。……このまま酒場で夕飯かも」
フロランは夕食を家族とすることはなくなっている。マドレーヌは理由を知らない。
「そっか。じゃ帰りは徒歩だね」
「暗くなってたら馬車で帰れよ。男二人だしどこかに泊まるかもだしな。少なくとも日暮れ頃にこっちのギルドに俺達がいなかったら馬車使って」
「はーい」
秋の日暮れは早いのでギルドのある街まで行くと館に帰るまでに真っ暗になるからだ。あとは単に冷えるので春や夏の様にギルドで馬を借りて乗って帰るのもなかなかに辛いからだった。御者は街に親族の家があるのでそこで時間を潰して待っていてくれる。
街のギルドから装置を使い王都のギルドに転移する。
「ギルドが開いてない時間に緊急移動の時は神殿の転移装置使うんですよ」
フロランはかしこまり過ぎない態度でアルに説明する。これはアルのリハビリでもあった。なにか起こった時に逃げる時に使える物を説明したり、も兼ねている。実はアルはあまり王都に出た事が無かったので珍しそうに周りを見ている。
「ギルドはどこの国でも同じ空気だな」
「冒険者は根無し草も多いですからね」
マドレーヌは二人が冬用の衣類を買い込んでいるのをじっとみてから
「ちょっと東の商会にいかない?東の食べ物を定食で出してくれるんだって。お昼ご飯にいいかも」
と誘ってくる。
「なんだよ、一人じゃ寂しいのか」
フロランはマドレーヌの頭をぐりぐり撫でる。それまで男二人と一緒にいる美少女を物干しげに眺めていた男たちは『あ、片方は兄弟か。なんか似てるしな』と矛を収める。どう見ても仲の良い兄妹で、男たちの中には故郷の弟妹や兄姉を思い出してしまったものもいた。
「だってフロラン、最近食堂にこないじゃん」
フロランはちょっと眼をそらした。
「あー。エマ様一人で食べさせるのも悪いし。精霊が守護者の樹の所に行きたがるんだよ」
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