71 / 212
第二章
ダンジョン掃除 8
しおりを挟む
「ま、そういう訳だから」
「リュカ、後で〆る」
『司祭さんの帽子』のメンバーの一番いかつい男が宣言した。
「状況説明は最初にしておけ、と言っただろう」
エディが小声で訊ねる。
「あれ?リーダーの指導役でもしてたの?あんたの身内」
ロゼがこともなげに言う。
「ああ、リュカは最初ウチにいたからね。とりあえずこの事態を収めたら飲みに行こう。その時に色々話すよ」
「そうだな」
エディは頷いた。ロゼはにっと笑い言い放つ。
「じゃ、ここから出た翌日、ギルドで落ち合ってデートな」
エディは少々たじろぎながらも同意した。
「くそ」
巨人の皮膚も、獣の毛皮も思った以上に堅い。アルは舌打ちすると己が剣を収めてマジックバッグから鉈を取り出した。
「あ、それはいいね」
他の剣使用者もアルのマネをする。大きな斧を振り回す『司祭さんの帽子』の男性陣は楽し気にわはははと笑いながら楽しそうだ。アルは丁度、ダンジョンコアと巨人が見える位置にいた。
アルの目には巨人の興味が完全にロゼのギルドのメンバーに固定された瞬間にダンジョンコアの色が少し薄れたようにみえた。すべるようにヒーラーのいる場所からモイラが動き、ダンジョンコアの前に陣取った。リーダーは獣の気を引きすぎていて獣がリーダーを執拗に狙っている。それを見てロゼがリュカの横に立って何か言ったと思ったらモイラの元にロゼが走る。リュカはそれを見届けてからペロリと舌で唇を湿らせる。エディもアルもリュカの所に行き二人が思い切り獣の鼻先を殴りつける。少し気がそれたのでエディがリュカにいう。
「今の内にポーション飲んどけ。腹もやられてるだろう」
リュカは頷きごくごくとポーションを飲み干している。エディとアルは息を合わせて同時に左右から獣の顎を鉈と斧で殴りつける。
「いけるから」
そう言ってリュカは獣の首を殴り始めた。獣は前のアルとエディの攻撃、首のリュカ、また胴体を狙う冒険者などどれを攻撃すればわからない程度に混乱してるようだった。そんな中ロゼの声が不思議な大きさでボス部屋に響く。
「今よ」
本気の総攻撃で巨人と獣が沈む。二匹がほぼ同時に沈んだ時、アルはコアの方向から「カシャン」と何かが壊れた音、妙に澄み切った綺麗な音、が響いたのを聞いた。
「まだ安心するなよ」
「ここから走るからね」
リュカの声にかぶせるようにロゼの声がする。
「ドロップ品、全部入ったね?」
ロゼに確認され荷物運搬人は頷いた。
「モイラは俺が背負った」
アルが見るとモイラは疲れ切った顔で『司祭さんの帽子』の男性の一人に背負われていた。また体の大きな男はヒーラーや魔法使いを背負っている。
「じゃ、まずは何も言わず走ってくれ」
リュカの言葉に従い冒険者たちはギルドの伝令が待っているセーフエリアを目指して走った。殿はリュカとアルが勤めた。
「ふひー」
走るのが苦手なエディがセーフエリアの床に膝と手を着いた時リュカとアルもなんとかセーフエリアに走りこんだ。
「見てると良い」
リュカが指さした方向に薄墨の闇が沸きじわじわとコボルトの形を取り始めた。
「リュカ、後で〆る」
『司祭さんの帽子』のメンバーの一番いかつい男が宣言した。
「状況説明は最初にしておけ、と言っただろう」
エディが小声で訊ねる。
「あれ?リーダーの指導役でもしてたの?あんたの身内」
ロゼがこともなげに言う。
「ああ、リュカは最初ウチにいたからね。とりあえずこの事態を収めたら飲みに行こう。その時に色々話すよ」
「そうだな」
エディは頷いた。ロゼはにっと笑い言い放つ。
「じゃ、ここから出た翌日、ギルドで落ち合ってデートな」
エディは少々たじろぎながらも同意した。
「くそ」
巨人の皮膚も、獣の毛皮も思った以上に堅い。アルは舌打ちすると己が剣を収めてマジックバッグから鉈を取り出した。
「あ、それはいいね」
他の剣使用者もアルのマネをする。大きな斧を振り回す『司祭さんの帽子』の男性陣は楽し気にわはははと笑いながら楽しそうだ。アルは丁度、ダンジョンコアと巨人が見える位置にいた。
アルの目には巨人の興味が完全にロゼのギルドのメンバーに固定された瞬間にダンジョンコアの色が少し薄れたようにみえた。すべるようにヒーラーのいる場所からモイラが動き、ダンジョンコアの前に陣取った。リーダーは獣の気を引きすぎていて獣がリーダーを執拗に狙っている。それを見てロゼがリュカの横に立って何か言ったと思ったらモイラの元にロゼが走る。リュカはそれを見届けてからペロリと舌で唇を湿らせる。エディもアルもリュカの所に行き二人が思い切り獣の鼻先を殴りつける。少し気がそれたのでエディがリュカにいう。
「今の内にポーション飲んどけ。腹もやられてるだろう」
リュカは頷きごくごくとポーションを飲み干している。エディとアルは息を合わせて同時に左右から獣の顎を鉈と斧で殴りつける。
「いけるから」
そう言ってリュカは獣の首を殴り始めた。獣は前のアルとエディの攻撃、首のリュカ、また胴体を狙う冒険者などどれを攻撃すればわからない程度に混乱してるようだった。そんな中ロゼの声が不思議な大きさでボス部屋に響く。
「今よ」
本気の総攻撃で巨人と獣が沈む。二匹がほぼ同時に沈んだ時、アルはコアの方向から「カシャン」と何かが壊れた音、妙に澄み切った綺麗な音、が響いたのを聞いた。
「まだ安心するなよ」
「ここから走るからね」
リュカの声にかぶせるようにロゼの声がする。
「ドロップ品、全部入ったね?」
ロゼに確認され荷物運搬人は頷いた。
「モイラは俺が背負った」
アルが見るとモイラは疲れ切った顔で『司祭さんの帽子』の男性の一人に背負われていた。また体の大きな男はヒーラーや魔法使いを背負っている。
「じゃ、まずは何も言わず走ってくれ」
リュカの言葉に従い冒険者たちはギルドの伝令が待っているセーフエリアを目指して走った。殿はリュカとアルが勤めた。
「ふひー」
走るのが苦手なエディがセーフエリアの床に膝と手を着いた時リュカとアルもなんとかセーフエリアに走りこんだ。
「見てると良い」
リュカが指さした方向に薄墨の闇が沸きじわじわとコボルトの形を取り始めた。
7
お気に入りに追加
74
あなたにおすすめの小説

元婚約者が「俺の子を育てろ」と言って来たのでボコろうと思います。
音爽(ネソウ)
恋愛
結婚間近だった彼が使用人の娘と駆け落ちをしてしまった、私は傷心の日々を過ごしたがなんとか前を向くことに。しかし、裏切り行為から3年が経ったある日……
*体調を崩し絶不調につきリハビリ作品です。長い目でお読みいただければ幸いです。

姉から奪うことしかできない妹は、ザマァされました
饕餮
ファンタジー
わたくしは、オフィリア。ジョンパルト伯爵家の長女です。
わたくしには双子の妹がいるのですが、使用人を含めた全員が妹を溺愛するあまり、我儘に育ちました。
しかもわたくしと色違いのものを両親から与えられているにもかかわらず、なぜかわたくしのものを欲しがるのです。
末っ子故に甘やかされ、泣いて喚いて駄々をこね、暴れるという貴族女性としてはあるまじき行為をずっとしてきたからなのか、手に入らないものはないと考えているようです。
そんなあざといどころかあさましい性根を持つ妹ですから、いつの間にか両親も兄も、使用人たちですらも絆されてしまい、たとえ嘘であったとしても妹の言葉を鵜呑みにするようになってしまいました。
それから数年が経ち、学園に入学できる年齢になりました。が、そこで兄と妹は――
n番煎じのよくある妹が姉からものを奪うことしかしない系の話です。
全15話。
※カクヨムでも公開しています

転生ヒロインは不倫が嫌いなので地道な道を選らぶ
karon
ファンタジー
デビュタントドレスを見た瞬間アメリアはかつて好きだった乙女ゲーム「薔薇の言の葉」の世界に転生したことを悟った。
しかし、攻略対象に張り付いた自分より身分の高い悪役令嬢と戦う危険性を考え、攻略対象完全無視でモブとくっつくことを決心、しかし、アメリアの思惑は思わぬ方向に横滑りし。

魅了が解けた貴男から私へ
砂礫レキ
ファンタジー
貴族学園に通う一人の男爵令嬢が第一王子ダレルに魅了の術をかけた。
彼女に操られたダレルは婚約者のコルネリアを憎み罵り続ける。
そして卒業パーティーでとうとう婚約破棄を宣言した。
しかし魅了の術はその場に運良く居た宮廷魔術師に見破られる。
男爵令嬢は処刑されダレルは正気に戻った。
元凶は裁かれコルネリアへの愛を取り戻したダレル。
しかしそんな彼に半年後、今度はコルネリアが婚約破棄を告げた。
三話完結です。


【完結】義妹とやらが現れましたが認めません。〜断罪劇の次世代たち〜
福田 杜季
ファンタジー
侯爵令嬢のセシリアのもとに、ある日突然、義妹だという少女が現れた。
彼女はメリル。父親の友人であった彼女の父が不幸に見舞われ、親族に虐げられていたところを父が引き取ったらしい。
だがこの女、セシリアの父に欲しいものを買わせまくったり、人の婚約者に媚を打ったり、夜会で非常識な言動をくり返して顰蹙を買ったりと、どうしようもない。
「お義姉さま!」 . .
「姉などと呼ばないでください、メリルさん」
しかし、今はまだ辛抱のとき。
セシリアは来たるべき時へ向け、画策する。
──これは、20年前の断罪劇の続き。
喜劇がくり返されたとき、いま一度鉄槌は振り下ろされるのだ。
※ご指摘を受けて題名を変更しました。作者の見通しが甘くてご迷惑をおかけいたします。
旧題『義妹ができましたが大嫌いです。〜断罪劇の次世代たち〜』
※初投稿です。話に粗やご都合主義的な部分があるかもしれません。生あたたかい目で見守ってください。
※本編完結済みで、毎日1話ずつ投稿していきます。
(完結)「君を愛することはない」と言われて……
青空一夏
恋愛
ずっと憧れていた方に嫁げることになった私は、夫となった男性から「君を愛することはない」と言われてしまった。それでも、彼に尽くして温かい家庭をつくるように心がければ、きっと愛してくださるはずだろうと思っていたのよ。ところが、彼には好きな方がいて忘れることができないようだったわ。私は彼を諦めて実家に帰ったほうが良いのかしら?
この物語は憧れていた男性の妻になったけれど冷たくされたお嬢様を守る戦闘侍女たちの活躍と、お嬢様の恋を描いた作品です。
主人公はお嬢様と3人の侍女かも。ヒーローの存在感増すようにがんばります! という感じで、それぞれの視点もあります。
以前書いたもののリメイク版です。多分、かなりストーリーが変わっていくと思うので、新しい作品としてお読みください。
※カクヨム。なろうにも時差投稿します。
※作者独自の世界です。
新しい聖女が見付かったそうなので、天啓に従います!
月白ヤトヒコ
ファンタジー
空腹で眠くて怠い中、王室からの呼び出しを受ける聖女アルム。
そして告げられたのは、新しい聖女の出現。そして、暇を出すから還俗せよとの解雇通告。
新しい聖女は公爵令嬢。そんなお嬢様に、聖女が務まるのかと思った瞬間、アルムは眩い閃光に包まれ――――
自身が使い潰された挙げ句、処刑される未来を視た。
天啓です! と、アルムは――――
表紙と挿し絵はキャラメーカーで作成。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる