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第二章
出立間近
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ウージェーヌは学校の時のクラスメイトの伝手でギルドではない転移の手段を用意してくれた。
『そろそろチェックの入った職員が出てきそうだから』
と訳の判らない言い方をしていたが。
その店は大元は遠い島国の商会だそうだ。異国情緒が溢れるその店にはマドレーヌもアルも知らない調味料や食材が置いてある。
「じゃ、転移前にうちで腹ごしらえしてってくださいな」
その店の女将が『賄いですが』と出してくれたのが『カレー』だった。二人のお付きとしてついてきたエディとエドが大喜びしている。
エドとエディは二人が国に戻ると言い出したので『他所の国を見たい』とついていくと言い出したのだ。天使の一撃のリーダー、エディの姉はマドレーヌ達に頭を下げてエディとエドを連れて行って欲しいという。アルはマドレーヌに相談したがマドレーヌはにっこりと笑って
『殿下の御心のままに』
というだけだった。アルはくらくらする頭を抑えつつ一晩考え二人を連れて行く事にした。
「この国に戻れる保証はできないぞ?」
アルの言葉にエディはにやっと笑う。
「冒険者に何を言ってる?」
エドは
「実地に勝る学習はないですから」
と答えた。
4人で話した時にエドは、小さな小さな村に生まれて、外の世界は月に一度来る行商人だけ。そんな世界で12で村の少女との婚約が決まり、少女が家に着て一緒に過ごし始めた事が正直、気持ち悪くて村で変人と呼ばれている叔父に話した事。叔父がどう話したかは判らないけど、自分と叔父は外に出る事になった事。一昨年までは叔父は村と外部の連絡役をやっていた事。一昨年の秋にふらっと叔父がいなくなりそれからはエドが代理でその連絡役をしていたがマドレーヌを王都まで送っていった時に泊まった宿の女将が後は彼女が連絡その他を受け持つと言ってくれてエドに『外を見てきなさい』と背中を押してくれた事。そんな事を話してくれた。
「貴方のお父さんは文字も読める?」
マドレーヌの問いにエドは頷いた。
「じゃ、こないだの貴族の女の子を国まで護衛して送る。帰宅時期は未定って手紙だけでも送っとくといいよ」
「誰が届けるんですか」
「ギルドが冒険者に頼むでしょう。あ、それともエディとアルの話だとあの私が飛ばされた森には少なくとも天使の一撃は定期的に訓練に行ってるのよね?」
「ああ」
アルとエディが頷く。
「なら天使の一撃のリーダーに頼んでおくといいわ。定期的に山岳訓練に使ってるって事は近隣に挨拶は入れてるでしょう」
天使の一撃のリーダーはエディの年の離れた姉だった。エディは二十代半ばでリーダーとは20才くらい年齢が離れている。リーダー曰くこの3年視力が落ちてきたから自身は事務とかそういう事だけしているという。
「だから現地を仕切ってる人ならあのあたりの村とは繋がってると思うの」
マドレーヌの言葉にエドは納得し。現場を仕切っているギルドのサブマスターに手紙を託した。口数の多くないサブマスターは村長に手紙を渡しギルドの手紙の事を教えておくと約束してくれた。また村に仕送りという事で、エドはギルドの口座をも一つ作り、サブマスターに託した。
「悪くないと思う。……辺境の村は現金収入が少ないからな」
とにっこりした。このサブマスターのお陰でエドは出立前に父、村からの最初の手紙を王都にいる時に受け取った。
「出発に際してうちの国から報酬の半額が出たわ」
出発する日付の1週間前の事だった。
「私たちの国に……というかうちの領地につけば残り半額が支払われるの」
エディとエドは驚いてぽかんとしていた。
『そろそろチェックの入った職員が出てきそうだから』
と訳の判らない言い方をしていたが。
その店は大元は遠い島国の商会だそうだ。異国情緒が溢れるその店にはマドレーヌもアルも知らない調味料や食材が置いてある。
「じゃ、転移前にうちで腹ごしらえしてってくださいな」
その店の女将が『賄いですが』と出してくれたのが『カレー』だった。二人のお付きとしてついてきたエディとエドが大喜びしている。
エドとエディは二人が国に戻ると言い出したので『他所の国を見たい』とついていくと言い出したのだ。天使の一撃のリーダー、エディの姉はマドレーヌ達に頭を下げてエディとエドを連れて行って欲しいという。アルはマドレーヌに相談したがマドレーヌはにっこりと笑って
『殿下の御心のままに』
というだけだった。アルはくらくらする頭を抑えつつ一晩考え二人を連れて行く事にした。
「この国に戻れる保証はできないぞ?」
アルの言葉にエディはにやっと笑う。
「冒険者に何を言ってる?」
エドは
「実地に勝る学習はないですから」
と答えた。
4人で話した時にエドは、小さな小さな村に生まれて、外の世界は月に一度来る行商人だけ。そんな世界で12で村の少女との婚約が決まり、少女が家に着て一緒に過ごし始めた事が正直、気持ち悪くて村で変人と呼ばれている叔父に話した事。叔父がどう話したかは判らないけど、自分と叔父は外に出る事になった事。一昨年までは叔父は村と外部の連絡役をやっていた事。一昨年の秋にふらっと叔父がいなくなりそれからはエドが代理でその連絡役をしていたがマドレーヌを王都まで送っていった時に泊まった宿の女将が後は彼女が連絡その他を受け持つと言ってくれてエドに『外を見てきなさい』と背中を押してくれた事。そんな事を話してくれた。
「貴方のお父さんは文字も読める?」
マドレーヌの問いにエドは頷いた。
「じゃ、こないだの貴族の女の子を国まで護衛して送る。帰宅時期は未定って手紙だけでも送っとくといいよ」
「誰が届けるんですか」
「ギルドが冒険者に頼むでしょう。あ、それともエディとアルの話だとあの私が飛ばされた森には少なくとも天使の一撃は定期的に訓練に行ってるのよね?」
「ああ」
アルとエディが頷く。
「なら天使の一撃のリーダーに頼んでおくといいわ。定期的に山岳訓練に使ってるって事は近隣に挨拶は入れてるでしょう」
天使の一撃のリーダーはエディの年の離れた姉だった。エディは二十代半ばでリーダーとは20才くらい年齢が離れている。リーダー曰くこの3年視力が落ちてきたから自身は事務とかそういう事だけしているという。
「だから現地を仕切ってる人ならあのあたりの村とは繋がってると思うの」
マドレーヌの言葉にエドは納得し。現場を仕切っているギルドのサブマスターに手紙を託した。口数の多くないサブマスターは村長に手紙を渡しギルドの手紙の事を教えておくと約束してくれた。また村に仕送りという事で、エドはギルドの口座をも一つ作り、サブマスターに託した。
「悪くないと思う。……辺境の村は現金収入が少ないからな」
とにっこりした。このサブマスターのお陰でエドは出立前に父、村からの最初の手紙を王都にいる時に受け取った。
「出発に際してうちの国から報酬の半額が出たわ」
出発する日付の1週間前の事だった。
「私たちの国に……というかうちの領地につけば残り半額が支払われるの」
エディとエドは驚いてぽかんとしていた。
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