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幕間
グランサニュー公爵邸の集まり 2
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蝶手紙は双方が同じ石を持っている事、が最初の前提と聞き男たちは落胆していた。
「マドレーヌがそんなもの持ってるとも思えんしなぁ」
「それでもロクサーヌに訊いてみるさ。……って言ってもうちのも同系統だからなぁ」
ウージェーヌとジェラルドはむーんと音がしそうな顔で考えた。
「何を考えてるのか判らないけど……、蝶々のお手紙は届く距離は送る人の魔力量で変わりますからね?」
公爵夫人はウージェーヌとジェラールに教える。
『蝶々のお手紙』は女学生の仲良し同士で親にバレずにやり取りする為の『玩具』であった。そしてそれは魔法師団の売店で買えるという。
『最初は便箋と封筒に術式が織り込まれたものだったんだけど、小さな石に術式を組み込んで好きな便箋と封筒で出来るようになったの。ただその石のものはかなり高価なので持ってるのは貴族子女でかつ仲が良い同士、になってしまうのね、どうしても。庶民や贅沢の出来ない貴族の女の子は普通に便箋と封筒だわ』
夫人の言葉にジェラールとウージェーヌは自分たちの娘の性格を考えて、石持ってない気がするなぁと思っている。
夫人が屋内に戻ると守護者が公爵に語りかける。その蝶手紙とやらを入手しろ、と。理由はつかわれている術の分解をしたい、と。公爵はこいつ何か考えてるな、と屋敷化r少し離れた領都の冒険者ギルドに人をやった、使いの男は言われた通り、いくつかのサンプルをギルド内にある魔法師団の売店で購入してきた。夕食前に公爵派銀の樹の元へ行く。
「何種類か買ってきたぞ」
樹の根本のテーブルにその便箋や封筒、石をおいてと公爵に守護者は指示した。明朝に結果を聞きに来いという。あと、奥方や側妃が持ってきた食事をいくつかテーブルに置いておいて欲しいという。公爵派了承し、すぐに手ずから数種類のパイや焼き物、デザートを皿に盛りテーブルに置いておいた。
夕食に向けた時間、ウージェーヌとジェラール、そしてジョアンとセイラ妃は雑談をしている。ウージェーヌが最近の個人あての手紙が王宮でチェックされていて開封をしようとしているのが『聖女』だと告げる。
「どうもマドレーヌから頻繁に個人認証手紙が来てるのが気になっているらしくてね」
「ギルドからうちまでの間に王宮が間にあるって事かしら」
ジョアンが言う。ジェラールが深く溜息をつく。
「うちの妹がまだウージェーヌを諦めてなくてな……」
「そう、ですか……」
セイラ妃が小さく呟く。
「なんて言うのかな。彼女と聖女って……ぶっちゃけ黒魔法にわりあいと長けてるからこういう個人的な手紙とかいくらでも開封出来てると思うんだよね。側妃様達の手紙とか大丈夫?」
「え、……正妃様が来られてから暫く側妃宮に手紙や荷物が届かなくて陛下が対応してくださったのです。その時の開封してあった手紙の魔術痕は聖女様だったので陛下があいつらには関わるなと私たちにきつく申されて」
「で、セイラ妃が魔法陣の羊皮紙とかアルマン王子の寝室で感じた魔術痕ってそれと一致したって事?」
これはウージェーヌの推量であったが、かなりためらった後セイラ妃は頷いた。
「そのことがあったから王子や姫達も側妃宮で育てる事にした?」
それは銀の樹の守護者からの要請でもあった。ウージェーヌはlplpまでをほぼ推量だけで話しているがジョアンもジェラルドも『当たり前』だと思っている。こいつはそういう奴である、と。ジョアンに至っては次男や巣エムズ目の衝動性を嘆くウージェーヌを見かけると『貴方の血です』と思っている。
「それは……助言があったので。あの結界があるが故に……正妃様達を中に入れないようにと……」
「賢明な方ですね」
ジョアンがにっこり笑う。性急に話を進める夫をけん制する意味もあった。
「そろそろ女性はディナーの用意をしたいのだけど」
ジョアンの言葉でジェラールがはっとなった。
「これは失礼。男性も用意した方がいいですね。
ジェラールは有無を言わさずウージェーヌを引きずっていった。
「マドレーヌがそんなもの持ってるとも思えんしなぁ」
「それでもロクサーヌに訊いてみるさ。……って言ってもうちのも同系統だからなぁ」
ウージェーヌとジェラルドはむーんと音がしそうな顔で考えた。
「何を考えてるのか判らないけど……、蝶々のお手紙は届く距離は送る人の魔力量で変わりますからね?」
公爵夫人はウージェーヌとジェラールに教える。
『蝶々のお手紙』は女学生の仲良し同士で親にバレずにやり取りする為の『玩具』であった。そしてそれは魔法師団の売店で買えるという。
『最初は便箋と封筒に術式が織り込まれたものだったんだけど、小さな石に術式を組み込んで好きな便箋と封筒で出来るようになったの。ただその石のものはかなり高価なので持ってるのは貴族子女でかつ仲が良い同士、になってしまうのね、どうしても。庶民や贅沢の出来ない貴族の女の子は普通に便箋と封筒だわ』
夫人の言葉にジェラールとウージェーヌは自分たちの娘の性格を考えて、石持ってない気がするなぁと思っている。
夫人が屋内に戻ると守護者が公爵に語りかける。その蝶手紙とやらを入手しろ、と。理由はつかわれている術の分解をしたい、と。公爵はこいつ何か考えてるな、と屋敷化r少し離れた領都の冒険者ギルドに人をやった、使いの男は言われた通り、いくつかのサンプルをギルド内にある魔法師団の売店で購入してきた。夕食前に公爵派銀の樹の元へ行く。
「何種類か買ってきたぞ」
樹の根本のテーブルにその便箋や封筒、石をおいてと公爵に守護者は指示した。明朝に結果を聞きに来いという。あと、奥方や側妃が持ってきた食事をいくつかテーブルに置いておいて欲しいという。公爵派了承し、すぐに手ずから数種類のパイや焼き物、デザートを皿に盛りテーブルに置いておいた。
夕食に向けた時間、ウージェーヌとジェラール、そしてジョアンとセイラ妃は雑談をしている。ウージェーヌが最近の個人あての手紙が王宮でチェックされていて開封をしようとしているのが『聖女』だと告げる。
「どうもマドレーヌから頻繁に個人認証手紙が来てるのが気になっているらしくてね」
「ギルドからうちまでの間に王宮が間にあるって事かしら」
ジョアンが言う。ジェラールが深く溜息をつく。
「うちの妹がまだウージェーヌを諦めてなくてな……」
「そう、ですか……」
セイラ妃が小さく呟く。
「なんて言うのかな。彼女と聖女って……ぶっちゃけ黒魔法にわりあいと長けてるからこういう個人的な手紙とかいくらでも開封出来てると思うんだよね。側妃様達の手紙とか大丈夫?」
「え、……正妃様が来られてから暫く側妃宮に手紙や荷物が届かなくて陛下が対応してくださったのです。その時の開封してあった手紙の魔術痕は聖女様だったので陛下があいつらには関わるなと私たちにきつく申されて」
「で、セイラ妃が魔法陣の羊皮紙とかアルマン王子の寝室で感じた魔術痕ってそれと一致したって事?」
これはウージェーヌの推量であったが、かなりためらった後セイラ妃は頷いた。
「そのことがあったから王子や姫達も側妃宮で育てる事にした?」
それは銀の樹の守護者からの要請でもあった。ウージェーヌはlplpまでをほぼ推量だけで話しているがジョアンもジェラルドも『当たり前』だと思っている。こいつはそういう奴である、と。ジョアンに至っては次男や巣エムズ目の衝動性を嘆くウージェーヌを見かけると『貴方の血です』と思っている。
「それは……助言があったので。あの結界があるが故に……正妃様達を中に入れないようにと……」
「賢明な方ですね」
ジョアンがにっこり笑う。性急に話を進める夫をけん制する意味もあった。
「そろそろ女性はディナーの用意をしたいのだけど」
ジョアンの言葉でジェラールがはっとなった。
「これは失礼。男性も用意した方がいいですね。
ジェラールは有無を言わさずウージェーヌを引きずっていった。
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