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幕間
グランサニュー公爵邸の集まり 1
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各辺境伯が自慢の軽食えお集めたテーブルは今は酒ではなくお茶を嗜んでいる。
「ぬしから話があるとな?」
グランサニュー公爵から促されベルティエ公爵は第一王子の失踪を告げた。ウージェーヌ以外の辺境伯と公爵は異口同音だった。
「出奔したか」
皆がそう言ったのにベルティエ公爵は驚いた。
「何故そう思うんですか?」
「あの坊主、実行力があるからな。王宮が気に入らなんだら出て行くだろ」
グランサニュー公爵はアルマンの事をそう評価した。ここでウージェーヌが報告を続ける。
「何がどうあったのか知らないが、うちの末っ子が現地でアルマン王子と合流したらしい」
銀の樹の葉が風もないのに揺れている。グランサニュー公爵には守護者の馬鹿笑いが聞こえている。
「マドレーヌちゃんかぁ」
北の公爵も笑っている。
「どうにもうちの娘、問題の真ん中に突っ込んでいくのか……」
ウージェーヌの嘆きにジェラールは心底同情と同意を感じる。
「一応、金を稼ぎながら北上して中央大砂漠から砂の国、砂の国から虎人国、冒険者自治区にむかうと」
「わしが旅費をだすからあの国から砂の国まで護衛してもらって」
公爵の申出にウージェーヌは首を横に振った。
「うちの娘、たぶんこの旅で冒険者としての力試しをするつもりなのではと」
「しかし王族と一緒なのに」
ジェラールが心配そうだ。
「……アルマン王子もこの数年、冒険者として生きて来たらしくて。『帰りながら他の国を見てくる』と」
ウージェーヌはギルドを通した最新の手紙を見せる。これも個人認証の魔術をかけてあったが途中で王宮に持ち込まれた事をジェラールとウージェーヌが雇った人間がチェックしている。アルマンからの手紙には黒百合の印が黒々と押されている。
女性達は別の場所で楽しくお茶をしていた。セイラ妃は妹と本当に久しぶりに会って感激のあまり言葉も出ないようだった。ミシェル妃は遠縁であるグランサニュー公爵夫人と実家絡みのこまごまとしたことをお互い報告している。
「陛下は明日いらっしゃるの?」
公爵夫人におっとりとと訊ねられてミシェル妃は首を横に振る。
「今日の夕食にお忍びでいらっしゃるって。昼間は会議があるし」
「あら、うちの人行かなくて良かったのかしら」
「……行くべきだとは思いますが」
ソフィア妃とウージェーヌの妻、ジョアンは角ウサギの肉に関しての話が弾んでいるようだった。第四側妃と第五側妃はこれを機にと里帰りをしている。
ジョアンはこの国の人間ではあるが親の仕事の都合で他国で育っている。それはソフィア妃の故郷で、他国の子爵令嬢とは触れ合う事はなかったが、貴族学園に同時期にいたという事が今回わかったので二人は大盛り上がりだった。
そっと公爵が妻を呼ぶ。
「何、あなた?」
「女学生の間で流行っていた蝶手紙だか鳩手紙だかの仕組みを説明できるか?」
「できますけど……、男の方、何の話をしてるの?」
そう言いながらも夫人はいそいそと夫に着いていく。ミシェル妃はそれを見て呟く。
「相変わらず仲がよろしいですわね」
「ぬしから話があるとな?」
グランサニュー公爵から促されベルティエ公爵は第一王子の失踪を告げた。ウージェーヌ以外の辺境伯と公爵は異口同音だった。
「出奔したか」
皆がそう言ったのにベルティエ公爵は驚いた。
「何故そう思うんですか?」
「あの坊主、実行力があるからな。王宮が気に入らなんだら出て行くだろ」
グランサニュー公爵はアルマンの事をそう評価した。ここでウージェーヌが報告を続ける。
「何がどうあったのか知らないが、うちの末っ子が現地でアルマン王子と合流したらしい」
銀の樹の葉が風もないのに揺れている。グランサニュー公爵には守護者の馬鹿笑いが聞こえている。
「マドレーヌちゃんかぁ」
北の公爵も笑っている。
「どうにもうちの娘、問題の真ん中に突っ込んでいくのか……」
ウージェーヌの嘆きにジェラールは心底同情と同意を感じる。
「一応、金を稼ぎながら北上して中央大砂漠から砂の国、砂の国から虎人国、冒険者自治区にむかうと」
「わしが旅費をだすからあの国から砂の国まで護衛してもらって」
公爵の申出にウージェーヌは首を横に振った。
「うちの娘、たぶんこの旅で冒険者としての力試しをするつもりなのではと」
「しかし王族と一緒なのに」
ジェラールが心配そうだ。
「……アルマン王子もこの数年、冒険者として生きて来たらしくて。『帰りながら他の国を見てくる』と」
ウージェーヌはギルドを通した最新の手紙を見せる。これも個人認証の魔術をかけてあったが途中で王宮に持ち込まれた事をジェラールとウージェーヌが雇った人間がチェックしている。アルマンからの手紙には黒百合の印が黒々と押されている。
女性達は別の場所で楽しくお茶をしていた。セイラ妃は妹と本当に久しぶりに会って感激のあまり言葉も出ないようだった。ミシェル妃は遠縁であるグランサニュー公爵夫人と実家絡みのこまごまとしたことをお互い報告している。
「陛下は明日いらっしゃるの?」
公爵夫人におっとりとと訊ねられてミシェル妃は首を横に振る。
「今日の夕食にお忍びでいらっしゃるって。昼間は会議があるし」
「あら、うちの人行かなくて良かったのかしら」
「……行くべきだとは思いますが」
ソフィア妃とウージェーヌの妻、ジョアンは角ウサギの肉に関しての話が弾んでいるようだった。第四側妃と第五側妃はこれを機にと里帰りをしている。
ジョアンはこの国の人間ではあるが親の仕事の都合で他国で育っている。それはソフィア妃の故郷で、他国の子爵令嬢とは触れ合う事はなかったが、貴族学園に同時期にいたという事が今回わかったので二人は大盛り上がりだった。
そっと公爵が妻を呼ぶ。
「何、あなた?」
「女学生の間で流行っていた蝶手紙だか鳩手紙だかの仕組みを説明できるか?」
「できますけど……、男の方、何の話をしてるの?」
そう言いながらも夫人はいそいそと夫に着いていく。ミシェル妃はそれを見て呟く。
「相変わらず仲がよろしいですわね」
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