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第一章
ウージェーヌからアルへの手紙
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マドレーヌに思っても見ない相手からギルドに手紙が届いていた。実家の領地によく来る冒険者集団の長からの手紙だった。
手紙の中を見てマドレーヌは納得した。父親の筆跡だったからだ。四つ折りの手紙がもう一つ別に入っていてアルに渡せと指示があった。マドレーヌは人が見ていないところで四つ折りの手紙に個人認証の魔法を四つ折りの紙にかけた。万が一落としても大丈夫なように、と。ギルドにはアルが居なかったので天使の一撃のいる居酒屋を覗くがそこにも居なかった。マドレーヌは行きにくいと思いながら天使の一撃のギルドハウスに向かった。
「お、嬢ちゃん、どうした?」
「アルに届け物」
「そうかぁ。どうだ?部屋は入ってみた?」
「まだ。エディが洗濯してるの見たから見に来た」
マドレーヌがそう言うと洗濯ものの影からひょこっとエドが顔をだした。
「俺も手伝ってる」
「このギルドに入ったの?」
マドレーヌに聞かれてエドは答える。
「仮だけど。今度ここの新人数人で昇格試験受ける」
「GからFだな」
エディが最期の一枚のシーツを干し終わった。
「予備のシーツも洗っておこうと思ってな。匂い減らしたらここで寝る奴も増えてな」
エディは嬉しそうだ。魔法が使える人間が順番でクリーンをかけているし、ウォッシュは抵抗があるという人間が居たので洗濯は順番制にしたのだとか。
「なんでウォッシュ抵抗あるんだろう?」
「なんでも魔法で片づけるのはな、っていう肉体派のやつらと、遠征の間ずっとウォッシュやクリアかけられてる奴らが仕事じゃない時でまで……ってな」
「そんなものなのね……」
マドレーヌが首を傾げていると、アルがそこにやってきた。
「あんたに用事だと」
エディとエドはそそくさと二人を洗濯ものの影において中に戻っていった。アルもマドレーヌもエドとエディが二人の恋路を邪魔してはいけないと誤解してるなどとつゆほどにも思っていなかった。マドレーヌは母国語でアルに告げる。
「父から返事」
マドレーヌはアルが読むのを待った。アルが呟く。
「……二人で秘密裡に帰れるかと」
マドレーヌもそう言う指示を父親から受けている。
「そう。……一度狙われた貴方が狙われないと限らないからって」
「君はどういうルートを取るつもりなんだ?」
「まずは依頼を受けつつ中央大砂漠の手前に国まで行って」
「うん」
「砂漠の縁を使って砂の国。砂の国の港まで依頼を受けながら向かって、そこから虎人国に入って、虎人国の港からは冒険者自治区まで、は考えてる。そこから先は父親と相談、かな」
「冒険者自治区?」
アルは初めて聞く単語だった。
「元はどこかの国だった所で大きなダンジョンがあるんだって。その一帯を冒険者ギルドが買い取って、冒険者ギルドの本部がある、って」
「そんなところがあるのか」
アルは驚いていた。
「そこからだと最悪、北の山を利用して北の侯爵様の領地に出られるし」
「なんでそんなに詳しいのだ?」
「辺境にいると冒険者たちとの接触は代々だしね。そうすると、冒険者の情報も蓄積されうしギルドとも連携してるしね」
マドレーヌは当たり前の様に言う。
「俺、そういう話は知らなかったな」
アルが呟く。
「王都に住まう王族は冒険者との接触なんてないもの」
アルはその時マドレーヌはアルの出自を知ってるんだなと悟った。
手紙の中を見てマドレーヌは納得した。父親の筆跡だったからだ。四つ折りの手紙がもう一つ別に入っていてアルに渡せと指示があった。マドレーヌは人が見ていないところで四つ折りの手紙に個人認証の魔法を四つ折りの紙にかけた。万が一落としても大丈夫なように、と。ギルドにはアルが居なかったので天使の一撃のいる居酒屋を覗くがそこにも居なかった。マドレーヌは行きにくいと思いながら天使の一撃のギルドハウスに向かった。
「お、嬢ちゃん、どうした?」
「アルに届け物」
「そうかぁ。どうだ?部屋は入ってみた?」
「まだ。エディが洗濯してるの見たから見に来た」
マドレーヌがそう言うと洗濯ものの影からひょこっとエドが顔をだした。
「俺も手伝ってる」
「このギルドに入ったの?」
マドレーヌに聞かれてエドは答える。
「仮だけど。今度ここの新人数人で昇格試験受ける」
「GからFだな」
エディが最期の一枚のシーツを干し終わった。
「予備のシーツも洗っておこうと思ってな。匂い減らしたらここで寝る奴も増えてな」
エディは嬉しそうだ。魔法が使える人間が順番でクリーンをかけているし、ウォッシュは抵抗があるという人間が居たので洗濯は順番制にしたのだとか。
「なんでウォッシュ抵抗あるんだろう?」
「なんでも魔法で片づけるのはな、っていう肉体派のやつらと、遠征の間ずっとウォッシュやクリアかけられてる奴らが仕事じゃない時でまで……ってな」
「そんなものなのね……」
マドレーヌが首を傾げていると、アルがそこにやってきた。
「あんたに用事だと」
エディとエドはそそくさと二人を洗濯ものの影において中に戻っていった。アルもマドレーヌもエドとエディが二人の恋路を邪魔してはいけないと誤解してるなどとつゆほどにも思っていなかった。マドレーヌは母国語でアルに告げる。
「父から返事」
マドレーヌはアルが読むのを待った。アルが呟く。
「……二人で秘密裡に帰れるかと」
マドレーヌもそう言う指示を父親から受けている。
「そう。……一度狙われた貴方が狙われないと限らないからって」
「君はどういうルートを取るつもりなんだ?」
「まずは依頼を受けつつ中央大砂漠の手前に国まで行って」
「うん」
「砂漠の縁を使って砂の国。砂の国の港まで依頼を受けながら向かって、そこから虎人国に入って、虎人国の港からは冒険者自治区まで、は考えてる。そこから先は父親と相談、かな」
「冒険者自治区?」
アルは初めて聞く単語だった。
「元はどこかの国だった所で大きなダンジョンがあるんだって。その一帯を冒険者ギルドが買い取って、冒険者ギルドの本部がある、って」
「そんなところがあるのか」
アルは驚いていた。
「そこからだと最悪、北の山を利用して北の侯爵様の領地に出られるし」
「なんでそんなに詳しいのだ?」
「辺境にいると冒険者たちとの接触は代々だしね。そうすると、冒険者の情報も蓄積されうしギルドとも連携してるしね」
マドレーヌは当たり前の様に言う。
「俺、そういう話は知らなかったな」
アルが呟く。
「王都に住まう王族は冒険者との接触なんてないもの」
アルはその時マドレーヌはアルの出自を知ってるんだなと悟った。
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