悪役令嬢、冒険者になる 【完結】

あくの

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第一章

エドの武器選び

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 「返事来ないな」

3日たっておと沙汰がないので今は魔獣退治の時期だし仕方ないか、とマドレーヌは思った。
 アルとはギルドで目が会うとお互い目礼を返すが会話はしていない。エドとエディはそんな二人をにやにやと見守っていた。

「じゃ、エド。武器の使い方をいくつか教えるからそこで合うものを見つけると良い」

今日はエディがエドに冒険者ギルドの訓練場で基礎的な武器の使い方を教えている。暇だったマドレーヌもその様子を見に来ていた。エドを見ながらエディはマドレーヌに話しかける。

「嬢ちゃんは武器は何が得意だ」

「得意なのは短弓、短剣、ショートアックス。長剣もレイピアも学校の成績は良いけどあの二つを私は実戦武器として有効利用出来ないからね」

「実戦?」

「あ、実家が辺境でね。魔獣が出るから退治をするのが一族の仕事なの。で、私は短弓とか使う。長兄が使うと長剣も凄く的確に武器なんだけど」

「破壊力だと長弓とかじゃないのか?」

「私の体格と力じゃいまいち」

エドは長剣を振りながら二人は意外と気があってるな、と思っている。



 「じゃ、エド。遠隔武器を決めようか」

エディがギルドの標準的な弓やらボウガンやら出してくる。

「このあたりで始めて使いこなせてからグレードアップな」

エディがエドの考えを見透かすかの様に言う。エドはマドレーヌが持ってるような弓が欲しいと思っていたのだ。

「言っとくが嬢ちゃんのは弓がいいからじゃないぞ、腕が良いんだよ」

諭すように言う。

「な、嬢ちゃん。この初心者用の弓でちょっと試射してくれるか?」

何の変哲もない、柔らかめの木の短弓。これなら子供の時に散々使った、とエドは思っている。

「全部の的使うのもなんだしね」

マドレーヌは的の中心線を上から下、左から右と綺麗に埋める。的には綺麗な十字が出来あがっていた。

「この柔らかさだとエドの体格じゃものたりないかも。もう一段上の短弓かクロスボウの方が向いてるかもね?」

「クロスボウなぁ。おらぁ、最初の武器にクロスボウは勧めんのだよ。……理由はわかるよな?」

マドレーヌは問われて頷く。

「弾代がかかりやがる、一番初心者用の弾でも99個で銅貨25枚かかるだろう。それだけの金を楽に払えるようになった時にはクロスボウも次の段階に行ってるだろうし」

「あー、武器屋に鉛とかで弾を作るセットないの?」

「あれだって金がかかる。初期だと木の矢なら99本、銅貨10枚だ。コストが全然違う」

マドレーヌも同意せざるを得なかった。エドは目を白黒している。

「んんんん。俺の所属してるギルドのギルドハウスに来ないか。あっちだと練習用のこの弓よりちょっと上級もあるし」

やっとエドが言葉を発した。

「そもそも俺、初心者用の短弓はもう卒業してるんだ。村の手作りの弓だけど」

「弓は経験済みか。ならちょっとこの弓と矢で的をうってくれないか。ギルドハウスで出す弓のあたりをつける」

エドは久しぶりの弓の感触を懐かしいと思った。が、思った以上に弓が柔らかく3度目で弦を切ってしまった。

「うーん。とりあえず、何となくだがあたりはついたな。嬢ちゃんもくるかい?」

「そうね。顛末をみたいわ」

こうしてエディ、エド、マドレーヌの三人は連れ立って天使の一撃のギルドハウスに向かった。
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