30 / 212
第一章
エドの武器選び
しおりを挟む
「返事来ないな」
3日たっておと沙汰がないので今は魔獣退治の時期だし仕方ないか、とマドレーヌは思った。
アルとはギルドで目が会うとお互い目礼を返すが会話はしていない。エドとエディはそんな二人をにやにやと見守っていた。
「じゃ、エド。武器の使い方をいくつか教えるからそこで合うものを見つけると良い」
今日はエディがエドに冒険者ギルドの訓練場で基礎的な武器の使い方を教えている。暇だったマドレーヌもその様子を見に来ていた。エドを見ながらエディはマドレーヌに話しかける。
「嬢ちゃんは武器は何が得意だ」
「得意なのは短弓、短剣、ショートアックス。長剣もレイピアも学校の成績は良いけどあの二つを私は実戦武器として有効利用出来ないからね」
「実戦?」
「あ、実家が辺境でね。魔獣が出るから退治をするのが一族の仕事なの。で、私は短弓とか使う。長兄が使うと長剣も凄く的確に武器なんだけど」
「破壊力だと長弓とかじゃないのか?」
「私の体格と力じゃいまいち」
エドは長剣を振りながら二人は意外と気があってるな、と思っている。
「じゃ、エド。遠隔武器を決めようか」
エディがギルドの標準的な弓やらボウガンやら出してくる。
「このあたりで始めて使いこなせてからグレードアップな」
エディがエドの考えを見透かすかの様に言う。エドはマドレーヌが持ってるような弓が欲しいと思っていたのだ。
「言っとくが嬢ちゃんのは弓がいいからじゃないぞ、腕が良いんだよ」
諭すように言う。
「な、嬢ちゃん。この初心者用の弓でちょっと試射してくれるか?」
何の変哲もない、柔らかめの木の短弓。これなら子供の時に散々使った、とエドは思っている。
「全部の的使うのもなんだしね」
マドレーヌは的の中心線を上から下、左から右と綺麗に埋める。的には綺麗な十字が出来あがっていた。
「この柔らかさだとエドの体格じゃものたりないかも。もう一段上の短弓かクロスボウの方が向いてるかもね?」
「クロスボウなぁ。おらぁ、最初の武器にクロスボウは勧めんのだよ。……理由はわかるよな?」
マドレーヌは問われて頷く。
「弾代がかかりやがる、一番初心者用の弾でも99個で銅貨25枚かかるだろう。それだけの金を楽に払えるようになった時にはクロスボウも次の段階に行ってるだろうし」
「あー、武器屋に鉛とかで弾を作るセットないの?」
「あれだって金がかかる。初期だと木の矢なら99本、銅貨10枚だ。コストが全然違う」
マドレーヌも同意せざるを得なかった。エドは目を白黒している。
「んんんん。俺の所属してるギルドのギルドハウスに来ないか。あっちだと練習用のこの弓よりちょっと上級もあるし」
やっとエドが言葉を発した。
「そもそも俺、初心者用の短弓はもう卒業してるんだ。村の手作りの弓だけど」
「弓は経験済みか。ならちょっとこの弓と矢で的をうってくれないか。ギルドハウスで出す弓のあたりをつける」
エドは久しぶりの弓の感触を懐かしいと思った。が、思った以上に弓が柔らかく3度目で弦を切ってしまった。
「うーん。とりあえず、何となくだがあたりはついたな。嬢ちゃんもくるかい?」
「そうね。顛末をみたいわ」
こうしてエディ、エド、マドレーヌの三人は連れ立って天使の一撃のギルドハウスに向かった。
3日たっておと沙汰がないので今は魔獣退治の時期だし仕方ないか、とマドレーヌは思った。
アルとはギルドで目が会うとお互い目礼を返すが会話はしていない。エドとエディはそんな二人をにやにやと見守っていた。
「じゃ、エド。武器の使い方をいくつか教えるからそこで合うものを見つけると良い」
今日はエディがエドに冒険者ギルドの訓練場で基礎的な武器の使い方を教えている。暇だったマドレーヌもその様子を見に来ていた。エドを見ながらエディはマドレーヌに話しかける。
「嬢ちゃんは武器は何が得意だ」
「得意なのは短弓、短剣、ショートアックス。長剣もレイピアも学校の成績は良いけどあの二つを私は実戦武器として有効利用出来ないからね」
「実戦?」
「あ、実家が辺境でね。魔獣が出るから退治をするのが一族の仕事なの。で、私は短弓とか使う。長兄が使うと長剣も凄く的確に武器なんだけど」
「破壊力だと長弓とかじゃないのか?」
「私の体格と力じゃいまいち」
エドは長剣を振りながら二人は意外と気があってるな、と思っている。
「じゃ、エド。遠隔武器を決めようか」
エディがギルドの標準的な弓やらボウガンやら出してくる。
「このあたりで始めて使いこなせてからグレードアップな」
エディがエドの考えを見透かすかの様に言う。エドはマドレーヌが持ってるような弓が欲しいと思っていたのだ。
「言っとくが嬢ちゃんのは弓がいいからじゃないぞ、腕が良いんだよ」
諭すように言う。
「な、嬢ちゃん。この初心者用の弓でちょっと試射してくれるか?」
何の変哲もない、柔らかめの木の短弓。これなら子供の時に散々使った、とエドは思っている。
「全部の的使うのもなんだしね」
マドレーヌは的の中心線を上から下、左から右と綺麗に埋める。的には綺麗な十字が出来あがっていた。
「この柔らかさだとエドの体格じゃものたりないかも。もう一段上の短弓かクロスボウの方が向いてるかもね?」
「クロスボウなぁ。おらぁ、最初の武器にクロスボウは勧めんのだよ。……理由はわかるよな?」
マドレーヌは問われて頷く。
「弾代がかかりやがる、一番初心者用の弾でも99個で銅貨25枚かかるだろう。それだけの金を楽に払えるようになった時にはクロスボウも次の段階に行ってるだろうし」
「あー、武器屋に鉛とかで弾を作るセットないの?」
「あれだって金がかかる。初期だと木の矢なら99本、銅貨10枚だ。コストが全然違う」
マドレーヌも同意せざるを得なかった。エドは目を白黒している。
「んんんん。俺の所属してるギルドのギルドハウスに来ないか。あっちだと練習用のこの弓よりちょっと上級もあるし」
やっとエドが言葉を発した。
「そもそも俺、初心者用の短弓はもう卒業してるんだ。村の手作りの弓だけど」
「弓は経験済みか。ならちょっとこの弓と矢で的をうってくれないか。ギルドハウスで出す弓のあたりをつける」
エドは久しぶりの弓の感触を懐かしいと思った。が、思った以上に弓が柔らかく3度目で弦を切ってしまった。
「うーん。とりあえず、何となくだがあたりはついたな。嬢ちゃんもくるかい?」
「そうね。顛末をみたいわ」
こうしてエディ、エド、マドレーヌの三人は連れ立って天使の一撃のギルドハウスに向かった。
33
あなたにおすすめの小説
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
他国から来た王妃ですが、冷遇? 私にとっては厚遇すぎます!
七辻ゆゆ
ファンタジー
人質同然でやってきたというのに、出されるご飯は母国より美味しいし、嫌味な上司もいないから掃除洗濯毎日楽しいのですが!?
城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?
甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。
友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。
マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に……
そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり……
武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語
聖女を怒らせたら・・・
朝山みどり
ファンタジー
ある国が聖樹を浄化して貰うために聖女を召喚した。仕事を終わらせれば帰れるならと聖女は浄化の旅に出た。浄化の旅は辛く、聖樹の浄化も大変だったが聖女は頑張った。聖女のそばでは王子も励ました。やがて二人はお互いに心惹かれるようになったが・・・
〈完結〉妹に婚約者を獲られた私は実家に居ても何なので、帝都でドレスを作ります。
江戸川ばた散歩
ファンタジー
「私」テンダー・ウッドマンズ伯爵令嬢は両親から婚約者を妹に渡せ、と言われる。
了承した彼女は帝都でドレスメーカーの独立工房をやっている叔母のもとに行くことにする。
テンダーがあっさりと了承し、家を離れるのには理由があった。
それは三つ下の妹が生まれて以来の両親の扱いの差だった。
やがてテンダーは叔母のもとで服飾を学び、ついには?
100話まではヒロインのテンダー視点、幕間と101話以降は俯瞰視点となります。
200話で完結しました。
今回はあとがきは無しです。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる