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三章 ペイン
二
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低層には知能の低いモンスターしかいないので、必然的にノーイもそれ相応の対応をするしかない。とはいえ、不定形の存在でノーイに逆らえるものなんて、数える程しかいないので――少しばかり正体をはみ出させておくだけでいい。
しかし、飢えている場合は正体を見せようが何をしようが本能のまま向かってくるため、魔除けの霧吹きが必須である。つまり何が言いたいのかというと、
「こら! 帰れ! 戻れ!」
全身鎧にそぐわない素早さで、しゅっしゅと魔除けの霧吹きを連射しながら触手壁の間を進んでいくノーイ。現在の低層四番通路(勤勉な性質の主は、ダンジョンの構造を定期的に一新している)は、煉瓦壁に擬態した触手壁の巣。みちみちと触手を伸ばして迫り来る壁たちは魔除けの効果を持つ水をかけられて逃げていき、後に残るは伝言にあった障害物らしきもの。
「……何だこれ?」
触手壁が滑らかに動けるように作られた溝の中に、きらきらと光る鉱石めいた塊。なるほど、これがあるから触手壁たちは触手を伸ばして無理矢理迫ってきていたらしい。再び伸びてきた触手に魔除けの霧吹きを向けて発射したノーイは、その塊を拾い上げ、鎧の隙間から口の中に放り込んだ。
「ん、んんー……? あれか、粘液と何かが妙な反応してるな……?」
体内で塊を分解し、解析する。大部分は触手自身が発している粘液のようだが、それが固体化する作用を持つ何かが混ざっているようだ。ノーイは粘液とそれを分離させ、口から吐き出した。
「石化の瞳……?」
レアアイテムでもあり、アーティファクトでもある。見た目は蛇の目のような宝石で、効果は名前の通り、その輝きに魅入られたものを石化させるというもの。
どこからみても瞳孔のような筋が光る宝石を、ノーイは物珍しそうに検分する。これは基本的に、肉体変化系の呪魔法なのでノーイには効かないし、そもそもノーイは宝石に魅了されるような感性がない。花束より串焼きである。
「お前らこれで石になったっけ? ていうか、お前らこれ食べちゃったの? どこで?」
勿論、宝石を美しいと思う知性のない触手にも効果はない、はずだ。とはいえ、触手に対して石化の瞳を使った事例は少なく、石化の瞳を取り込んだ触手壁の事例に至っては皆無であるため、絶対にないとは言い切れない。ノーイはその宝石を自身のインベントリに収納してから帰路についた。
しかし、飢えている場合は正体を見せようが何をしようが本能のまま向かってくるため、魔除けの霧吹きが必須である。つまり何が言いたいのかというと、
「こら! 帰れ! 戻れ!」
全身鎧にそぐわない素早さで、しゅっしゅと魔除けの霧吹きを連射しながら触手壁の間を進んでいくノーイ。現在の低層四番通路(勤勉な性質の主は、ダンジョンの構造を定期的に一新している)は、煉瓦壁に擬態した触手壁の巣。みちみちと触手を伸ばして迫り来る壁たちは魔除けの効果を持つ水をかけられて逃げていき、後に残るは伝言にあった障害物らしきもの。
「……何だこれ?」
触手壁が滑らかに動けるように作られた溝の中に、きらきらと光る鉱石めいた塊。なるほど、これがあるから触手壁たちは触手を伸ばして無理矢理迫ってきていたらしい。再び伸びてきた触手に魔除けの霧吹きを向けて発射したノーイは、その塊を拾い上げ、鎧の隙間から口の中に放り込んだ。
「ん、んんー……? あれか、粘液と何かが妙な反応してるな……?」
体内で塊を分解し、解析する。大部分は触手自身が発している粘液のようだが、それが固体化する作用を持つ何かが混ざっているようだ。ノーイは粘液とそれを分離させ、口から吐き出した。
「石化の瞳……?」
レアアイテムでもあり、アーティファクトでもある。見た目は蛇の目のような宝石で、効果は名前の通り、その輝きに魅入られたものを石化させるというもの。
どこからみても瞳孔のような筋が光る宝石を、ノーイは物珍しそうに検分する。これは基本的に、肉体変化系の呪魔法なのでノーイには効かないし、そもそもノーイは宝石に魅了されるような感性がない。花束より串焼きである。
「お前らこれで石になったっけ? ていうか、お前らこれ食べちゃったの? どこで?」
勿論、宝石を美しいと思う知性のない触手にも効果はない、はずだ。とはいえ、触手に対して石化の瞳を使った事例は少なく、石化の瞳を取り込んだ触手壁の事例に至っては皆無であるため、絶対にないとは言い切れない。ノーイはその宝石を自身のインベントリに収納してから帰路についた。
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