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一章 ヴォジャノーイ
五
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そうして、ノーイはデストラップダンジョンの雑用係になったのだが、これがまた苦難の連続だった。主人は人間の魂、意思の力、その他不可視かつ解明されていないものを研究していて、そのために極限状態を意図的に作り上げていたのだと言っていたが、ノーイから見ればただただ人間を残酷に磨り潰しているに過ぎなかった。
そんなノーイの初仕事は、ダンジョン内の死体掃除。ダンジョンの主人の能力を使えばすぐにでも一掃できるのだが、主人はノーイにこう願った。
「こう……絶望と希望が紙一重になるように死体を片付けたり置いたりしてほしい」
「完成の定義が曖昧な指示は部下の士気を削ぎ成果物の品質低下につながる!!」
「む、主人に向かって何だその小難しい反論は」
「や、俺も受け売りだけど……魔王軍の技術部? 何か色んな武器とか作ってた所の頭が叫んでた」
「第二位が躊躇なく逃げ出している所からも察してはいたが、魔王軍はあまりよい組織ではなかったみたいだな?」
そもそも魔王自体が悪の権化みたいな所があるので。とはいえお願いされたらそれを叶えなければならないのが今のノーイである。絶望と希望が紙一重、をノーイなりに考え、罠がない場所に敢えて死体を置いたり置かなかったりした。
「それと人を呼び寄せてほしい」
「この辺りの冒険者はもう無理だと思うけど……俺も多分死んでる扱いされてるだろうし」
「お前が生きて帰ってもか?」
「それこそドッペルゲンガーかスワンプマン扱いされそう……」
「そうだな……ちょっと待て、たしかこの辺りに……」
「財宝あるんじゃん!! 噂は噂だとか言ってた癖に!!」
「アーティファクトの出来損ないだ」
「それくれよ!! そして俺を解放して!!」
「折角手に入れた雑用係をそう簡単に放逐すると思うか?」
「ですよねー……」
そうしてノーイは、主人から手渡された宝石を手に街へ戻った。予想通りノーイは死んだことになっていて、すわモンスターがノーイの姿に化けてやって来たかと臨戦態勢を取られもしたが、ノーイがダンジョンから持ち帰ったということになっている宝石を見た冒険者たちの反応は目まぐるしかった。
即ち、二匹目の魚を捕りに、こぞってダンジョンに向かったのだ。ノーイはそんな冒険者たちを馬鹿じゃないのかなぁと言わんばかりの顔で見送り、そうして思っていた通りの結末を迎えた。
そんなこんなで、ノーイは主人の願いを叶え続けていたのだが、ある日唐突に限界を迎えた。そもそもノーイは働くことが嫌いで、だらだらしたいと心の底から願っていたのだから、そうなるのは当然のことであった。
そんなノーイの初仕事は、ダンジョン内の死体掃除。ダンジョンの主人の能力を使えばすぐにでも一掃できるのだが、主人はノーイにこう願った。
「こう……絶望と希望が紙一重になるように死体を片付けたり置いたりしてほしい」
「完成の定義が曖昧な指示は部下の士気を削ぎ成果物の品質低下につながる!!」
「む、主人に向かって何だその小難しい反論は」
「や、俺も受け売りだけど……魔王軍の技術部? 何か色んな武器とか作ってた所の頭が叫んでた」
「第二位が躊躇なく逃げ出している所からも察してはいたが、魔王軍はあまりよい組織ではなかったみたいだな?」
そもそも魔王自体が悪の権化みたいな所があるので。とはいえお願いされたらそれを叶えなければならないのが今のノーイである。絶望と希望が紙一重、をノーイなりに考え、罠がない場所に敢えて死体を置いたり置かなかったりした。
「それと人を呼び寄せてほしい」
「この辺りの冒険者はもう無理だと思うけど……俺も多分死んでる扱いされてるだろうし」
「お前が生きて帰ってもか?」
「それこそドッペルゲンガーかスワンプマン扱いされそう……」
「そうだな……ちょっと待て、たしかこの辺りに……」
「財宝あるんじゃん!! 噂は噂だとか言ってた癖に!!」
「アーティファクトの出来損ないだ」
「それくれよ!! そして俺を解放して!!」
「折角手に入れた雑用係をそう簡単に放逐すると思うか?」
「ですよねー……」
そうしてノーイは、主人から手渡された宝石を手に街へ戻った。予想通りノーイは死んだことになっていて、すわモンスターがノーイの姿に化けてやって来たかと臨戦態勢を取られもしたが、ノーイがダンジョンから持ち帰ったということになっている宝石を見た冒険者たちの反応は目まぐるしかった。
即ち、二匹目の魚を捕りに、こぞってダンジョンに向かったのだ。ノーイはそんな冒険者たちを馬鹿じゃないのかなぁと言わんばかりの顔で見送り、そうして思っていた通りの結末を迎えた。
そんなこんなで、ノーイは主人の願いを叶え続けていたのだが、ある日唐突に限界を迎えた。そもそもノーイは働くことが嫌いで、だらだらしたいと心の底から願っていたのだから、そうなるのは当然のことであった。
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