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DAY7
59
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水元も、いくらCTやレントゲンに異常がなかったとはいえ、打撲は負っているのだ。実際、事後には「いたた」と顔をしかめていた。
……当分、無理は禁物だ。
「水元の身体が治るまで激しいやつはしない」
響野が言うと、ええ?と水元は声をあげた。
「さっきのはそんなに激しくなかったと思うけど……」
「痛がってたじゃないか」
不満そうに語尾を引きずっている相手に響野は息を吐く。俺だってもの足りないよと言いたかったが、水元の不満に拍車をかけることになりそうなので黙った。
「治りたいならおとなしく寝てろよ」
窓に向き直ると、水元がとなりにやってくる。茶色い頭をこちらの肩に預けて寄りかかってきたので、響野はカーテンに伸ばした手を止めて横を見た。
「何だよ?」
「別に? 呼び方が戻ってるなと思って」
水元がこちらを見上げる。心の中を覗き込まれているような薄い色の目が落ち着かなくて、それとなく視線を逸らした。
「やっぱり、呼び慣れてないと照れる」
「というか、想定外にエロいことになってびっくりしたよ」
「誰のせいだよ……」
「響野だろ?」
すました顔で水元は答える。そのあとでこらえきれなくなったのか、相手は急に下を向いた。
身体のふれ合っている部分から笑い声を押し殺すようなかすかな振動が伝わってくる。
響野は肩をそびやかして、忍び笑いをする水元の頭を払い落とした。
……当分、無理は禁物だ。
「水元の身体が治るまで激しいやつはしない」
響野が言うと、ええ?と水元は声をあげた。
「さっきのはそんなに激しくなかったと思うけど……」
「痛がってたじゃないか」
不満そうに語尾を引きずっている相手に響野は息を吐く。俺だってもの足りないよと言いたかったが、水元の不満に拍車をかけることになりそうなので黙った。
「治りたいならおとなしく寝てろよ」
窓に向き直ると、水元がとなりにやってくる。茶色い頭をこちらの肩に預けて寄りかかってきたので、響野はカーテンに伸ばした手を止めて横を見た。
「何だよ?」
「別に? 呼び方が戻ってるなと思って」
水元がこちらを見上げる。心の中を覗き込まれているような薄い色の目が落ち着かなくて、それとなく視線を逸らした。
「やっぱり、呼び慣れてないと照れる」
「というか、想定外にエロいことになってびっくりしたよ」
「誰のせいだよ……」
「響野だろ?」
すました顔で水元は答える。そのあとでこらえきれなくなったのか、相手は急に下を向いた。
身体のふれ合っている部分から笑い声を押し殺すようなかすかな振動が伝わってくる。
響野は肩をそびやかして、忍び笑いをする水元の頭を払い落とした。
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