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DAY7

58 ※

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伸也しんや……」
 唸り声の合間に水元が自分を呼んだ。
 ふい打ちだった。蕩けた頭を水元の声に刺激されて、射精の快感がせり上がってくる。脚が小刻みにふるえ、響野は水元の手の中に白濁を吐き出した。先に果てた響野に一拍遅れて水元も達する。手に溢れたふたり分の体液を、水元は洗面台にかけていたタオルを抜き取って受けた。
 終わった直後は、ふたりとも疲労と脱力感に襲われて口をきくのも億劫だった。互いに互いの肩に頭を乗せて、しばらく呼吸を整える。
 欲望は鎮まったものの、それと入れ替わるように、ふさわしくない場所で行為におよんだことへの罪悪感がわいてきた。
 人がこないように祈りながら、あたふたと前を始末し、病室に充満した青くさい匂いを散らす。汚れたタオルを洗い終える頃には、部屋に射し込む太陽は夕暮れどきの赤い色を帯びていた。
「何やってるんだか……」
 夕日の清らかな光を目にして響野はため息をつく。カーテンを閉めようと立った窓の外には眩しさの弱まった西日が照っていた。
 独白を聞いていたのだろう、荷物の入った鞄を手にした水元が気まずそうにこちらを見る。
「俺に言ってる?」
「自分にも言ってるよ」
 相手から鞄を受け取って響野は答えた。床の上で動いたせいで、膝の頭とももの筋肉が痛い。


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