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明け方のラブホテルにて
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ただ、これだけははっきりと言える。例え冤罪であったとしても、警察に捕まった時点で、中畑の人生は終わる。残念ながら社会的な死を迎えてしまうことだろう。
「人聞きの悪いことは言わないでくれる? 私は中畑を重要参考人とするだけの意味があるからこそ提言しているの。私は犯人のでっち上げなどしない。悪い言いかたをするにしても時間稼ぎ程度に留めておいてちょうだい」
「でも、その時間稼ぎによって人の人生が完全に破綻するんだ……」
完全に進藤警部のペースだった。桂も言い返せずにいるようだった。
「あー、やめといたほうがいい。そのインテリ女に感情論は通用しねぇからよ」
田之上が桂に助け船を出し、進藤警部はわずかに表情を曇らせながらも田之上を鼻で笑うに留めた。
「おい亜紀。中畑を重要参考人として引っ張りたいんなら好きにしろ。ただ、そっちがそのつもりなら、こっちにも考えがある」
珍しく田之上が真剣そうな表情を見せる。いつものどこかだらけたような様子ではなく、キリッとしているというか、パリッとしているというか――とにかく別人のように見えた。
「何? それと、私のことはもう下の名前で呼ぶなって言ってるでしょう?」
田之上がふらりと立ち上がり、そして化粧直しをしていた雅と、ホワイトボードの前にいた桂が、田之上のところに集合した。なんだかよく分からないが、堀口も田之上のところに向かう。
「ここはひとつ、推理合戦といこうじゃねぇか。お前達のやり方が正しいのか、それとも俺達のやり方のほうが正しいのか。白黒つけようじゃねぇか」
なんたる喧嘩腰。なんたる不謹慎。数多くの犠牲者が出ているのに、捜査一課と事件解決を競うなんて、実に馬鹿げた話だ。田之上にスイッチが入ったのはありがたいのだが、事件を勝負事のように扱ってはいけないと思う。
「……いいでしょう。先に事件を解決したほうの勝ちよ――」
よほど自身があるのだろう。進藤警部は余裕の笑みらしきものを浮かべている。
「望むところだ。ただし、捜査の権限は平等になければならない。俺達にも捜査一課と同等の権限が発生するように、お上の連中に伝えとけよ」
田之上の言葉を受けて髪の毛に手ぐしを通した進藤警部が口を開く。
「いいでしょう。そもそもお上の方々は六課に事件を投げろとうるさいし、それなりの権限は許可されているはずよ。それじゃあ、私はこれで――せいぜい頑張ることね。まぁ、寄せ集めのスクラップにできることなんて、たかが知れているけど」
「人聞きの悪いことは言わないでくれる? 私は中畑を重要参考人とするだけの意味があるからこそ提言しているの。私は犯人のでっち上げなどしない。悪い言いかたをするにしても時間稼ぎ程度に留めておいてちょうだい」
「でも、その時間稼ぎによって人の人生が完全に破綻するんだ……」
完全に進藤警部のペースだった。桂も言い返せずにいるようだった。
「あー、やめといたほうがいい。そのインテリ女に感情論は通用しねぇからよ」
田之上が桂に助け船を出し、進藤警部はわずかに表情を曇らせながらも田之上を鼻で笑うに留めた。
「おい亜紀。中畑を重要参考人として引っ張りたいんなら好きにしろ。ただ、そっちがそのつもりなら、こっちにも考えがある」
珍しく田之上が真剣そうな表情を見せる。いつものどこかだらけたような様子ではなく、キリッとしているというか、パリッとしているというか――とにかく別人のように見えた。
「何? それと、私のことはもう下の名前で呼ぶなって言ってるでしょう?」
田之上がふらりと立ち上がり、そして化粧直しをしていた雅と、ホワイトボードの前にいた桂が、田之上のところに集合した。なんだかよく分からないが、堀口も田之上のところに向かう。
「ここはひとつ、推理合戦といこうじゃねぇか。お前達のやり方が正しいのか、それとも俺達のやり方のほうが正しいのか。白黒つけようじゃねぇか」
なんたる喧嘩腰。なんたる不謹慎。数多くの犠牲者が出ているのに、捜査一課と事件解決を競うなんて、実に馬鹿げた話だ。田之上にスイッチが入ったのはありがたいのだが、事件を勝負事のように扱ってはいけないと思う。
「……いいでしょう。先に事件を解決したほうの勝ちよ――」
よほど自身があるのだろう。進藤警部は余裕の笑みらしきものを浮かべている。
「望むところだ。ただし、捜査の権限は平等になければならない。俺達にも捜査一課と同等の権限が発生するように、お上の連中に伝えとけよ」
田之上の言葉を受けて髪の毛に手ぐしを通した進藤警部が口を開く。
「いいでしょう。そもそもお上の方々は六課に事件を投げろとうるさいし、それなりの権限は許可されているはずよ。それじゃあ、私はこれで――せいぜい頑張ることね。まぁ、寄せ集めのスクラップにできることなんて、たかが知れているけど」
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