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明け方のラブホテルにて
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きっと少女漫画ならば「おーっほっほっほっほっ」と高笑いをあげながら、進藤警部は六課を後にするのであろう。実際には、すでに勝ったような表情を見せて立ち去っただけなのだが。
「こうして、捜査に参加することになった、たのぴーであったが、心の中ではこう思っていたのだ。超面倒臭ぇと――」
啖呵をきったまま立ち尽くしていた田之上の背後から、雅がナレーション風に呟いた。
「――お前、いつの間に読心術を?」
進藤警部の姿がないか確認したのだろう。扉のほうに駆け寄ると、廊下に顔を出して辺りを見回す田之上。堀口達のほうへと振り返って一言。
「えぇ、超面倒臭ぇですよ」
それがスイッチだったのか、髪の毛をかきむしりながら、田之上は苛立ったかのように声を上げる。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ! 超面倒臭ぇぇぇぇっ! なぁ、どうしたらいい? 桂、どうしたらいい?」
売り言葉に買い言葉というやつか。それも、中畑を重要参考人として引っ張ろうとした捜査一課に対する抗議だったのか。なんにせよ、捜査に参加することになってしまったことに後悔をしているようだ。
「こうなったら仕方がないねぇ。今さらになって引き下がるわけにもいかないし、捜査一課と推理合戦といこうじゃないかぁ。これは面白くなってきたねぇ。田之上、やっぱりお前最高だよぉ」
桂は桂で正式に捜査に参加できることを喜んでいるようだった。それに関しては堀口も大いに喜んでいた。これで例の事件に携わることができる。これほどありがたいことはなかった。
「おい、堀口っ! どうして止めなかったんだよぉ? 面倒臭ぇじゃねぇぇぇかぁぁぁぁ! しかも超だぞ? 超面倒臭ぇんだぞ?」
桂に軽くあしらわれてしまった田之上は、ターゲットを堀口へと変更したようだった。
「いや、そんなこと言われても困りますよ!」
思わず突っ込んでやった。このノリ――なんだか六課の一員になったみたいで、ちょっとだけ嬉しかった。いやいや、本来喜んでいいことではないのだが。
「超面倒臭ぇと周囲に当たり散らすたのぴーを見て、みんなはこう思ったのであった。むしろ、たのぴーが超面倒臭ぇ――と」
思わず同意してしまいそうなナレーションをする雅は、さらにこう続けたのであった。
「なんにせよ、日々の坂署捜査第六課。発進である――」
なんだか少しばかりニュアンスが異なるようだが。堀口はその言葉に深く頷いた。
「こうして、捜査に参加することになった、たのぴーであったが、心の中ではこう思っていたのだ。超面倒臭ぇと――」
啖呵をきったまま立ち尽くしていた田之上の背後から、雅がナレーション風に呟いた。
「――お前、いつの間に読心術を?」
進藤警部の姿がないか確認したのだろう。扉のほうに駆け寄ると、廊下に顔を出して辺りを見回す田之上。堀口達のほうへと振り返って一言。
「えぇ、超面倒臭ぇですよ」
それがスイッチだったのか、髪の毛をかきむしりながら、田之上は苛立ったかのように声を上げる。
「あぁぁぁぁぁぁぁっ! 超面倒臭ぇぇぇぇっ! なぁ、どうしたらいい? 桂、どうしたらいい?」
売り言葉に買い言葉というやつか。それも、中畑を重要参考人として引っ張ろうとした捜査一課に対する抗議だったのか。なんにせよ、捜査に参加することになってしまったことに後悔をしているようだ。
「こうなったら仕方がないねぇ。今さらになって引き下がるわけにもいかないし、捜査一課と推理合戦といこうじゃないかぁ。これは面白くなってきたねぇ。田之上、やっぱりお前最高だよぉ」
桂は桂で正式に捜査に参加できることを喜んでいるようだった。それに関しては堀口も大いに喜んでいた。これで例の事件に携わることができる。これほどありがたいことはなかった。
「おい、堀口っ! どうして止めなかったんだよぉ? 面倒臭ぇじゃねぇぇぇかぁぁぁぁ! しかも超だぞ? 超面倒臭ぇんだぞ?」
桂に軽くあしらわれてしまった田之上は、ターゲットを堀口へと変更したようだった。
「いや、そんなこと言われても困りますよ!」
思わず突っ込んでやった。このノリ――なんだか六課の一員になったみたいで、ちょっとだけ嬉しかった。いやいや、本来喜んでいいことではないのだが。
「超面倒臭ぇと周囲に当たり散らすたのぴーを見て、みんなはこう思ったのであった。むしろ、たのぴーが超面倒臭ぇ――と」
思わず同意してしまいそうなナレーションをする雅は、さらにこう続けたのであった。
「なんにせよ、日々の坂署捜査第六課。発進である――」
なんだか少しばかりニュアンスが異なるようだが。堀口はその言葉に深く頷いた。
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