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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】

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 残りの【鑑識官の見解】というのも、情報としてはかなり有力なものとなるだろう。現場を調べた鑑識官が、どんな見解を出したのか。あくまでも見解であるから、鵜呑みにすることはできないものの、有益であることは確実であろう。

 唯一、この中で優先度が低いものとなると【フロントマンの証言】になるだろうか。他の情報に比べて――という意味合いであり、もしかすると重要な手掛かりが隠されているのかもしれないが、しかし選択できる情報に限りがあるのならば、優先度の高い情報を選ぶべき。

「それでは、こちらから代表の方を選ばせていただきます! はい、そちらにルーレットをご用意しました」

 今回の問題に関しては、モニターが大活躍である。画面が切り替わったと思ったら、九十九の顔写真が映った。安っぽい作りではあるが、察するに他の解答者の顔写真も入っており、それをルーレットのようにシャッフルして、誰が代表なのか決めるのであろう。

「もう説明は不要でしょう。では、ルーレットスタート!」

 安っぽい作りなだけあり、特にBGMや効果音も伴わずに、モニターに映し出された顔写真だけが慌ただしく切り替わっていく。九十九の次は長谷川、長谷川の次はアカリ――といった具合にだ。もはや男は九十九と長谷川のみ。どちらかが必ず代表に選ばれることであろう。ここは当然ながら自分が代表になりたかった。理由はいたってシンプル。九十九は自分が黒幕ではないことを知っているから。そして、黒幕が代表に選ばれた場合、こちらの妨害をするために、あえてどうでもいいような情報を選択しそうだからだ。

 この番組はクイズが進むにつれて人が減っていく。それだけ黒幕が絞られていくわけであり、互いの疑心暗鬼も強まってくる。あまり良い傾向ではないのかもしれないが、周囲の人間を丸々信用するわけにもいかないし、今から疑う癖をつけておいたほうがいい。

 顔写真によるルーレットが次第にゆっくりとなり、そして――九十九の顔写真で止まった。なんとか、50パーセントの壁を突破することができたらしい。これで、間違いなく有益な情報を得ることができる。

「男性陣の代表は九十九さん。それでは、続けて参りましょう。ルーレットスタート!」

 九十九の顔写真から改めて再始動したルーレット。今度は女性陣の代表を選出する。男性陣は降板という形ですでに2人失っているが、しかし女性陣はいまだに全員無事に健在している。この中から、誰が代表に選ばれるのか。
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