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第2問 虚無の石櫃【出題編】

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『さぁ、何やらエキサイトしておりますが、九十九さんのご指摘通り、まだ皆さんにはお見せしていない映像がございます。ただぁ、それを単純にお見せするだけでは面白くありません。そこで、こんなものを用意しましたぁ! モニターのほうをご覧ください!』

 スタジオを映していたカメラが改めて切り替わる。真っ暗な画面が8等分されており、左上から右に向かって【1】~【4】と番号が白文字で割り振られている。そして左下から右に向かって【5】~【8】との番号が続く。スタジオのモニターにも同じものが映し出されているのだろうか。

『さてぇ、こちらのモニター画面。見ていただけば分かるのですがぁ、8等分されております。これで一体、何をするのかと言いますと――』

 藤木がわざとらしく溜めを作ったところで、画面はスタジオのほうへと切り替わった。

『以心伝心! 同調ゲームを行いまぁぁぁす!』

 藤木がややテンションを上げながら言うが、しかし拍手が起きるわけでもなく、歓声が上がるわけでもない。ただただ冷ややかな目が藤木に向けられるだけ。さすがにその空気を察したのか、藤木は小さく咳払いをしてから続けた。

『さて、これより皆さんには、解答者の方々の顔写真のプレートをお配りします。プレートは全部で8枚。九十九さん、数藤さん、長谷川さん、木戸さん、桃山さん、伊良部さん、西潟さん、そして私こと藤木の顔写真となっております!』

 一度画面からフレームアウトすると、解答するためのフリップボードよりやや小さめのボードを解答席へと配り始める。それぞれにプレートを8枚ずつ。その枚数はもちろんのこと、変にサイズが大きいため、配るだけでも一苦労であろう。アシスタントもおらず、藤木だけで回しているから仕方がないのだが、このような時にどうしてもグダグダしてしまう。フレームアウトをし、プレートを配り、またフレームアウトしてプレートを持ってくると、それを配る――を繰り返す藤木。ようやく全員にプレートが8枚ずつ行き渡った頃には、藤木の息が上がってしまっていた。

『さぁ、これまで力を合わせてやってきた皆さんですが、どれだけお互いに歩み寄ることができたのでしょうか? これから行う同調ゲームは、皆さんがどれだけ同調できるかを問うゲームになるのです』

 クイズ番組なのだから、大人しくクイズだけをやっていればいいものを、このような意味不明のゲームを持ち出すから、テンポが悪くなるのだ。そんなことを考えつつも、状況を見守る小野寺。
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