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第2問 虚無の石櫃【出題編】

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『もし、そうだと言ったらどうしますかぁ?』

 藤木が嫌味ったらしい感じで問う。しかしながら、九十九は小さく首を横に振り、実にお行儀の悪い言葉を並べ立てる。

『まぁ、なんの解決にもならねぇけど、お前を何発かぶん殴るかなぁ。俺の推測が正しければ、まだ確定していない事柄がいくつかあんだよ。それなのに、ここで情報提供が終わりってのは、いくらなんでもあり得ねぇ。仮にこれで全ての情報が出揃ったというのであれば、番組は俺達を正解させる気が無ぇと判断してもいい。そりゃ、番組的によろしくないんじゃねぇか?』

 司会者と解答者――番組はにこやかに穏やかな雰囲気で進められるわけもなく、どこか九十九の口調も喧嘩腰だ。

『おっと――すでに九十九さんは何かを掴んでおられる様子。さすがは第1問で大活躍をしただけあります。またしても、九十九さんの頭脳の下に真犯人が引きずり出されるのか。さぁ、盛り上がって参りました!』

 再現映像からスタジオへと画面が戻ったばかりだったし、スタジオにはそれらしいBGMすら流れていない。しんとした空気の中、よくもまぁ盛り上がってきたなんて言えたものだ。

『いや、盛り上がってないでしょ。普通に――』

 ややテンション低めに呟いた凛の言葉が、変に的を射ていてシュールに映った。そこにテンション高めで藤木が突っ込むものだから、もはや地獄絵図だ。

『いやいやいやいや! 桃山さん、本当のこと言わないでくださいよ!』

 ――もう少し、うまい具合に進行できないものなのか。藤木のみで番組を回しているようだし、いたらないところが出てくるのは仕方がないのだが。

『で、まだ隠してることがあんだろ? さっさとそれを見せろ』

 藤木に対する高圧的な態度を崩さない九十九。それを見ていた数藤が、わざとらしく大きく溜め息をついた。

『やれやれ、これだから頭の足りない連中は困るな。ぎゃーぎゃー喚くことしかできず、自分が馬鹿なことは棚に上げているときたものだ。愚かしい。実に愚かしいよ――』

 数藤の立ち振る舞いは、無条件で人を不愉快にする。最初のほうこそテレビ用の顔を見せていた凛だったが、彼の振る舞いには限界がきていたらしい。

『そこのおっさんは黙っててくれる? 協力する気もないわけだし』

 アイドル――という体面を辛うじて保ってきた凛ではあるが、さすがに数藤に対しては強く当たる。正直なところ数藤は自業自得のようにしか思えないが、アイドルの素を引き出すとは中々である。それとも、地上波ではないということあり、凛も気を抜き始めたのか。大体、人が1人死んでいる状況で、偽りの自分を演じ続けること自体不可能であろう。
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