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第1問 理不尽な目覚め【出題編】
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白川と黒井、青野と赤間。この双方は交際状態にあるカップル同士だった。それならば、自由行動の際にバラバラに動くのは違和感がある。ましてや、白川は相手の黒井とではなく、赤間の相手である青野と合流している。これが示しているのはすなわち――。
「浮気ってやつか? 実は白川と青野がいつのまにかできていたってパターンだな」
小野寺が答えを言う前に、ぽつりと答えを漏らしてしまう出雲。小野寺は咳払いをすると、それに付け足した。
「補足するのであれば、黒井と赤間も同様の関係にあったと考えるのが自然ですね。少なくとも、ここまでの情報から察するに、それぞれのカップル仲が冷め切っていたことが伺えます。例えば、どちらか一方が、それぞれの恋人に内緒で交際していたとすると、いくら自由行動の時間だとしても、同じキャンプ場内で合流するのはリスクが高すぎる。むしろ、こういう時こそ、疑われぬように、それぞれの相手と過ごすのではないでしょうか?」
白川と青野が合流する。この事実、もし黒井と赤間が何も知らない状態であるのならば、かなりリスキーなことである。下手をすれば、2人で一緒にいるところを、黒井か赤間に目撃されてしまうかもしらない。そこから互いの浮気がばれてしまったら身もふたもないだろう。しかしながら、白川と青野は、自由行動で合流することになった。堂々とこんなことができるのは――それぞれのカップル仲が冷え切っていたか、双方ともに浮気をしており、それが定着しつつあったかのいずれである可能性が高い。
「確かになぁ。ってことは、そういうことをしても問題ないくらいには、互いのカップル仲は崩壊寸前だったってことか」
自由行動なのにバラバラに行動する。恋人ではない相手と合流をする。白川と青野の行動から推測しただけなのであるが、可能性としては充分にあり得ると思う。
「あくまでも可能性ですけどね」
ただ、それが決定的な論拠となるわけではない。推測は推測にすぎないというやつだ。
「となると、黒井が殺された理由は――痴情のもつれってやつなのかもなぁ」
出雲こと、小野寺が【ケンさん】と呼んでいる男は、俗に言う叩き上げの刑事だ。情報は足で稼ぎ、犯人もほとんど執念のようなもので逮捕する。こう言ってしまうと出雲には失礼なのであるが、いまだに根性論が根深く残っているような、やや古いタイプの刑事だ。時代が進むにつれて、警察の仕事も効率化されてきたが、それに馴染めないタイプというべきか。少なくとも、小野寺が知っている限り、頭を使うよりも体を使い、根性論で事件を解決する刑事――それが出雲という男だった。
「浮気ってやつか? 実は白川と青野がいつのまにかできていたってパターンだな」
小野寺が答えを言う前に、ぽつりと答えを漏らしてしまう出雲。小野寺は咳払いをすると、それに付け足した。
「補足するのであれば、黒井と赤間も同様の関係にあったと考えるのが自然ですね。少なくとも、ここまでの情報から察するに、それぞれのカップル仲が冷め切っていたことが伺えます。例えば、どちらか一方が、それぞれの恋人に内緒で交際していたとすると、いくら自由行動の時間だとしても、同じキャンプ場内で合流するのはリスクが高すぎる。むしろ、こういう時こそ、疑われぬように、それぞれの相手と過ごすのではないでしょうか?」
白川と青野が合流する。この事実、もし黒井と赤間が何も知らない状態であるのならば、かなりリスキーなことである。下手をすれば、2人で一緒にいるところを、黒井か赤間に目撃されてしまうかもしらない。そこから互いの浮気がばれてしまったら身もふたもないだろう。しかしながら、白川と青野は、自由行動で合流することになった。堂々とこんなことができるのは――それぞれのカップル仲が冷え切っていたか、双方ともに浮気をしており、それが定着しつつあったかのいずれである可能性が高い。
「確かになぁ。ってことは、そういうことをしても問題ないくらいには、互いのカップル仲は崩壊寸前だったってことか」
自由行動なのにバラバラに行動する。恋人ではない相手と合流をする。白川と青野の行動から推測しただけなのであるが、可能性としては充分にあり得ると思う。
「あくまでも可能性ですけどね」
ただ、それが決定的な論拠となるわけではない。推測は推測にすぎないというやつだ。
「となると、黒井が殺された理由は――痴情のもつれってやつなのかもなぁ」
出雲こと、小野寺が【ケンさん】と呼んでいる男は、俗に言う叩き上げの刑事だ。情報は足で稼ぎ、犯人もほとんど執念のようなもので逮捕する。こう言ってしまうと出雲には失礼なのであるが、いまだに根性論が根深く残っているような、やや古いタイプの刑事だ。時代が進むにつれて、警察の仕事も効率化されてきたが、それに馴染めないタイプというべきか。少なくとも、小野寺が知っている限り、頭を使うよりも体を使い、根性論で事件を解決する刑事――それが出雲という男だった。
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