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ep8 救出
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甲馬が向った先は、彼が以前住んでいた家に隣接している集会所であった。
「恐らくこの集会所の地下にある改心部屋に間違いなく夏娘はいる」
甲馬は、辺りをきにしながら自分の背丈より高い塀をいとも簡単に乗り越えた。
その姿をみてニヤリと笑みを浮かべナイトメアは呟いた。「へえ……甲馬、中々やるじゃねえか」
「ええ、昔は良くここを抜け出して遊びに行ってましたから。ここの裏口から入れます」
甲馬は得意気に話しながら扉のノブに手をかけ中へ入ろうとした。だがしかし『畜生、鍵がかかってやがる』甲馬は扉に両手をついて俯いた。
『案ずるな、俺に任せろ甲馬』と甲馬の耳元で囁やきながら肩を軽く叩き、彼をその場に残してナイトメアは扉をすり抜け建物の中へと消えていった。
『待ってよナイトメア!』
――ヤバイひとりになってしまった。
今にも飛び出てきそうな甲馬の心臓音が静寂の空気を揺らす。
すると数十秒後、中の方から『ガッチャ』という解錠音が響いた。
『いいぞ開けてみろ甲馬』と呟きナイトメアは扉をすり抜け、扉をじっと見つめる甲馬の前にひょっこりと顔だけ出した。
『うわぁーー』腰を抜かしたリスのようにその場に尻もちをつく甲馬。
『おいおい二代目ナイトメアは随分とチキンな野郎だな』とナイトメアはボソボソと口ずさむ。
『もうビックリするじゃないかナイトメア』とぶつぶつと言いながら、甲馬は小刻みに震える手で、恐る恐る扉を開け建物の中へ入り、一目散に夏娘が監禁されているであろう改心部屋に向った。
だがしかしチンピラの仲間とおもわれる厳つい男二人が、地下にある改心部屋前で見張りをしている。
『畜生……』甲馬は怖じけつき二の足を踏む。
『さあ、どうするんだ甲馬』とナイトメアは中々、行動に移さない甲馬に苛立ちを覚え、彼の襟元を掴み言い放つのであった。
「俺が何とかしてやる。だから俺に、お前の体を貸すんだ! 迷ってる暇はねえはずだ甲馬」
甲馬は両膝を床につけ俯きながら頼んだ。
「お願いだ……夏娘を助けてナイトメア」
「あゝ任せろ秒殺でボコボコにしてやる」
そう告げるとナイトメアは、甲馬に重なるようにして彼の体に入っていった。
「うーん久々だぜ。この感じ、やっぱ生身の体は最高だね。どうだ甲馬、力漲ってきたか?」
甲馬の想像では体が乗っ取られる、いわゆる憑依状態だと思っていたが違っていた。
「すごいよナイトメア……自分だけど自分じゃないみたいだ」
「そうだろ……後は俺に身を任せろ、ケンカの仕方教えてやるよ」
そう言い放ち、甲馬の体に入ったナイトメアは、いきなり地下入口にいる男ふたりに『おい兄ちゃん!』と叫びながら飛び降りた。
「恐らくこの集会所の地下にある改心部屋に間違いなく夏娘はいる」
甲馬は、辺りをきにしながら自分の背丈より高い塀をいとも簡単に乗り越えた。
その姿をみてニヤリと笑みを浮かべナイトメアは呟いた。「へえ……甲馬、中々やるじゃねえか」
「ええ、昔は良くここを抜け出して遊びに行ってましたから。ここの裏口から入れます」
甲馬は得意気に話しながら扉のノブに手をかけ中へ入ろうとした。だがしかし『畜生、鍵がかかってやがる』甲馬は扉に両手をついて俯いた。
『案ずるな、俺に任せろ甲馬』と甲馬の耳元で囁やきながら肩を軽く叩き、彼をその場に残してナイトメアは扉をすり抜け建物の中へと消えていった。
『待ってよナイトメア!』
――ヤバイひとりになってしまった。
今にも飛び出てきそうな甲馬の心臓音が静寂の空気を揺らす。
すると数十秒後、中の方から『ガッチャ』という解錠音が響いた。
『いいぞ開けてみろ甲馬』と呟きナイトメアは扉をすり抜け、扉をじっと見つめる甲馬の前にひょっこりと顔だけ出した。
『うわぁーー』腰を抜かしたリスのようにその場に尻もちをつく甲馬。
『おいおい二代目ナイトメアは随分とチキンな野郎だな』とナイトメアはボソボソと口ずさむ。
『もうビックリするじゃないかナイトメア』とぶつぶつと言いながら、甲馬は小刻みに震える手で、恐る恐る扉を開け建物の中へ入り、一目散に夏娘が監禁されているであろう改心部屋に向った。
だがしかしチンピラの仲間とおもわれる厳つい男二人が、地下にある改心部屋前で見張りをしている。
『畜生……』甲馬は怖じけつき二の足を踏む。
『さあ、どうするんだ甲馬』とナイトメアは中々、行動に移さない甲馬に苛立ちを覚え、彼の襟元を掴み言い放つのであった。
「俺が何とかしてやる。だから俺に、お前の体を貸すんだ! 迷ってる暇はねえはずだ甲馬」
甲馬は両膝を床につけ俯きながら頼んだ。
「お願いだ……夏娘を助けてナイトメア」
「あゝ任せろ秒殺でボコボコにしてやる」
そう告げるとナイトメアは、甲馬に重なるようにして彼の体に入っていった。
「うーん久々だぜ。この感じ、やっぱ生身の体は最高だね。どうだ甲馬、力漲ってきたか?」
甲馬の想像では体が乗っ取られる、いわゆる憑依状態だと思っていたが違っていた。
「すごいよナイトメア……自分だけど自分じゃないみたいだ」
「そうだろ……後は俺に身を任せろ、ケンカの仕方教えてやるよ」
そう言い放ち、甲馬の体に入ったナイトメアは、いきなり地下入口にいる男ふたりに『おい兄ちゃん!』と叫びながら飛び降りた。
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