遅発性Ω

枝浬菰

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第三章

保護者の目線

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「航平くん、おはようございます」

「園長先生おはようございます!!」
大きな声で園長先生に挨拶をする航平を見守る。

「じゃね! お母さん僕行ってくるね!」
「うん、いっぱい遊んできてね」
ぎゅっと抱きしめ、航平を見送った。


「やだ、もうね」
「あれが噂の男性のΩ?」

くすくすとなにやら声が聞こえた。
ぐっと拳を握る……。
聞こえない、聞こえない。


「羽衣さん」
と声をかけられた。

「はい」と振り向くと

すごく綺麗な女性が立っていた。
この威圧感、女性のαだ。


「あなたのところの航平くん、うちの拓海たくみに毎回ちょっかい出すのやめてくださらない?」

「ちょっかいとは……。」

「保護者のあなたがまさか知らないだなんて、どういいう教育をしているのかしら?」
「すみません、航平には言い聞かせておきますが、現状が見えないので……」
と言っているとずいっとこちらにきて、さらに圧がかかる。

「男のΩなんて、身の程を知れって言ってるのよ」
びくっと体が震えた。
今まで男性の世界の中で生きてきたから女性との付き合いをあまりしてこなかった。

でも、なぜこんなにも男のΩを目の敵にするのか。


「はぁ、本当にΩ臭いわね、消えてちょうだい」
「……」

きりりと胃が痛む。

何も言い返せずに幼稚園を後にした。
家につき、靴を脱ごうとするも急な過呼吸で倒れた。

「はぁはぁ……苦しい……」
胸が苦しい、痛い……。

航平が心配だ。

起き上がろうにも体に力が入らない。

「うっ……恭平しゃん……」
意識はそこでなくなった。






-------------
午前中の仕事を終え、帰宅するため航に電話をかけたが繋がらなかった。

「買い物にでも出かけてるのか?」
スマホに搭載されているGPSを確認すると家にいた。

「……トイレかな」
メールを打ち、帰宅することを伝え、車に乗り込んだ。
だが、返信が来ず。

心配のあまり急いで帰宅する。

玄関のドアを開け
「航!! ってうわぁ!!」と大きな声で部屋に入ったが大きなものが置いてありこけそうになった。

「あっぶねー」
壁に両手をつき、空いている床に足をつく。
危うく航を押しつぶすところだった。

「おい! 航どうした? 大丈夫か?」
体をゆすると目を開けた。

「よかった」
「恭平さん……お仕事お疲れ様です」と立ち上がろうとしたが
体がいうこときかないのかなかなか立てないでいた。

「航、なにがあった、大丈夫か?」
体を支え、居間に移動する。

ソファーに腰掛け、こちらに倒れこむ。
「ってなにこれ熱っ!? 熱あるのか?」
「はぁはぁ……」
顔は赤らみ体調が悪そうだ。

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