遅発性Ω

枝浬菰

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第一章

なにこれっ

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AM:7:00
25歳のあの日、俺は杉本先輩とベッドのメーキングをしていた。

杉本さんの結婚相手、はなさんののろけ話を聞かされながら仕事をしていた。


今日は朝から腹が痛く、体調が悪い、でも休むほどではない。
「おーい、柊、大丈夫か?」
「? なにがですか?」

「なにがって、汗すごいけど」
「ちょっと今日熱っぽくて」
と伝えると

「無理すんなよ」
と返ってきた。

杉本先輩は本当に優しい。
結婚相手の男性Ωは中学生からの付き合いでずっと世話をしていたらしい。
Ωの扱い? にはなれているし、愚弄する者がいれば軽蔑するのではなく、ちゃんと正しい怒り方をする。

そういう優しいところもあり、仕事の間は優しいお母さんとみんなから呼ばれてたりする。
まぁ呼ぶとめちゃくちゃ怒るけど。

俺も正された。
学生の頃はΩを酷い扱いをして病院送りにしたこともある。
複数プレイや束縛やましてや山に置き去りとか…。
今思うだけでもゾッとする。
だからΩは大嫌いだ。

このホテルを仕切る国枝さんは俺の大学時代の先輩で、あの人を中心にΩをいじめていた。
いじめていたという言葉ではない、酷い扱いをしたあげく…。

はぁー、αだからってしていいこととやったらいけないこと、そんな区別すらできないなんてαの資格あるのか。

「そっちの裾」
と言われ、直すと  ドックン
え? なに?  ドックン

体がおかしい。

むず痒くて腹の中を搔きまわしてほしい。
「ひゅーひゅー」

息が苦しい。

「おい、柊終わったか? !?!?」
先輩が駆け寄り、倒れそうになる俺を支えた。

「おい!! おい!! しっかりしろ! っつこの匂い…」
遠くで俺を呼ぶ声、先輩…。


「っつ…。きっつ…。華がいるのにこんなの反応してる…首…噛みたい」
ぎっと唇を噛み意識を保つ。

「ある意味、スイートルームでよかった」
スマホを取り出しフロントに電話をかけた。


フロントの電話が鳴る
『お待たせいたしました、フロントの東雲でございます』
『東雲!!』

『? 杉本さん、どうしました?』
『よく聞け、今からスイートルームに洗濯バサミ持ってこい!!』
『洗濯バサミ??』

電話を切り、一緒にフロントでお客様の受付をしていた、速水はやみ
「杉本さんがスイートルームに洗濯バサミ持ってこいって言われたんだけど」

「それは、なかなかないパターンだね」
「行ってくるから、受付よろしく~」


「はい」



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