【完】真実をお届け♪※彷徨うインベントリ※~ミラクルマスターは、真実を伝えたい~

桜 鴬

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【さん・Ⅲ】

乙女ゲーム・ヒロインが!転生者編⑦

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 やはり私は貴族の世界は嫌いだ……母は幼少時に定められた婚約者を愛していたそうだ。しかしその愛を得られずに、徐々に心を病んでゆく。確かに虐めはしてはいけない行為。しかし貴族の世界では、それがまかり通ってしまうのも常識なのよ。公爵令嬢で王太子様の婚約者。そんな身分の女性に、誰が抗えただろうか?案の定、虐めと言われる事柄では、まったく処分されなかった。そして起きてしまった殺人未遂。発覚した途端、これは犯罪だ!ならば糾弾できるぞとばかりに、周囲は声を上げて母を糾弾した。そして婚約者である現王は、沢山の人々の前で母を断罪し婚約破棄をしたそうだ。

 しかし誇り高き公爵令嬢たる母は、王太子様へ堂々と返事を返した。
 『私は公爵令嬢ですわ。愚民に教えを説くのが義務ですわ。間違いは正すべきです。私はマナーのなっていない子達たちに正しい教えを説いただけ。犯罪なんてもっての他です。しかも殺人ですって?確たる証拠はございますの?ならば出しなさい!私を裁けるのは偉大なる現王のみ!王太子様には権限すらございませんのよ? 』

そうよね?確かに貴族を裁くことが可能なのは王さまだけ。婚約破棄だって、王太子様が宣言しただけでは抗力はない……

 その後国王の命令により、学園の内部が徹底的に調査された。すると次々とでてくる証拠たち。しかしその証拠はすべて、公爵令嬢たる母の冤罪を証明するものばかり。王太子様は二年間の隣国への留学となり……
 二人の婚約は破棄となる……

 調べによると王太子様は、とある転校生の一人に、魅了の魔法で囚われていた。しかも婚約者からの虐めは、虐めと言われるほどの物ではなかった。本人の言うようにマナーの悪さを注意したりしていたのだが、高飛車な口調が周囲に誤解を与えていた。また暴漢に襲わせたという件も、深窓の令嬢が暴漢に伝が有るわけもない。王妃教育に学園にと、毎日忙しく勉強していた。更には王家の影が、護衛として常に控えている。
 そんな彼女に出来るわけがない……
 王太子様の全くの勘違い。すべては王太子様に近付きたい女性や、魅了を使用していた女性の作為だった。つまり全くの濡れぎぬだった。
 「さすがにこれでは彼女も辛いだろうと、王家は療用先を用意した。しかし突如彼女の兄が亡くなったんだ。そのため婿養子を迎えて公爵家の跡を継いだ。彼女は優秀だった。領地経営から社交まで、全てを見事にこなしたよ。だから王家の者たちは安心してしまった。彼女はもう大丈夫だとね」
 しかし母は大丈夫では無かったのね……
 「そうだよ。精神的なものらしい。ストレスにより妊娠しにくかった。旦那さんは物静かなタイプだから、何も言わなかった。駄目なら養子をと考えていたらしい。しかし彼の親族は納得しなかった。端からみると全てをこなす彼女が、旦那を蔑ろにし虐げているように見えたらしい。悪女の婿になったばかりに血筋も残せぬのか!と、かなり責め立てていたんだ」
 これも貴族の世界の嫌な所よ。女を子供を作る道具としてしか見ていない。父だってなぜ母に何も言わなかったの?養子のことだって話をしたら良かったのよ。そうすれば少しは心も休まったのかもしれない。
 母だって王太子様を愛していたならなおのこと、信じて貰えなくて辛かったわよね。高飛車な性格が悪い?それは言い訳だわ。なら王太子様は頭を下げてでも、誠心誠意言葉を尽くすべきだった。婚約は無効にも出来る。お互いに納得しあえれば、だれも傷つくこともなかったのだから!

 そしてようやく誕生した私たち……
 しかし……
 
 王太子様の留学は二年のはずが延びに延び、帰国した時には既に十年の月日が流れていた。隣国で留学中に内戦が勃発し、国外へ出ることが出来なかったから。その間に一緒に留学にでていた女性と結婚し、子供も誕生していた。そして帰国次第、王座を譲り受けた。それが現在の王妃様と王子たちだね。
 「誤解の無いように伝えるが、母は魅了を使用した生徒ではない。彼女は王族に魅了を使用した罪で断罪されている。当時庶民に学園の門を開いたばかりで、庶民の転校生が十人ほどいたんだ。その転校生たちも一緒に留学した。騒ぎになった学園にはいずらいだろうとの配慮からだそうだ」
 なら母も一緒に留学させてあげれば良かったじゃない。環境が変化すれば、王太子様と再度愛を育めたかもしれない。または仲良くなる二人をみて、諦めて新しい恋が出来たかもしれない。でもそうはしなかった。兄が亡くなったから出来なかった。これもやはり貴族の柵よね。
 「すべては王家の責任だ。帰国した父は、君たちの母親が公爵家を立派に継いでいると聞き安心してしまった。しかも己の子供たちと年齢の近い双子まで誕生している。なら仲良く出来ないかと安易に考えたんだそうだ。まったく己のしでかしたことを考えてから物を言え!あの浮かれポンチ頭が考えそうな事だ」
 王様……王太子様は立派に育ってますね。やはりしっかり者の王妃様の教育の賜物でしょう。申し訳ないけどチャラくて女性関係に緩い王様では……
 何事にもキチンと白黒を付けなくては気が済まない。間違いが許せない。それでいてキツい性格だったという私の母親。どう考えてもあの王様には無理だよね。その点王妃様は性格は優しげなお人。常に笑顔を絶やさない。しかしその顔をみて、安心していると痛い目にあうのよ。己が庶出だからとバカにする貴族は全て閑職にまわし、身分にとらわれず才能のあるものを推挙した。さらにはチャラい王様の実務の決済は、ほとんどが王妃様が行っている。王様に任せると、すべてに判を押されてしまう。それでは駄目だとしかると、貴族名鑑をめくりながら、顔で判を押すか決めてしまうそうなの。
 強面の騎士団の団長さんが、
 『俺の書類はなぜ毎回戻されるんだ!魔術師団長の書類より絶対にマシなはずだ』
 と、宰相様に懇願に行って判明してしまったの。王様は貴族名鑑の人相で判子を押していたのよ。確かに魔術師団長は優男よね。なのに字がまるでミミズのようなの。あれで魔方陣がキチンと作動するのが不思議だわ。

 つまり母には笑顔が足りなかった。きっと公爵家を回せた母が王妃となっても、王様を支えて国は上手く統治されたでしょう。でもチャラく女性に緩い王様を、繋ぎ止めることは出来なかったのでしょう。それをなし得たのが現在の王妃様。国母として王をそして民を優しく包みこみ安らぎを与える。しかし優しいだけではない。叩く所は叩き、要らぬ木々は薙ぎ倒し払いのけて綺麗にする。そんな心の強さが母にもあったなら……
 王妃様も皇太子様が中々授かれなかったという。ようやく誕生したと思えば王子様が次々に五人も!すると周囲がまたまた囁き出す。なぜ姫君を授かれないのか?他国への嫁だし要員に姫君を!という言葉が多くなり、王妃様を苛立たせた。王様は単純に姫は可愛いからと、姫を授かりたいと奮闘していた。しかしそれを公の場で持ち出した臣下に、王妃様はブチ切れてしまった。
 『他国への嫁だし用に姫を生めというのなら!私は金輪際王とは閨を共に致しません!離婚ですか?結構ですよ?私もこれでノンビリ出来るというもの。王は後添えと姫作りに毎晩励み、政務に公務にと励むのだな!両立出来ぬと宣うならば、妊婦になった後添えにも励ませるがよい!姫を必ず産み政務もこなせ、この王の手綱を御せる!貴様らにはさぞかし優秀な娘がおるのだろう』
 ズラリと並ぶ臣下たちをジロリと一巡しながら眺める王妃様。
 『私の子たちは、絶対に政略結婚はさせません!  王よ己の仕出かした大罪を忘れたとは言わせぬぞ。そして!臣下に甘すぎるとこうなるのです。嫁だし用に姫を!などと宣う臣下たちは、他国と政略結婚でもさせないと、我が国は危ないとでも思っているのでしょう! そんな不忠義で無礼な臣下は要りません! 王よ! さあ!どうなさるおつもりで?  』
 その場は静まり返ったという。右往左往する王様に、王妃は離婚を突きつける。しかしそれで困るのは王だけではないわよね。グダグダと嫌みを垂れ流していた貴族たちも困るもの。貴族たちはなんでも出来る王妃様が疎ましいだけ。単に出る釘を打ちたいだけ。
 本当に貴族って……偉ぶるだけで情けないわよね……一部の良識のある貴族がいてこそ、貴族社会は回っている。その最たる王妃様が居なくなったらどうなるのよ……次代は……王子様たちが沢山いるから大丈夫だろうけど、
 『私はこの国に未練は無いしなー。王妃様は大好きだから、付いて行っちゃおうかなー』
 なんて考えちゃうわね。
 王様は己が姫を~うんねんは、王妃様とスキンシップをしたいからの甘言だと宣い、離婚だけはしないでくれ~と、愛しているんだと王妃様にすがり付く。何だかんだ言っても、王様は王妃様にベタ惚れしているからね。婚儀を挙げてからは、浮気は一切していないらしい。これは王様談だけど、影がついているから信用は出来るだろう。王家は特に庶子には厳しいからね。
 『後継者争いで国を騒がせるくらいならば、血の濃い者を養子に迎えよ』
 これが我が国の基本なのよ。だから側室や愛妾は認めない。王様の行動は逐一影により管理されている。これは王妃様も一緒よ。だからこそ仲たがいすると悲惨なの。貴族はそこを甘く見ているのよ。己の娘をあわよくば後添えに!なんて考えているのでしょうが浅はかよね。絶対に無理!王妃様以上の人がいるもんですか!
 「フローラ。途中で脱線してすまない。後は君も知る通りだ。王妃が君の母をお茶会に誘った。君の母は懐かしいからと、喜んで来てくれたそうだ。そこで母は色々と話を聞き、王に会わせても大丈夫かと探っていた」
 王様は彼女は強い女性だから大丈夫だと、安易に考えていたそうなの。けれど王妃様は、母を心配してくれていたのだと話してくれた。母は誰かに頼ることの出来ない性格だった。学園では近寄る取り巻きすら逃げ出すほどの、孤高の紅バラと呼ばれていたそうだから。己が少しでも、母の話を聞いてあげられる一人になれたらと思っていたと……
 お茶会での母からは、王への思慕をまったく感じなかったそう。しかも後継の息子を愛し、溺愛と感じるほどに慈しんでいる。旦那さんは優しい人と話す。あまり込み入った話は出来なかったけれど、優しい旦那様に可愛い息子。領地経営も上手くいき、社交の場でも輝いている。ならばきっと大丈夫。家族ぐるみで交流しよう。互いに話し合える友になれたらと、王妃様は家族での食事会の招待状を手渡したのよね。しかし母はそれを拒絶した。ならばまだ王様に未練が有るのかと問えばそれは無いという。ならば庶出である王妃にわだかまりがあるのかと問えば、それも違うという。庶出の出で有りながらも、キツい王妃教育を満点でこなした。学園時代は己が注意したことを、翌日には完璧にしてきて驚かせた。そう努力する人に悪い人はいないから……と、母は微笑んでいたそう。
 頑なに断る母にさすがに強制は出来ず、またお茶会をする約束をしその日は帰った。そして王妃様は考えた。なぜ食事会は駄目なのか?なぜ家族ぐるみでは……と……まさか!
 家族……そう家族よ!なぜお茶会で家族のお話をしていたのに、双子の娘の話が出ないの?まったく話題に出ないから、王妃様も気付かなかった。息子への溺愛ぶりに、当然娘も同様だと思いこんでいた。または旦那が娘可愛さに離さないのかと思っていたそう。

 やはりどう考えても不自然よね……
 
 王妃様の勘は的中した。

 そして私は十年ぶりに、監禁生活から抜け出した。

 家族との話し合いの場で……私を見た両親は驚愕に目を見開いていた。闇組織に売り飛ばしたはずなのに、己たちと暮らしていた頃より明らかに成長していた私。己で立ち歩行し、言葉を話し自己紹介をする。当たり前のことよ?何をそんなに驚くの?

 それはその義務を貴方たちが拒否したからよね?

 兄の隣に座るように促され着席する。しかし私は家族とはいっさい話さなかった。だって話しかけてくれないから。私は家族の名前を知らない。なんて呼べばよいの?家族から呼んではくれないの?

そのまま……やがて私は再度促されて席を立つ。立ちあがり横を向くと兄の横顔。
 私はまだまだ普通ではない……
 双子なはずの兄との成長の差。私はずっとそれに囚われてきた。でも……このプレゼントは嬉しいのか解らないわよ!

 お父さん……お母さん……の……バカ……悪いけど……今さら父上と母上なんて呼べないからね!!

 *****

すみません!終わりませんでした。しかも長っ!後一話?で終了かな…………?
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