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3章 血染めの髑髏
4 憂愁の海
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どこへ行こう。
また行く所がなくなった。
景司はあてもなく、いつかのように、街道を南に向かって歩いた。
初めは逃げるように足早だったが、次第に鈍り、止まりがちになる。
海が見たい。
トボトボと海に向かって歩いた。
地元だから、大体の地理はわかっている。
景色は違うが、海の場所はきっと同じだ。
学校があるわけでもなく、仕事と言ったって、何をしていいかわからない。
そりゃ、鼻つまみ者だわな。
蔑まれても、文句は言えない。
なのに、なんで悲しくなるのだろう。
暇人ほど悪いことを考える、とばあちゃんがよく言ってたっけ。
ろくでもないことしか浮かんでこない。
おれ、何やってるんだろう。
今更ながら、おかしくなる。
考えてみたら、酷い目に遭っているよな。
今までそれほど考えてこなかった、生きるの死ぬのの世界に放り込まれた。
歴史が好きだから、大河ドラマでよく戦のシーンとか見ているし、人よりはそういう世界に慣れていると思っていた。
でも、目の前で人が死んでいくのには耐えられない。
そして、熱すぎる男たちの思いを受け止めきれない。
まるで、命の種を植え付けるように抱いてくる。
激しすぎてついていけない。
死が目の前にあるから、激しくなるのだろう。
今の体は景三郎のものだから、耐えられるが、そうじゃなかったら、やわな体では耐えられない気がする。
帰りたい。
強烈にそう思う。
ここは安住の地じゃない。
このままじゃ壊れそうだ。
体も、心も、ボロボロになる。
海へ・・・。
潮の香りがしてきた。
街道を外れていき、松林を抜けていく。
視界が開け、砂浜に足を取られながら、波打ち際を目指す。
綺麗だ。
秋が深まり、頬をなぶる風は冷たい。
が、空の青と海の青の美しさに見惚れ、寒さを忘れた。
あの世か・・・。
ビルもコンビナートも貨物船もない。
飛行機が雲の尾をひいて飛んでいない。
波消しブロックもない。
草履を脱いだ。
内海だから、波はそれほど高くない。
波打ち際。
水が冷たい。
静かだった。
波の音と、風の音と、鳥の囀りしか聞こえない。
帰ろう。
何かがぷっつりと切れてしまったような気がする。
右京がひょっこりと現れて、救い出してくれる、なんてことも永遠にない。
小さな波が、足をくすぐってくる。
もう、どうでもいいや。
海に向かって歩いた。
膝まで波が来る。
寄せては返す波に押されたり、引かれたりと翻弄されるままに任せる。
誰だろう。
誰かが追ってくる。
何か言ってる。
振り返る気にもなれず、そのまま入って行ったら、腕を掴まれた。
そこで初めて振り返る。
「あんた誰?」
見たことのない侍が景司の腕を掴んでいた。
また行く所がなくなった。
景司はあてもなく、いつかのように、街道を南に向かって歩いた。
初めは逃げるように足早だったが、次第に鈍り、止まりがちになる。
海が見たい。
トボトボと海に向かって歩いた。
地元だから、大体の地理はわかっている。
景色は違うが、海の場所はきっと同じだ。
学校があるわけでもなく、仕事と言ったって、何をしていいかわからない。
そりゃ、鼻つまみ者だわな。
蔑まれても、文句は言えない。
なのに、なんで悲しくなるのだろう。
暇人ほど悪いことを考える、とばあちゃんがよく言ってたっけ。
ろくでもないことしか浮かんでこない。
おれ、何やってるんだろう。
今更ながら、おかしくなる。
考えてみたら、酷い目に遭っているよな。
今までそれほど考えてこなかった、生きるの死ぬのの世界に放り込まれた。
歴史が好きだから、大河ドラマでよく戦のシーンとか見ているし、人よりはそういう世界に慣れていると思っていた。
でも、目の前で人が死んでいくのには耐えられない。
そして、熱すぎる男たちの思いを受け止めきれない。
まるで、命の種を植え付けるように抱いてくる。
激しすぎてついていけない。
死が目の前にあるから、激しくなるのだろう。
今の体は景三郎のものだから、耐えられるが、そうじゃなかったら、やわな体では耐えられない気がする。
帰りたい。
強烈にそう思う。
ここは安住の地じゃない。
このままじゃ壊れそうだ。
体も、心も、ボロボロになる。
海へ・・・。
潮の香りがしてきた。
街道を外れていき、松林を抜けていく。
視界が開け、砂浜に足を取られながら、波打ち際を目指す。
綺麗だ。
秋が深まり、頬をなぶる風は冷たい。
が、空の青と海の青の美しさに見惚れ、寒さを忘れた。
あの世か・・・。
ビルもコンビナートも貨物船もない。
飛行機が雲の尾をひいて飛んでいない。
波消しブロックもない。
草履を脱いだ。
内海だから、波はそれほど高くない。
波打ち際。
水が冷たい。
静かだった。
波の音と、風の音と、鳥の囀りしか聞こえない。
帰ろう。
何かがぷっつりと切れてしまったような気がする。
右京がひょっこりと現れて、救い出してくれる、なんてことも永遠にない。
小さな波が、足をくすぐってくる。
もう、どうでもいいや。
海に向かって歩いた。
膝まで波が来る。
寄せては返す波に押されたり、引かれたりと翻弄されるままに任せる。
誰だろう。
誰かが追ってくる。
何か言ってる。
振り返る気にもなれず、そのまま入って行ったら、腕を掴まれた。
そこで初めて振り返る。
「あんた誰?」
見たことのない侍が景司の腕を掴んでいた。
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