小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

文字の大きさ
292 / 697
第九章 久々のセルカーク直轄領

第五百九十五話 新しいお友達

しおりを挟む
 旅も十日目になります。
 今日は、最後の主要中継地の子爵領に向かいます。
 いつも通り、朝から準備を進めます。

「今日到着する子爵領と、帰りに寄るアマード子爵を繋ぐ街道がある。なので、帰りはその道を通って行くことになる」

 朝の点呼の際に部隊長さんが色々と教えてくれたけど、いよいよあの盆地にあるアマード子爵の名前も出てきた。
 段々とセルカーク直轄領に近づいてきたんだなと、改めて実感してきました。
 そして、気をつけなければいけないことがあります。

「ここからセルカーク直轄領まで森林地帯に入る。道中何があるか分からないから、常に周囲に気を配るように」
「「「はっ」」」

 セルカーク直轄領も、周囲は森ばっかりだったよね。
 今日から、シロちゃんとピーちゃんが周囲の警戒にあたるそうです。
 ということは、またまた僕のやることがなさそうです。
 なので、いつも通り馬車内で勉強することになりました。

「うー、まさかユキちゃんまで御者席に行っちゃうとは……」
「レオ様、口ではなく手を動かして下さい」

 今日もジェシカさんの監視の下で、難しい本を読んでいきます。
 いつも馬車に乗っているユキちゃんも、勇んで御者席に移動していました。
 チラッと馬車の窓から御者席を見たけど、ユキちゃんは御者を務める兵に抱っこしてもらってご機嫌ですね。
 僕も、たまには御者席に乗ってみたいなあ。
 そんなことを思いながら、本を読んでいきます。
 時々馬車が停まるけど、兵が難なく動物を倒しているので、やっぱり僕のやることがありません。
 兵にとっても、倒した獲物をシロちゃんがささっと血抜きしてアイテムボックスにしまってくれるので、臨時収入間違いなしって嬉しそうな表情です。
 ピーちゃんも周囲をしっかりと警戒していて、ユキちゃんも鼻を使って周囲の臭いを嗅ぎ分けています。
 そんな中、昼食の時にちょっとしたトラブルが発生しました。
 なんと、ピーちゃんが村の近くの茂みの中からとっても小さくてボロボロの猫を掴んでやってきました。
 一瞬ピーちゃんの餌かなと思ったけど、なんとこれが大発見でした。

「こ、これはモリヤマネコじゃ。遠くの山の麓にしか住んでいないはずじゃ」

 たまたま相席だった村のおじいさんが教えてくれたけど、数はそれなりにいるけど普段はこんな町の直ぐ側には来ないそうです。
 しかも、成長してもとても小さいけどとてもすばしっこくて狩りの名手だそうです。
 何でこの子猫が村の近くにいるのかを確認しないといけないけど、怪我をしてお腹も空いているのでユキちゃんが治療して、シロちゃんがアイテムボックスからヤギの乳を取り出してお皿に入れて飲ませていました。
 ユキちゃん用に取っておいたものだそうです。
 子猫はよほどお腹が空いていたのか、勢いよくヤギの乳を飲んでいました。
 そして、お腹がいっぱいになったところで、シロちゃんたちがなんでここにいたのかを聞きました。

「親といたところを、他の動物に襲われたんだって。それで、全速力で逃げてきたみたいです」
「おお、大型のオオカミなどに狙われることもあるぞ。それに、これだけ山から離れると、どこに親がいるか分からないぞ」

 おじいさんも、もう親元に戻るのは難しいのではと言っていました。
 すると、ユキちゃんとピーちゃんが子猫の側に寄り添いました。

「アオン!」
「ピィ!」

 自分たちも助けられたから、この子猫のことを助けたいんだよね。
 それに、シロちゃんも子猫のことを気にかけていました。
 えっ、なになに?

「あの、シロちゃんがムギちゃんって名前をつけちゃいました。収穫前の麦の色に毛並みが似ているからだそうです……」

 こうなると、もう見捨てる訳には行かないですね。
 ムギちゃんはだいぶ疲れているので、魔法袋からバスケットを取り出してタオルを敷いて寝かせることにしました。
 というか、もうムギちゃんはすやすやと寝ていますね。
 ということで、僕たちに新しい仲間ができました。
 その後は無事に子爵領まで着いたけど、その間何故かムギちゃんはバスケットから抜け出してジェシカさんの膝の上でゴロゴロとしていました。
 うん、僕がずっと勉強していたからだと思いたいです。
 にこりとしながらムギちゃんを撫でるジェシカさんが、ちょっと羨ましいです。
 そして、定時報告で新しい仲間ができたと伝えたら、ギルバートさん経由で家族が早く見てみたいと返信がありました。
 ムギちゃんなら、きっとみんなメロメロになるはずです。
しおりを挟む
感想 207

あなたにおすすめの小説

五年後、元夫の後悔が遅すぎる。~娘が「パパ」と呼びそうで困ってます~

放浪人
恋愛
「君との婚姻は無効だ。実家へ帰るがいい」 大聖堂の冷たい石畳の上で、辺境伯ロルフから突然「婚姻は最初から無かった」と宣告された子爵家次女のエリシア。実家にも見放され、身重の体で王都の旧市街へ追放された彼女は、絶望のどん底で愛娘クララを出産する。 生き抜くために針と糸を握ったエリシアは、持ち前の技術で不思議な力を持つ「祝布(しゅくふ)」を織り上げる職人として立ち上がる。施しではなく「仕事」として正当な対価を払い、決して土足で踏み込んでこない救恤院の監督官リュシアンの温かい優しさに触れエリシアは少しずつ人間らしい心と笑顔を取り戻していった。 しかし五年後。辺境を襲った疫病を救うための緊急要請を通じ、エリシアは冷酷だった元夫ロルフと再会してしまう。しかも隣にいる娘の青い瞳は彼と瓜二つだった。 「すまない。私は父としての責任を果たす」 かつての合理主義の塊だった元夫は、自らの過ちを深く悔い、家の権益を捨ててでも母子を守る「強固な盾」になろうとする。娘のクララもまた、危機から救ってくれた彼を「パパ」と呼び始めてしまい……。 だが、どんなに後悔されても、どんなに身を挺して守られても、一度完全に壊された関係が元に戻ることは絶対にない。エリシアが真の伴侶として選ぶのは、凍えた心を溶かし、温かい日常を共に歩んでくれたリュシアンただ一人だった。 これは、全てを奪われた一人の女性が母として力強く成長し誰にも脅かされることのない「本物の家族」と「静かで確かな幸福」を自分の手で選び取るまでの物語。

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています

由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、 悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。 王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。 だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、 冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。 再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。 広場で語られる真実。 そして、無自覚に人を惹きつけてしまう リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。 これは、 悪役令嬢として断罪された少女が、 「誰かの物語の脇役」ではなく、 自分自身の人生を取り戻す物語。 過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、 彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。