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第九章 久々のセルカーク直轄領

第五百九十三話 たまには僕も獲物を倒したいなあ

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 旅も八日目に入りました。
 段々とセルカーク直轄領に近づいていると思うと、何だかワクワクしてきますね。
 ちなみに、昨日治療した子爵のお母さんは無事に意識を取り戻したそうです。
 出発前に話を聞いて、ホッと一安心しました。

「今日は、森と丘のあるところを抜けていくんですね」
「この子爵領から、コバルトブルーレイク直轄領に行く街道があります。その周囲が山がちなためになります」

 休憩の時に兵に聞いたけど、王都からコバルトブルーレイク直轄領にはこうやって行くんだね。
 そういえば、コバルトブルーレイク直轄領は少し高いところにあったような。
 アマード子爵領も、周囲を山に囲まれた盆地にあるよね。
 そう思うと、セルカーク直轄領は高いところにあるのかな?
 王都とかと比べると、ちょっと寒かった気もします。
 周囲に森がたくさんあるからかなと思いながら、僕は休憩を終えて馬車に乗り込みました。

「今日も、兵が出てきた動物を倒しているんですね」
「先日も申しましたが、レオ様が倒すような魔物が出てくることは少ないと思われますので」

 僕は、勉強している手を止めて窓の外を眺めていました。
 大きなイノシシを相手に兵が奮闘していて、シロちゃんとピーちゃんがすぐそばに控えていつでも助太刀できるようにしていました。
 それでも、兵は部隊長さんの指示で確実にイノシシにダメージを与えて倒し切りました。
 シロちゃんが血抜きをしてアイテムボックスに入れたけど、先日倒したオオカミも含めて王都に戻ったらまとめて軍に提出する予定だそうです。
 臨時収入にもなるし、シロちゃんが血抜きをバッチリとしているから卸値も高いでしょうね。
 こうして何回か動物の襲撃はあったけど、全部撃退して丘を越えて無事に今日泊まる男爵領に到着しました。
 うん、今日も僕はいっぱい勉強できたって言えばいいのでしょうか。
 たまには僕も獲物を倒したいなあって、そんな気持ちになりました。

「あっ、今日もギルバートさん経由でクリスちゃんとマヤちゃんからの連絡があるね。これも返信してっと」

 無事に宿に到着して通信用魔導具で定時連絡を入れようとしたら、二人からの通信がありました。
 無事で良かったと入っていたので、今日何があったかを返信します。
 そして、いつもの定時連絡を入れるとまたもや色々な人から返信がありました。
 王都も何も事件が起きていなくて、とっても平和だそうです。
 国境も何も問題が起きていないし、本当にいいことですね。

「あっ、ギルバートさんが冒険者学校入学試験の問題集をたくさん買ったって返信があったよ。とってもありがたいけど、しばらくは勉強漬けになりそうだね」

 通信用魔導具の通信欄を見て、思わず苦笑しちゃいました。
 更に、今苦労している上級官僚試験向けの本も買ったそうです。
 アレックスさんの分もあるそうなので、屋敷に帰ったらアレックスさんと本の交換もしてみようかな。
 そんなことを夕食時に話したら、子どもは遊ぶことも大切だと兵から言われちゃいました。
 もちろん王都に戻ったら、クリスちゃんとマヤちゃんと一緒に遊ぶ予定ですよ。
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