小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第八章 帝国との紛争

第五百三十七話 国境の軍の施設に到着

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 翌朝、僕たちは国境の軍の施設に向かうための準備をしていました。
 同行する兵とともに、必要な荷物の準備をしています。

 シュッ。

「こりゃすげーな。あれだけの大量の荷物を一瞬でしまっちまったぞ」
「流石は黒髪の魔術師様だな」

 サンダーランド辺境伯家からの支援物資も、僕とシロの魔法袋とアイテムボックスにしまいます。
 これで、準備完了ですね。
 見送りのために、サンダーランド辺境伯家の皆さんが来てくれました。

「被害を受けた君たちの方が分かっているが、今はまさに国家の存亡の危機だ。帝国の暴走を止めることができるのは、君たちしかいない。存分に働くことを期待する」
「「「はっ!」」」

 ボーガンさんの訓示に、兵も姿勢を出して敬礼しています。
 僕もマイアさんも、一緒に敬礼しています。
 個人的には、ユキちゃんの敬礼がとても可愛いですね。
 そして、それぞれの馬車に乗り込みました。
 僕たちの馬車にも、御者を務める兵が乗り込みました。

「行ってきます」
「うむ、気を付けてな」
「気をつけてね」

 こうして、僕たちは国境の軍の施設に向かいました。
 山沿いにあるそうで、サンダーランド辺境伯領の領都から一日かかるそうです。
 荷物はないけど、周囲を警戒しながら進んでいきます。

「その、戦いは大丈夫でしょうか。また、いっぱい怪我人がでたら……」
「怪我人は出るのは仕方ないさ。でも、はっきり言って兵の士気が違う。短期戦にはならないと思うが、暫くは睨み合いになるだろうよ」

 帝国は、奇襲が失敗したので指揮が少し落ちているという。
 王国としては、その間に陣形を立て直したいそうです。

「あと、陣地も直したいんだよなあ。少し傷んでいるところがあるぞ」
「えっと、レンガみたいなものでしたら土魔法で作れますよ」
「おっ、それはありがたいな。司令官に相談してみるか」

 守りも堅くすれば、きっと帝国側も攻めにくくなるはずですよね。
 シロちゃんとユキちゃんもアイディアを出しながら、僕たちは無事に国境の軍の施設に到着しました。
 すると、何故か大歓声が上がりました。
 同乗していた兵もなんでだろうなって思っていたら、ちょっと困った表情のアイリーンさんが僕たちに話しかけてきました。

「レオ君、お疲れ様。ある程度治療を終えているから、今はそこまで忙しくはないわよ。私たちがたくさんの食料を持ってきたから、食事にも困っていないわよ」
「えっ、じゃあなんでこんなに喜んでいるのですか?」
「実はね、レオ君が持ってきた荷物の中に簡易浴槽があるのよ。お風呂に入れるってのは、案外士気に関わるのよ」

 そっか、お風呂に入ってゆっくり休めるだけでも違うもんね。
 ということで、早速僕の魔法袋とアイテムボックスから大量の荷物を取り出しました。
 それを見た兵が、またもや大歓声をあげていました。

「うおー! すげー荷物の量だ!」
「替えの下着とかも入っているぞ!」
「武器の修理道具も入ってる。ふふふ、これで奴らに一泡吹かせてやるぞ」

 荷物を手にとって、目を輝かせていました。
 この笑顔を見ただけでも、ここにきて良かったと思いました。
 荷物運びは兵が嬉々としてやるそうなので、僕はアイリーンさんとともに司令官のところに挨拶に向かいました。
 司令部はとても立派な作りで、かなり頑丈だそうです。
 そんな建物の中にある、司令官室に入りました。

 コンコン。

「失礼します、レオ君が到着しました」
「おお、そうか。入ってくれ」

 部屋に入ると、とっても立派な口ひげとあごひげを生やしたガッチリとした茶髪の短髪の男性が僕を迎えてくれました。
 この人が、この国境の司令官さんなんですね。
 とても良い人みたくて、僕だけでなくシロちゃんとユキちゃんとも握手してくれました。
 そして、ソファーに座って話を聞くことになりました。

「ハーデス・ノーヴェだ。娘が世話になったみたいだな。俺も、この手でゴルゴンの馬鹿野郎を捕まえたかったよ」

 えー!
 まさかの司令官さんが、アイリーンさんのお父さんだったとは。
 髪色も体格も全然違うから、全く分からなかったよ。
 良い人ってところしか、アイリーンさんと似ていないかもしれない。
 もちろん、シロちゃんとユキちゃんもとてもビックリしていました。
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