上 下
397 / 446
第七章 王都

第四百四十九話 ブランフォード子爵との話と来週の話

しおりを挟む
 たっぷりとお昼寝をして元気いっぱいになったところで、フランソワーズ公爵家にお客様がやってきました。
 僕も同席して欲しいと言われたけど、一体誰が来たのかな?
 寝起きで寝癖が凄いことになっていたので、クリスちゃんと一緒にジェシカさんに直してもらいました。
 みんなで応接室に移動すると、そこにはブランフォード子爵がいました。

「「こんにちは」」
「やあ、二人ともこんにちは」
「おお、二人とも起きたか」

 ギルバートさんが応対していたけど、僕とクリスちゃんもギルバートさんの隣に座りました。
 すると、直ぐにブランフォード子爵が立ち上がりました。

「レオ君、寝起きのところ申し訳ない。そして、この度はヴァイス子爵の件で本当に迷惑をかけた」
「ブランフォード子爵様、顔を上げてください! 僕もヒルダさんの件があったので、ヴァイス子爵には思うところはありました」
「そう言って頂けると、私も助かる。今日も大活躍をしたみたいだし、やはり黒髪の天使様は凄いな」

 ブランフォード子爵は軍の幹部だから、大教会やハンブルク男爵家の件も知っているみたいです。
 正しい情報を既に得ているので、僕としてもとっても安心です。
 間違った情報でお話はしない方がいいですね。

「ハンブルク男爵はとても誠実な若者だ。両親のことでだいぶ悩んでいたが、もう少し我々が気を使ってやっても良かったのだろう。そこは、我々も反省しないとならない」

 ブランフォード男爵は、軍の幹部として軍人のハンブルク男爵のことを何か出来たのではないかと悔やんでいた。
 でも、きっとヴァイス子爵が邪魔をして面倒なことになったでしょうね。
 あっ、そうだ。
 あの事を話さないと。

「ブランフォード子爵様、来週の安息日はライサさんと一緒に奉仕活動をするのを楽しみにしています」
「クリスも一緒にやるよ!」
「それは娘もきっと喜ぶでしょう。必ずお伝えしておきますぞ」

 今まで神妙な表情で話をしていたブランフォード子爵も、この時ばかりはニコリと顔を綻ばせていました。
 ギルバートさんとブランフォード男爵はまだまだ話をするそうなので、僕とクリスちゃんは応接室を後にしました。
 来週は何かあるかもしれないけど、基本的にはもう大丈夫だって言っていました。
 そして夕食時に、ギルバートさんが来週のことを話しました。

「来週の安息日前の謁見は、予定通りに行われる。そして、夜に行われる私の商務大臣就任祝いと併せて、レオ君の名誉貴族の叙爵祝いも行うこととした」
「わあ、レオ君もなんだね。お祝いしてあげないと」
「おにいさまもすごーい!」

 ギルバートさんの発表にウェンディさんとクリスちゃんはもの凄い喜んでいたけど、アレックスさんは何故か緊張した面持ちを崩していなかった。
 何かあったのかなと思ったら、苦笑しながらモニカが理由を教えてくれました。

「ふふ、アレックスは当日私と一緒に色々な人を案内する事になっているのよ。沢山の人が来る上にレオ君のこともあるから、きっとアレックスは頭の中がぐるぐるになっちゃったのよ」
「はあ、緊張しちゃうよ……」

 確かに公爵家の跡取りとして色々と動かないとならないから、本当に大変なんだろうね。
 すると、元気よく手を挙げる一人と二匹がいました。

「アレックスおにいさま、クリスが手伝ってあげるよ! シロちゃんとユキちゃんも、手伝ってくれるって」
「アオン!」
「ふふ、仕方ないから私も手伝ってあげるよ」
「絶対にパーティーの方を楽しむと思うよ……」

 ついでに手を挙げたウェンディさんをアレックスさんがジト目で見ているけど、少しは元気が出てきたみたいですね。
 こうしてワイワイと夕食は進んだのですが、まだ疲れが残っていたのか僕たちはお風呂に入ってベッドに潜り込むと直ぐに寝ちゃいました。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ダンジョン配信 【人と関わるより1人でダンジョン探索してる方が好きなんです】ダンジョン生活10年目にして配信者になることになった男の話

天野 星屑
ファンタジー
突如地上に出現したダンジョン。中では現代兵器が使用できず、ダンジョンに踏み込んだ人々は、ダンジョンに初めて入ることで発現する魔法などのスキルと、剣や弓といった原始的な武器で、ダンジョンの環境とモンスターに立ち向かい、その奥底を目指すことになった。 その出現からはや10年。ダンジョン探索者という職業が出現し、ダンジョンは身近な異世界となり。ダンジョン内の様子を外に配信する配信者達によってダンジョンへの過度なおそれも減った現在。 ダンジョン内で生活し、10年間一度も地上に帰っていなかった男が、とある事件から配信者達と関わり、己もダンジョン内の様子を配信することを決意する。 10年間のダンジョン生活。世界の誰よりも豊富な知識と。世界の誰よりも長けた戦闘技術によってダンジョンの様子を明らかにする男は、配信を通して、やがて、世界に大きな動きを生み出していくのだった。 *本作は、ダンジョン籠もりによって強くなった男が、配信を通して地上の人たちや他の配信者達と関わっていくことと、ダンジョン内での世界の描写を主としています *配信とは言いますが、序盤はいわゆるキャンプ配信とかブッシュクラフト、旅動画みたいな感じが多いです。のちのち他の配信者と本格的に関わっていくときに、一般的なコラボ配信などをします *主人公と他の探索者(配信者含む)の差は、後者が1~4まで到達しているのに対して、前者は100を越えていることから推察ください。 *主人公はダンジョン引きこもりガチ勢なので、あまり地上に出たがっていません

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

私は旦那様にとって…

アズやっこ
恋愛
旦那様、私は旦那様にとって… 妻ですか? 使用人ですか? それとも… お金で買われた私は旦那様に口答えなどできません。 ですが、私にも心があります。 それをどうかどうか、分かって下さい。  ❈ 夫婦がやり直す話です。  ❈ 作者独自の世界観です。  ❈ 気分を害し不快な気持ちになると思います。  ❈ 男尊女卑の世界観です。  ❈ 不妊、代理出産の内容が出てきます。

美春と亜樹

巴月のん
恋愛
付き合っていた二人の攻防による復縁話 美春は先輩である亜樹と付き合っていたが、度重なる浮気に限界を感じて別れた。 しかし、別れてから積極的になった彼に対して複雑な思いを抱く。 なろうにも出していた話を少し修正したものです。

婚約破棄されたから能力隠すのやめまーすw

ミクリ21
BL
婚約破棄されたエドワードは、実は秘密をもっていた。それを知らない転生ヒロインは見事に王太子をゲットした。しかし、のちにこれが王太子とヒロインのざまぁに繋がる。 軽く説明 ★シンシア…乙女ゲームに転生したヒロイン。自分が主人公だと思っている。 ★エドワード…転生者だけど乙女ゲームの世界だとは知らない。本当の主人公です。

隣の芝は青く見える、というけれど

瀬織董李
恋愛
よくある婚約破棄物。 王立学園の卒業パーティーで、突然婚約破棄を宣言されたカルラ。 婚約者の腕にぶらさがっているのは異母妹のルーチェだった。 意気揚々と破棄を告げる婚約者だったが、彼は気付いていなかった。この騒ぎが仕組まれていたことに…… 途中から視点が変わります。 モノローグ多め。スカッと……できるかなぁ?(汗) 9/17 HOTランキング5位に入りました。目を疑いましたw ありがとうございます(ぺこり) 9/23完結です。ありがとうございました

婚約破棄!? ならわかっているよね?

Giovenassi
恋愛
突然の理不尽な婚約破棄などゆるされるわけがないっ!

蔑まれ虐げられ裏切られた無能と言われた聖女は魔王の膝の上で微睡む

asamurasaki
恋愛
ここは人間(ヒト族)と魔族が生きる世界。 人間も魔族もお互いが憎み合い、長きに渡り人間と魔族は対立し、諍いを繰り返してきた。 人間と魔族では一人の能力は魔力も身体的力も圧倒的に魔族の方が上だったが、魔族は人間の千分の一にも満たないくらいしかおらず人間は数と知恵で魔族に対抗していたが、長年魔族が有利な状態であった。 だが、何故か魔族は人間を甚振りはするが滅ぼそうとはしてこなかった。 だが、今から788年前に人間の側に勇者と聖女という存在が生まれてから、人間と魔族の力が拮抗するようになった。 それによりお互いを牽制するようにな状態になり、少ない諍いはあったが表面上は人間の世界は平和な世が続いた。 しかし現在の初代勇者が興した国、ゲオング王国の第二王子と初代聖女が興した国、カナンゲート聖王国の第一王女が婚約した時に次期女王であり大聖女でもある第一王女と第二王子が、魔族討伐を掲げる。 2つの国が魔族討伐隊を結成して人間が住む大陸から北方の荒ぶる海を隔てた孤島に魔国に構える魔族の国、ヴェルテルティア魔国に上陸する。 だが、長年まともに魔族と戦ったことがない人間たちにとって魔族の本拠地での戦は無謀と言えるものだった。 上陸してから僅かな時間で魔族に圧倒的な力を見せつけられて、魔族討伐隊は全滅の危機に陥る。 その時に討伐隊の隊長であるゲオング王国の勇者の末裔である第二王子と、カナンゲート聖王国の聖女の末裔である大聖女第一王女が 自分たちが逃げる為に一人の聖女である平民の少女を裏切り、彼女と魔法剣士たちを置き去りにする。 置き去りにされた聖女は魔法剣士たちと魔族に対抗していたが、あっという間に一人になってしまう。 一人で魔族たちと対抗してきたがとうとう魔力が切れてしまい魔族が使役する魔獣に襲われて事切れたはずだった。 人間界で唯一聖女が生まれるとされるカナンゲート聖王国に生まれた孤児である平民の聖女リゼットは、白い髪と金の瞳という珍しい見目から生まれてから人間の世界で、『魔族と同じ金の瞳の忌み子』とずっと忌み嫌われ虐げられきた。 死んだと思ったリゼットは起きると何故か傷ひとつなく豪華なベッドの上で目覚める。 最後の方にR18シーンが含まれます。 ユルユル設定です。 独自設定盛り盛りです。 復讐ものです。 人間側にクズが多いです。 お許し頂ける方のみよろしくお願いします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。