小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ

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第七章 王都

第四百四十八話 陛下への報告

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 でも、僕はギルバートさんについていくしかなく、軍が来て現場保存と関係者の護送が済んだところで、他の人と一緒に王城に向かいました。

「これが、長年ハンブルク男爵家に仕えてきた私にする仕打ちか! 私がいないこんな家など、滅びるがよい!」
「確かにそなたは長年我が家に仕えていたが、同時にかなり私腹を肥やしたみたいだな。犯した犯罪云々以前に、それだけでも十分我が家から追放するに値する」
「くっ……」

 屋敷を出る際に軍により連行される執事が大声で喚いていたけど、ガスターさんの方が一枚上だったようです。
 ガスターさんだけでなくジーナさんも、執事の方に見向きもせずに馬車に乗り込んでいました。
 王城に着くと、案内された場所はこの前閣僚会議が開かれた場所です。
 既に陛下は会議室に入っていて、ガスターさんとジーナさんが直ぐに陛下に頭を下げました。

「陛下、この度は大変なご迷惑をおかけし誠に申し訳ありません」
「どのような罰をも甘んじて受け入れますが、まずは陛下に謝罪いたします」

 陛下は、頭を下げた二人を見て満足そうに頷いていた。
 既に報告は聞いているので、陛下は二人の人となりを確認したみたいです。

「うむ、謝罪を受け入れよう。まずは、二人とも座るが良い。本日は安息日だ、手短に終わらせよう」
「「失礼いたします」」

 二人が座ったところで、直ぐに話し合いが始まりました。
 と言っても、多くは改めての確認がメインです。

「獅子身中の三匹の虫のところには、強制捜査と共に当主や関係者の捕縛命令を出している。ガスターの集めた証拠が決定打になっていて、奴らは言い逃れできまい。二人の身の振り方は、宰相の方針で良いだろう。ガスターは優秀な軍人で、ジーナは奉仕作業に熱心だという。愚かなものは使い物にならないが、優秀な人材なら幾らでも使いようがある」
「ご配慮頂き、感謝申し上げます」
「過分なご配慮でございます」

 改めてガスターさんとジーナさんが陛下に頭を下げたけど、二人が優秀な人材なのは確かです。
 少なくとも、自分の父親や家臣の罪を暴いて軍に引き渡しをしたのですから。
 自浄作用はあると言えましょう。
 そして、話は何故か僕のことになりました。

「大教会にレオがいたからこそ、話がスムーズに纏まった。これは、評価して良いことだ。更に、魔力が尽きる寸前まで重傷者や町のものを治療を行ったそうではないか」
「陛下、僕はできることをやっただけですので……」
「出来ることを、全力でやる。一見して簡単そうで、実はとても難しいことだ。ヴァイス子爵を捕縛したことも含めると、来週の謁見が本当に楽しみだ」

 あっ、陛下だけでなくチャーリーさんたちもとっても悪い表情をしているよ。
 これは、絶対に何か企んでいる表情です。
 来週の謁見が、とっても不安になっちゃいました。
 そして、陛下はガスターさんとジーナさんに改めて向き直りました。
 二人とも、ピンと姿勢を正します。

「ハンブルク男爵家への処分は、間違いなく謁見までには間に合わないだろう。後日、関係者を集めて改めて周知するとしよう」
「「畏まりました」」

 こうして、手短に話し合いは終わりました。
 もうやる事はないので、それぞれが屋敷に帰ります。
 すると、ガスターさんとジーナさんが僕に頭を下げました。

「黒髪の天使様、今日は本当にありがとうございました。ここまで上手くいくとは、全く思っていませんでした」
「大教会で黒髪の天使様に会えた時、これで救われると確信しておりました。そして、実際に我が家をお救い下さいました。感謝してもしきれません」
「あのその、頭を上げてください。お二人がしっかりとした対策をしていたからこそで、僕は殆ど何もやっていませんから」

 わたわたとする僕の事を、皆が微笑ましく見ていました。
 ともかく、無事に事件が解決しそうで良かったです。
 こうして、僕もギルバートさんと一緒に屋敷に帰りました。

「お帰りなさい! あれ? おにいさまもお疲れモード?」
「うん、ヘロヘロになるくらい疲れちゃったよ……」

 ちょうど昼食の時間だけど、クリスちゃんにも分かるほど僕はヘロヘロでした。
 そして昼食を食べたら部屋に戻って、一足先にベッドに潜り込んでいるユキちゃんとともにお昼寝タイムに入りました。
 シロちゃんも枕元に潜り込んでいたけど、何故かクリスちゃんもベッドに潜り込んで一緒にお昼寝をしていました。
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