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1巻
1-2
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「ぐえー!」
「「「「はっ?」」」」
僕の放った熱いものの直撃を受けた緑色のツンツン頭の男は、体をくの字にしながら五メートル程吹き飛んでいた。
どこからかびっくりしている声が聞こえたけど、僕はまだ危ない人が四人いるのを思い出した。
どうにかしないと他の人と同じく殺されてしまう。
そう思って、危ない人の方に再び右手を向けた。
キュイーン、シューン。
ズドーン、ズドーン、ズドーン、ズドーン!
再び僕の足元に魔法陣が展開し、僕は右手に集まった熱いものを危ない人の方に乱射した。
「「「ぐわぁー!」」」
僕が右手に集めた熱いものを乱射すると、緑色の短髪の男を含む三人が倒れたのが見えた。夢中で手に集めたものを乱射したのに、放ったもの全てが正確に危ない人に当たっていた。
バシーン、バシーン。
「くっ、何で子どもの魔法がこんなに重いんだよ!」
でも、まだ茶髪のロングヘアの男が残っている。壁みたいなもので、僕の放ったものを防いだみたいだ。
あの人は、平然と人を燃やしていたからとっても危険だ。あの人をどうにかしないと、確実に僕は殺されてしまう。
キュイーン。
ズドーン、ズドーン、ズドーン!
僕は、茶髪のロングヘアの男に体の中から集まった熱いものを連続で放った。
「ググググ!」
ミシミシ。
茶髪の男が出した壁のようなものが、ミシミシと音を立て始めていた。男も表情に余裕がなくなっている。
あと少しだ。
ズドーン、ズドーン、ズドーン!
僕は熱いものをとにかく連射した。
パリパリ、パリーン。
ドーン!
「うがあー! 俺の魔法障壁が、こんなガキなんかに!」
そして、遂に茶髪のロングヘアの男が使っていた壁みたいなものが壊れ、僕の放った熱いものが茶髪のロングヘアの男を直撃した。吹き飛ばされた茶髪の男は何かを話していたけど、すぐに体が動かなくなった。
「うぐ、うぐぐ」
「くそ、体が痺れて動かん」
僕が吹き飛ばした人は、全員が声は辛うじて出せるが体を動かす事ができない状態だ。
な、何とかなったのかな。急いでこの場から逃げないと。
僕は、意識が朦朧としたまま走り出そうとした。
ぐわん。
しかし僕の全身から力が抜けて、手足に力が入らなくなった。
僕は尻もちをつくようにその場に座り込むと、そのまま力が抜けて仰向けに倒れて一気に意識を失ってしまった。
◇ ◇ ◇
ぱっかぱっかぱっかぱっか。
「こっちから声が聞こえたぞ」
「何だ、この焦げ臭い臭いは」
「死体が転がっているぞ」
騎士服を着て簡易的な鎧を装備した騎馬の一団が、馬車が止まっている街道脇に集まっていた。
一同は、現場の悲惨な状況を目の当たりにしてかなり驚いていた。
この辺を管轄する守備隊がたまたま近くを巡回しており、叫び声を聞いて集まったのだ。
「ブ、ブラッド隊長。この緑色の短髪の男は、バラス盗賊団のトップじゃないですか?」
「おお、確かに手配書の絵にそっくりだな。それに、体は動かせないようだが会話はできそうだぞ」
隊員の話を聞いたブラッドが、体が全く動かない緑色の短髪の男の側にどっかりとしゃがみ込んだ。
ブラッドは改めて周囲を見回した。
倒れているが辛うじて生きている五人は手配書に載っている容貌と全く一緒だった。街道の木の側で倒れている子どものもとに、女性隊員が走っていった。
ブラッドは、緑色の短髪の男にフランクに話しかけた。
「よお、天下のバラス盗賊団が一体どうしたんだよ。こりゃ、全滅じゃないか」
「ああ、全くだよ。あのガキにやられた。はは、せっかく久々の大物だったのにな」
緑色の短髪の男は体が痺れて動けないようで、全てを諦めたのかブラッドに淡々と話し始めた。
ブラッドも緑色の短髪の男の話に付き合いながら、周りの状況を冷静に確認していた。
焼け焦げた死体が二体で、他に死体が二体。殺しの手口は、手配書に載っていたバラス盗賊団のものと同一だった。
その時、倒れていた子どものもとに駆け寄っていた女性隊員が、ブラッドに向かって叫んだ。
「隊長。この子は重傷ですが生きています。どうも初めて魔法を使った時に見られる熱を出しているようですね」
「そうか。そのままじゃ辛いだろうから、上手く治療してやれ」
ブラッドは子どもの側にいる女性隊員に指示を出すと、再び緑色の短髪の男と話し始めた。
「なあ、あの坊主の魔法は凄かったか?」
「ああ、凄かったぞ。うちの魔法使いよりも良い素質を持っていた。うちのアホがわざとガキを追い詰めて遊んでいたから、手痛いしっぺ返しをくらったぞ」
「まさに窮鼠猫を噛む、ってヤツだな」
「そうだな。あのガキをスカウトすれば、俺らももっと発展しただろう」
「ははは、そりゃちげえねえ」
ブラッドは、緑色の短髪の男の話に同意していた。
いくら不意打ちをくらったとはいえ、まだ幼い子どもが大の大人を魔法でぶっ飛ばしたのだ。
どんな組織であれ、よだれが止まらない程の逸材だろう。この隊長にしても、幼い子どもは隊員にできないという規定がなければスカウトしたいと考える程だ。
そんな事を思っていたブラッドのもとに、別の隊員が話しかけてきた。
「隊長、死体を全てシーツに包みました。あと、その男以外は拘束しました」
「分かった。あの馬車が動けば、一気に全員運べるな。ちょっと見てこい」
「はっ」
ブラッドは隊員に指示を出しながら、自身も縄を取り出した。
「よっと、お前さんも拘束させてもらうぞ」
「お好きにどうぞ。どうせ全く動けないからな」
ブラッドは縄を手に持ち、緑色の短髪の男を拘束し始めた。
そして、これから忙しくなるぞと、気を引き締めるのだった。
二章 守備隊での生活
チュンチュン。
チュンチュン。
「うーん。うん? あれ? ここはどこだ?」
僕は鳥の声で目を覚まし、起き上がって辺りを見回した。
おや?
なぜか僕の体が、生まれ変わったみたいにスッキリしていた。
えーっと、確か僕は行商人を襲った男から逃げていて、足がもつれて転んじゃったはず。それで、頭を打って意識が朦朧として。
うーん、その後の事はぼんやりとしか覚えていない。
「くー、くー」
今僕がいるのは、小さな部屋だった。ベッドが二つあって、もう一つのベッドでは青色の髪の大人の女性がすやすやと寝ていた。
ベッドの周りにはチェストがあるけど、下手に触らない方がいいだろう。
状況が全く分からないから、この人に聞かないと。
ゆさゆさ、ゆさゆさ。
「ごめんなさい、起きてください」
ゆさゆさ、ゆさゆさ。
「すみません、起きてください」
「うーん、もうちょい寝かせてよ。すー、すー」
あらら、どうもこの女性は起きるのが苦手みたいだ。僕が起こすのを嫌がって、さらに毛布を深く被ってしまった。
うーん、どうしようか。
状況を確認するため、僕はドアを開けて部屋の外に出た。
廊下を歩いてみたけど、誰にも出会わない。朝早いのが原因だろうか。
すると、とっても良い匂いが漂ってきた。
もしかしたら、そっちに誰かいるかもしれない。
くー。
ちょうど良いタイミングで、僕のお腹が鳴ってしまった。
「あ、そういえば気絶して何も食べていないから、お腹がぺこぺこだよ」
僕はお腹が空いているのもあって、良い匂いのする部屋のドアを開けました。
かちゃ。
「おや、坊や起きたのかい」
「うん」
良い匂いのする部屋は、どうも食堂のようだ。
厨房には恰幅のいいおばちゃんがいて、僕に声をかけてきた。このおばちゃんに、話を聞いてみよう。
「おばちゃん、ここはどこですか?」
「ここはセルカーク直轄領守備隊の女性寮だよ」
「守備隊っていうと、兵隊さんですか?」
「うん、よく分かったね。その通りだよ」
守備隊なんて知らないはずなのに、おばちゃんの説明がすらすらと理解できてしまった。
不思議に思っていたら、今度はおばちゃんが僕に話しかけてきた。
「そういえば、セレンはどうした?」
「セレンって誰ですか?」
「坊やと一緒の部屋に寝ていた青色の髪の人だよ」
隣のベッドに寝ていた人は、セレンっていうんだ。
うーん、でも僕が起こそうとしても起きなかったよなあ。
「あの、声をかけながらゆすって起こしたんですけど、さらに布団に潜っちゃいまして」
「ははは、あの子は昔から朝が弱いからねえ」
そうなると、女性が起きるのはもう少し先になりそうだ。
くー。
ここで、僕のお腹が再び鳴ってしまった。僕は、咄嗟に両手でお腹を押さえた。
「あっ」
「おやおや、お腹が空いているのかい? 簡単なものを用意するから待っていな」
僕は顔を赤くしながら、ニコニコしているおばちゃんに促されて席に向かう。
椅子が少し高かったので、よじ登るようにして座った。
「はい、美味しいパンとスープだよ」
僕はパンとスープをおばちゃんから貰って、バクバクと食べ始めた。
わあ、今までで一番美味しい食事だ。何と表現していいか分からないけど、とにかくとっても美味しい。
「おばちゃん、とっても美味しいです」
「そうかい、そりゃ良かった。ゆっくり食べな」
「うん!」
そういえば、何だか久々に笑った気がする。以前の家では最後にいつ笑ったっけ?
とにかくそんな僕が嬉しくなるくらい美味しい食事だった。
ガヤガヤガヤ。
「うん? 誰か来たのかな?」
「守備隊の皆が起きてきたんだよ。ついでだから、坊やの事を頼もう」
食事が終わって食器を返したら、廊下が騒がしくなってきた。
頼みたい事って何だろう?
かちゃ。
「おばちゃん、おはよー」
「お、男の子も起きたね」
「元気になって良かったね」
ドアが開くと、五人の女性が入ってきた。
どうも僕の事を知っているらしく、僕の頭を撫でながら声をかけてきた。
「おーい、誰か坊やを風呂に入れてやってくれ。セレンが全然起きないんだってさ」
「あー、セレンは非番の日はいつも遅くまで寝ているもんね。じゃあ、私がお風呂に入れてあげるわね」
「ずるーい。私も非番だから、私がやるわ」
「あわわわわ」
おばちゃんが五人の女性に声をかけると、そのうちの二人の女性が一気にヒートアップし始めた。
僕は、ぱぱぱっとあっという間に食事を終わらせた金髪の髪の長いお姉さんと、赤い髪を肩くらいまでで揃えたお姉さんに手を繋がれて部屋を出た。
連れてこられたのは、お姉さん曰く、脱衣所という場所だった。
「はーい、脱ぎ脱ぎしましょうね」
「服も買い替えないとダメだね。ボロボロになっているわ」
「うーん、今はお風呂を出たらバスタオルを羽織ってもらうしかないわね」
僕はお姉さんに服を全て脱がされて、そのままお風呂に連れていかれた。
ちなみに、お姉さんは全員服を着たままです。
「はいはい、体を綺麗にしましょうね」
「本当に黒い髪で黒っぽい瞳なんだね。珍しいわね」
「お湯をかけるよ。熱かったら言ってね」
「わわわわ」
僕はお湯をかけられて、何度も体を洗われた。僕の体はかなり汚れているので、念入りに洗っていた。
「うん、もう大丈夫ね。じゃあ、湯船に浸かりましょう」
僕の体を洗うお湯が汚れなくなったところで、僕は金髪の髪のお姉さんに言われて湯船に入った。
「はふー」
「どう、気持ちいい?」
「はい、とても気持ちいいです」
「うんうん、それは良かったわ」
記憶の限りでは、湯船に入ったのは、初めてだ。
僕は思わず気持ちいい声を出してしまった。そんな僕の様子を、二人のお姉さんがニコニコとしながら見つめていた。
お風呂って、温かくてとっても気持ちがいいよ。
「服はボロボロだから、捨てちゃいましょうね」
「髪の毛は後ろで結んでおきましょう」
お風呂から上がった僕の事を、お姉さんがタオルでゴシゴシと拭いてくれた。腰回りにタオルを巻いてくれて、髪の毛を頭の後ろで縛ってくれた。
そして僕達が、脱衣所から出ようとした時だった。
かちゃ。
「はあはあ。あ、いた!」
僕の隣のベッドに寝ていた青いおかっぱの髪の女性が、お風呂のドアを開けて中に入ってきた。何だか、はあはあと息を切らせていた。
「セレン、やっと起きたの?」
「セレンが起きるのが遅いから、もうこの子のお世話は終わっちゃったわよ」
「そ、そんな……」
セレンと呼ばれたお姉さんは他の二人の話を聞いて、がくりと崩れ落ちてしまった。
そして、セレンお姉さんは床に手をついたまましばらく動かなくなった。
そんなセレンお姉さんの事を、他のお姉さんがため息をつきながら仕方ないと言っていた。
何とか復活したセレンお姉さんと共に、僕達は食堂に戻った。
「お、綺麗になったね。うちの子どもが、小さい時に着ていた服を持ってきたよ」
「おばちゃん、ありがとうございます」
「いいのよ。どうせもう誰も着ないし、処分の手間が省けたから」
おばちゃんが僕のために服を持ってきてくれたので、僕は腰に巻いたタオルを外してゴソゴソと着替えます。
ちょっと大きいけど、とってもありがたい。
僕は、お姉さん達と共に食堂の椅子に座った。
「じゃあ、まずは自己紹介をしましょうか」
「あっ、はい。僕はレオです」
ぺこ。
そう言えば、お風呂でもお互いに自己紹介をしていなかった。
僕は自分の名前を言ってから頭を下げた。
僕が挨拶をしたら、目の前に座るお姉さん達がなぜか悶えていた。
「ごほん、ごめんね。私はセレンよ。しばらく一緒の部屋で暮らす事になるわ」
「セレンお姉さん、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね」
僕がニコリとしながらセレンお姉さんに挨拶すると、セレンお姉さんの横にいた金髪のお姉さんと赤い髪のお姉さんが小さくズルいと言っていた。
「私はナナリーよ。セレンがいない時は、私と一緒に寝ましょうね」
「あ、ナナリーずるいわよ。私はカエラよ、私とも一緒に寝ましょう」
「はい、ありがとうございます。ナナリーお姉さん、カエラお姉さん」
金髪のお姉さんがナナリーお姉さんで、赤い髪のお姉さんがカエラお姉さん。二人は青いボブカットのセレンお姉さんとも仲が良さそうで、とっても良い人だと感じた。
ちなみにナナリーお姉さんとカエラお姉さんはお胸が大きいけど、セレンお姉さんは少し控えめだ。この話をセレンお姉さんには絶対に言ってはいけないと思った。
「さて、レオ君が保護された時の話をしないといけないわね」
「はい、僕も自分の事を話さないといけないですね」
「レオ君は賢いわね。じゃあ、最初にレオ君の話を聞いていいかしら」
セレンお姉さんがお互いの状況を話そうと提案して、まず僕から話をする事になった。上手く説明できるかな。
「えーっと、僕は気を失っていた所から馬車で大体四日、五日くらい進んだ村で生まれました。お父さんとお母さんは働いていなくて、お酒ばかり飲んでいました。それで、お金がなくなっちゃって、ぐす、お父さんとお母さんは、うっぐ、僕の、四歳の誕生日に、うっう、僕を、商人にお酒のお金の代わりに、売ったんです……」
「そう、それは辛かったわね。よく頑張ったね」
「うわーーーーん」
僕は自分の事を話している内に、涙が止まらなくなってしまった。涙をポロポロと落としている僕を、セレンお姉さんが優しく抱きしめてくれた。これまで溜まっていた気持ちが溢れたのか、僕はセレンお姉さんに大泣きしながらしがみついた。セレンお姉さんが背中を撫でながらあやしてくれる。
「こんな小さい子を、お酒を買うお金欲しさに売るなんて」
「しかも誕生日に売るなんてありえないわ」
ナナリーお姉さんとカエラお姉さんも、目尻に溜まった涙を指で拭いながら僕の頭を撫でてくれた。この場にいた他の人も僕の境遇を聞いて涙を流していた。食堂のおばちゃんも目尻を押さえていた。
そして僕は、セレンお姉さんに抱きついたまましばらく泣き続けた。
「ご、ごめんなさい。セレンお姉さんにずっと抱きついて泣いちゃって」
「いいのよ。辛い時は泣いていいものなのよ」
どれだけ泣いていたか分からないけど、ようやく涙が止まったところで、セレンお姉さんから離れました。
僕は、服の袖で涙の跡を拭いてから話を続けた。
「あの日は、昼食のパンを食べて出発しようとした時にいきなり矢が飛んできました。僕は、急いで馬車の後ろに隠れてたんですけど、次々と人が殺されたり燃やされたりしていました」
「そうなのね。そこは、確かに行商人を襲った盗賊の話と合致するわ」
僕達を襲った人から、お姉さん達は話を聞いていたんだ。
でも、その後はぼんやりとしていたからあまり覚えていなかった。
「僕は男に殺されると思って、走って逃げました。そうしたら足がもつれて転んでしまって、すぐにお腹と頭にとても強い痛みが襲ってきて。その後は、あまり覚えていないんです。ぼんやりとだけど体中から何かが流れている感覚があって、それを右手に集めてから僕を襲ってきた人に目がけて放っていました」
「殺されそうになって、無意識の内に魔法を放ったのね。ツンツン頭がレオ君を蹴ったら木で頭を打ったと言っていたけど、もしかしたら頭を強く打った事で力に目覚めたかもしれないね」
あの二回の衝撃は、お腹を蹴られたのと木に頭をぶつけたからか。
でも衝撃の後は、ほとんど何も覚えていない。
「そう、なのかもしれません。よく覚えていなくてごめんなさい」
「レオ君が謝る事はないわ。でも、これで盗賊達の話の裏付けも取れたわ」
僕の話を聞いたセレンさんはうんうんと納得しているみたいです。とりあえず僕の話は問題ないようです。
今度はセレンさんが話を始めました。
「「「「はっ?」」」」
僕の放った熱いものの直撃を受けた緑色のツンツン頭の男は、体をくの字にしながら五メートル程吹き飛んでいた。
どこからかびっくりしている声が聞こえたけど、僕はまだ危ない人が四人いるのを思い出した。
どうにかしないと他の人と同じく殺されてしまう。
そう思って、危ない人の方に再び右手を向けた。
キュイーン、シューン。
ズドーン、ズドーン、ズドーン、ズドーン!
再び僕の足元に魔法陣が展開し、僕は右手に集まった熱いものを危ない人の方に乱射した。
「「「ぐわぁー!」」」
僕が右手に集めた熱いものを乱射すると、緑色の短髪の男を含む三人が倒れたのが見えた。夢中で手に集めたものを乱射したのに、放ったもの全てが正確に危ない人に当たっていた。
バシーン、バシーン。
「くっ、何で子どもの魔法がこんなに重いんだよ!」
でも、まだ茶髪のロングヘアの男が残っている。壁みたいなもので、僕の放ったものを防いだみたいだ。
あの人は、平然と人を燃やしていたからとっても危険だ。あの人をどうにかしないと、確実に僕は殺されてしまう。
キュイーン。
ズドーン、ズドーン、ズドーン!
僕は、茶髪のロングヘアの男に体の中から集まった熱いものを連続で放った。
「ググググ!」
ミシミシ。
茶髪の男が出した壁のようなものが、ミシミシと音を立て始めていた。男も表情に余裕がなくなっている。
あと少しだ。
ズドーン、ズドーン、ズドーン!
僕は熱いものをとにかく連射した。
パリパリ、パリーン。
ドーン!
「うがあー! 俺の魔法障壁が、こんなガキなんかに!」
そして、遂に茶髪のロングヘアの男が使っていた壁みたいなものが壊れ、僕の放った熱いものが茶髪のロングヘアの男を直撃した。吹き飛ばされた茶髪の男は何かを話していたけど、すぐに体が動かなくなった。
「うぐ、うぐぐ」
「くそ、体が痺れて動かん」
僕が吹き飛ばした人は、全員が声は辛うじて出せるが体を動かす事ができない状態だ。
な、何とかなったのかな。急いでこの場から逃げないと。
僕は、意識が朦朧としたまま走り出そうとした。
ぐわん。
しかし僕の全身から力が抜けて、手足に力が入らなくなった。
僕は尻もちをつくようにその場に座り込むと、そのまま力が抜けて仰向けに倒れて一気に意識を失ってしまった。
◇ ◇ ◇
ぱっかぱっかぱっかぱっか。
「こっちから声が聞こえたぞ」
「何だ、この焦げ臭い臭いは」
「死体が転がっているぞ」
騎士服を着て簡易的な鎧を装備した騎馬の一団が、馬車が止まっている街道脇に集まっていた。
一同は、現場の悲惨な状況を目の当たりにしてかなり驚いていた。
この辺を管轄する守備隊がたまたま近くを巡回しており、叫び声を聞いて集まったのだ。
「ブ、ブラッド隊長。この緑色の短髪の男は、バラス盗賊団のトップじゃないですか?」
「おお、確かに手配書の絵にそっくりだな。それに、体は動かせないようだが会話はできそうだぞ」
隊員の話を聞いたブラッドが、体が全く動かない緑色の短髪の男の側にどっかりとしゃがみ込んだ。
ブラッドは改めて周囲を見回した。
倒れているが辛うじて生きている五人は手配書に載っている容貌と全く一緒だった。街道の木の側で倒れている子どものもとに、女性隊員が走っていった。
ブラッドは、緑色の短髪の男にフランクに話しかけた。
「よお、天下のバラス盗賊団が一体どうしたんだよ。こりゃ、全滅じゃないか」
「ああ、全くだよ。あのガキにやられた。はは、せっかく久々の大物だったのにな」
緑色の短髪の男は体が痺れて動けないようで、全てを諦めたのかブラッドに淡々と話し始めた。
ブラッドも緑色の短髪の男の話に付き合いながら、周りの状況を冷静に確認していた。
焼け焦げた死体が二体で、他に死体が二体。殺しの手口は、手配書に載っていたバラス盗賊団のものと同一だった。
その時、倒れていた子どものもとに駆け寄っていた女性隊員が、ブラッドに向かって叫んだ。
「隊長。この子は重傷ですが生きています。どうも初めて魔法を使った時に見られる熱を出しているようですね」
「そうか。そのままじゃ辛いだろうから、上手く治療してやれ」
ブラッドは子どもの側にいる女性隊員に指示を出すと、再び緑色の短髪の男と話し始めた。
「なあ、あの坊主の魔法は凄かったか?」
「ああ、凄かったぞ。うちの魔法使いよりも良い素質を持っていた。うちのアホがわざとガキを追い詰めて遊んでいたから、手痛いしっぺ返しをくらったぞ」
「まさに窮鼠猫を噛む、ってヤツだな」
「そうだな。あのガキをスカウトすれば、俺らももっと発展しただろう」
「ははは、そりゃちげえねえ」
ブラッドは、緑色の短髪の男の話に同意していた。
いくら不意打ちをくらったとはいえ、まだ幼い子どもが大の大人を魔法でぶっ飛ばしたのだ。
どんな組織であれ、よだれが止まらない程の逸材だろう。この隊長にしても、幼い子どもは隊員にできないという規定がなければスカウトしたいと考える程だ。
そんな事を思っていたブラッドのもとに、別の隊員が話しかけてきた。
「隊長、死体を全てシーツに包みました。あと、その男以外は拘束しました」
「分かった。あの馬車が動けば、一気に全員運べるな。ちょっと見てこい」
「はっ」
ブラッドは隊員に指示を出しながら、自身も縄を取り出した。
「よっと、お前さんも拘束させてもらうぞ」
「お好きにどうぞ。どうせ全く動けないからな」
ブラッドは縄を手に持ち、緑色の短髪の男を拘束し始めた。
そして、これから忙しくなるぞと、気を引き締めるのだった。
二章 守備隊での生活
チュンチュン。
チュンチュン。
「うーん。うん? あれ? ここはどこだ?」
僕は鳥の声で目を覚まし、起き上がって辺りを見回した。
おや?
なぜか僕の体が、生まれ変わったみたいにスッキリしていた。
えーっと、確か僕は行商人を襲った男から逃げていて、足がもつれて転んじゃったはず。それで、頭を打って意識が朦朧として。
うーん、その後の事はぼんやりとしか覚えていない。
「くー、くー」
今僕がいるのは、小さな部屋だった。ベッドが二つあって、もう一つのベッドでは青色の髪の大人の女性がすやすやと寝ていた。
ベッドの周りにはチェストがあるけど、下手に触らない方がいいだろう。
状況が全く分からないから、この人に聞かないと。
ゆさゆさ、ゆさゆさ。
「ごめんなさい、起きてください」
ゆさゆさ、ゆさゆさ。
「すみません、起きてください」
「うーん、もうちょい寝かせてよ。すー、すー」
あらら、どうもこの女性は起きるのが苦手みたいだ。僕が起こすのを嫌がって、さらに毛布を深く被ってしまった。
うーん、どうしようか。
状況を確認するため、僕はドアを開けて部屋の外に出た。
廊下を歩いてみたけど、誰にも出会わない。朝早いのが原因だろうか。
すると、とっても良い匂いが漂ってきた。
もしかしたら、そっちに誰かいるかもしれない。
くー。
ちょうど良いタイミングで、僕のお腹が鳴ってしまった。
「あ、そういえば気絶して何も食べていないから、お腹がぺこぺこだよ」
僕はお腹が空いているのもあって、良い匂いのする部屋のドアを開けました。
かちゃ。
「おや、坊や起きたのかい」
「うん」
良い匂いのする部屋は、どうも食堂のようだ。
厨房には恰幅のいいおばちゃんがいて、僕に声をかけてきた。このおばちゃんに、話を聞いてみよう。
「おばちゃん、ここはどこですか?」
「ここはセルカーク直轄領守備隊の女性寮だよ」
「守備隊っていうと、兵隊さんですか?」
「うん、よく分かったね。その通りだよ」
守備隊なんて知らないはずなのに、おばちゃんの説明がすらすらと理解できてしまった。
不思議に思っていたら、今度はおばちゃんが僕に話しかけてきた。
「そういえば、セレンはどうした?」
「セレンって誰ですか?」
「坊やと一緒の部屋に寝ていた青色の髪の人だよ」
隣のベッドに寝ていた人は、セレンっていうんだ。
うーん、でも僕が起こそうとしても起きなかったよなあ。
「あの、声をかけながらゆすって起こしたんですけど、さらに布団に潜っちゃいまして」
「ははは、あの子は昔から朝が弱いからねえ」
そうなると、女性が起きるのはもう少し先になりそうだ。
くー。
ここで、僕のお腹が再び鳴ってしまった。僕は、咄嗟に両手でお腹を押さえた。
「あっ」
「おやおや、お腹が空いているのかい? 簡単なものを用意するから待っていな」
僕は顔を赤くしながら、ニコニコしているおばちゃんに促されて席に向かう。
椅子が少し高かったので、よじ登るようにして座った。
「はい、美味しいパンとスープだよ」
僕はパンとスープをおばちゃんから貰って、バクバクと食べ始めた。
わあ、今までで一番美味しい食事だ。何と表現していいか分からないけど、とにかくとっても美味しい。
「おばちゃん、とっても美味しいです」
「そうかい、そりゃ良かった。ゆっくり食べな」
「うん!」
そういえば、何だか久々に笑った気がする。以前の家では最後にいつ笑ったっけ?
とにかくそんな僕が嬉しくなるくらい美味しい食事だった。
ガヤガヤガヤ。
「うん? 誰か来たのかな?」
「守備隊の皆が起きてきたんだよ。ついでだから、坊やの事を頼もう」
食事が終わって食器を返したら、廊下が騒がしくなってきた。
頼みたい事って何だろう?
かちゃ。
「おばちゃん、おはよー」
「お、男の子も起きたね」
「元気になって良かったね」
ドアが開くと、五人の女性が入ってきた。
どうも僕の事を知っているらしく、僕の頭を撫でながら声をかけてきた。
「おーい、誰か坊やを風呂に入れてやってくれ。セレンが全然起きないんだってさ」
「あー、セレンは非番の日はいつも遅くまで寝ているもんね。じゃあ、私がお風呂に入れてあげるわね」
「ずるーい。私も非番だから、私がやるわ」
「あわわわわ」
おばちゃんが五人の女性に声をかけると、そのうちの二人の女性が一気にヒートアップし始めた。
僕は、ぱぱぱっとあっという間に食事を終わらせた金髪の髪の長いお姉さんと、赤い髪を肩くらいまでで揃えたお姉さんに手を繋がれて部屋を出た。
連れてこられたのは、お姉さん曰く、脱衣所という場所だった。
「はーい、脱ぎ脱ぎしましょうね」
「服も買い替えないとダメだね。ボロボロになっているわ」
「うーん、今はお風呂を出たらバスタオルを羽織ってもらうしかないわね」
僕はお姉さんに服を全て脱がされて、そのままお風呂に連れていかれた。
ちなみに、お姉さんは全員服を着たままです。
「はいはい、体を綺麗にしましょうね」
「本当に黒い髪で黒っぽい瞳なんだね。珍しいわね」
「お湯をかけるよ。熱かったら言ってね」
「わわわわ」
僕はお湯をかけられて、何度も体を洗われた。僕の体はかなり汚れているので、念入りに洗っていた。
「うん、もう大丈夫ね。じゃあ、湯船に浸かりましょう」
僕の体を洗うお湯が汚れなくなったところで、僕は金髪の髪のお姉さんに言われて湯船に入った。
「はふー」
「どう、気持ちいい?」
「はい、とても気持ちいいです」
「うんうん、それは良かったわ」
記憶の限りでは、湯船に入ったのは、初めてだ。
僕は思わず気持ちいい声を出してしまった。そんな僕の様子を、二人のお姉さんがニコニコとしながら見つめていた。
お風呂って、温かくてとっても気持ちがいいよ。
「服はボロボロだから、捨てちゃいましょうね」
「髪の毛は後ろで結んでおきましょう」
お風呂から上がった僕の事を、お姉さんがタオルでゴシゴシと拭いてくれた。腰回りにタオルを巻いてくれて、髪の毛を頭の後ろで縛ってくれた。
そして僕達が、脱衣所から出ようとした時だった。
かちゃ。
「はあはあ。あ、いた!」
僕の隣のベッドに寝ていた青いおかっぱの髪の女性が、お風呂のドアを開けて中に入ってきた。何だか、はあはあと息を切らせていた。
「セレン、やっと起きたの?」
「セレンが起きるのが遅いから、もうこの子のお世話は終わっちゃったわよ」
「そ、そんな……」
セレンと呼ばれたお姉さんは他の二人の話を聞いて、がくりと崩れ落ちてしまった。
そして、セレンお姉さんは床に手をついたまましばらく動かなくなった。
そんなセレンお姉さんの事を、他のお姉さんがため息をつきながら仕方ないと言っていた。
何とか復活したセレンお姉さんと共に、僕達は食堂に戻った。
「お、綺麗になったね。うちの子どもが、小さい時に着ていた服を持ってきたよ」
「おばちゃん、ありがとうございます」
「いいのよ。どうせもう誰も着ないし、処分の手間が省けたから」
おばちゃんが僕のために服を持ってきてくれたので、僕は腰に巻いたタオルを外してゴソゴソと着替えます。
ちょっと大きいけど、とってもありがたい。
僕は、お姉さん達と共に食堂の椅子に座った。
「じゃあ、まずは自己紹介をしましょうか」
「あっ、はい。僕はレオです」
ぺこ。
そう言えば、お風呂でもお互いに自己紹介をしていなかった。
僕は自分の名前を言ってから頭を下げた。
僕が挨拶をしたら、目の前に座るお姉さん達がなぜか悶えていた。
「ごほん、ごめんね。私はセレンよ。しばらく一緒の部屋で暮らす事になるわ」
「セレンお姉さん、よろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね」
僕がニコリとしながらセレンお姉さんに挨拶すると、セレンお姉さんの横にいた金髪のお姉さんと赤い髪のお姉さんが小さくズルいと言っていた。
「私はナナリーよ。セレンがいない時は、私と一緒に寝ましょうね」
「あ、ナナリーずるいわよ。私はカエラよ、私とも一緒に寝ましょう」
「はい、ありがとうございます。ナナリーお姉さん、カエラお姉さん」
金髪のお姉さんがナナリーお姉さんで、赤い髪のお姉さんがカエラお姉さん。二人は青いボブカットのセレンお姉さんとも仲が良さそうで、とっても良い人だと感じた。
ちなみにナナリーお姉さんとカエラお姉さんはお胸が大きいけど、セレンお姉さんは少し控えめだ。この話をセレンお姉さんには絶対に言ってはいけないと思った。
「さて、レオ君が保護された時の話をしないといけないわね」
「はい、僕も自分の事を話さないといけないですね」
「レオ君は賢いわね。じゃあ、最初にレオ君の話を聞いていいかしら」
セレンお姉さんがお互いの状況を話そうと提案して、まず僕から話をする事になった。上手く説明できるかな。
「えーっと、僕は気を失っていた所から馬車で大体四日、五日くらい進んだ村で生まれました。お父さんとお母さんは働いていなくて、お酒ばかり飲んでいました。それで、お金がなくなっちゃって、ぐす、お父さんとお母さんは、うっぐ、僕の、四歳の誕生日に、うっう、僕を、商人にお酒のお金の代わりに、売ったんです……」
「そう、それは辛かったわね。よく頑張ったね」
「うわーーーーん」
僕は自分の事を話している内に、涙が止まらなくなってしまった。涙をポロポロと落としている僕を、セレンお姉さんが優しく抱きしめてくれた。これまで溜まっていた気持ちが溢れたのか、僕はセレンお姉さんに大泣きしながらしがみついた。セレンお姉さんが背中を撫でながらあやしてくれる。
「こんな小さい子を、お酒を買うお金欲しさに売るなんて」
「しかも誕生日に売るなんてありえないわ」
ナナリーお姉さんとカエラお姉さんも、目尻に溜まった涙を指で拭いながら僕の頭を撫でてくれた。この場にいた他の人も僕の境遇を聞いて涙を流していた。食堂のおばちゃんも目尻を押さえていた。
そして僕は、セレンお姉さんに抱きついたまましばらく泣き続けた。
「ご、ごめんなさい。セレンお姉さんにずっと抱きついて泣いちゃって」
「いいのよ。辛い時は泣いていいものなのよ」
どれだけ泣いていたか分からないけど、ようやく涙が止まったところで、セレンお姉さんから離れました。
僕は、服の袖で涙の跡を拭いてから話を続けた。
「あの日は、昼食のパンを食べて出発しようとした時にいきなり矢が飛んできました。僕は、急いで馬車の後ろに隠れてたんですけど、次々と人が殺されたり燃やされたりしていました」
「そうなのね。そこは、確かに行商人を襲った盗賊の話と合致するわ」
僕達を襲った人から、お姉さん達は話を聞いていたんだ。
でも、その後はぼんやりとしていたからあまり覚えていなかった。
「僕は男に殺されると思って、走って逃げました。そうしたら足がもつれて転んでしまって、すぐにお腹と頭にとても強い痛みが襲ってきて。その後は、あまり覚えていないんです。ぼんやりとだけど体中から何かが流れている感覚があって、それを右手に集めてから僕を襲ってきた人に目がけて放っていました」
「殺されそうになって、無意識の内に魔法を放ったのね。ツンツン頭がレオ君を蹴ったら木で頭を打ったと言っていたけど、もしかしたら頭を強く打った事で力に目覚めたかもしれないね」
あの二回の衝撃は、お腹を蹴られたのと木に頭をぶつけたからか。
でも衝撃の後は、ほとんど何も覚えていない。
「そう、なのかもしれません。よく覚えていなくてごめんなさい」
「レオ君が謝る事はないわ。でも、これで盗賊達の話の裏付けも取れたわ」
僕の話を聞いたセレンさんはうんうんと納得しているみたいです。とりあえず僕の話は問題ないようです。
今度はセレンさんが話を始めました。
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