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第二十七章 ちびっ子たちの冒険者デビュー

八百五十五話 ちょっとしたお祝い

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 結局その後は何事もなく式典は続き、エレノアの祝辞も少し噛んじゃったけど無事に終える事が出来ました。
 新入生代表はルーシーお姉様だったけど、緊張しないタイプなので全然平気でした。
 ルーシーお姉様たちはホームルームがあるので教室に移動したけど、その間に僕たちは舞台上に集まって簡単に話をします。
 もちろん、さっきのピエロの映像についてです。

「あいつ、決定的な証拠を映していたな。おっと、絶対に言葉にするなよ」
「ええ、そうね。普通の人なら分からないけど、私たちなら直ぐに分かるわね」

 あくまでも小声で、ピエロの立体画像に映っていたものを話し合います。
 でも、ジンさんも僕やティナおばあさまが気になっていることに気が付いていました。
 レイナさんたちももちろん気が付いていて、うんうんと頷いていた。
 となると、ここからは情報収集を始めるだけですね。

「さっき、陛下と軍務卿にも連絡したわ。二人とも爆笑しているそうよ」
「だろうな。俺だって、真剣な場面なのに吹き出しそうになったぞ」

 全員がくすくすしているけど、こればっかりは仕方ありません。
 場合によっては、午後から動き出すことも考えましょう。

「スラちゃんとプリンも、ヒントは分かったって」
「フフッ、だってよ」

 そして、作戦のキーポイントとなるだろうスラちゃんも、ヒントを把握しました。
 何にせよ、入園式は無事に終了ですね。
 ルーシーお姉様も教室から戻ってきたので、ゲートを使って王城に戻ります。
 ちなみに、ルーシーお姉様もピエロのとある事に気がついていました。
 そのまま、いつもの食堂に向かいます。

「「「「おかえりー!」」」」
「ただいま!」

 食堂に着くと、ちびっ子軍団がルーシーお姉様を取り囲んでいます。
 やっぱり、普段と違う服装だと目新しいのもありそうですね。
 そして、昼食はみんな楽しみにしていたルーシーお姉様の入園祝いを兼ねた料理です。
 午後は色々とありそうだから、いっぱい食べて力をつけましょう。
 残念ながら、ルーカスお兄様とアイビー様は学園に残って生徒会のお仕事です。
 さっそく、出された料理をみんなで食べます。

「「「「おいしー!」」」」
「よく噛んで食べるのよ」

 ルーシーお姉様のお祝いだけど、そこはちびっ子軍団もモリモリと食べていきます。
 そんなちびっ子軍団のお世話を、ルーシーお姉様がしています。
 お祝いされる人がお世話をしているけど、いつもの事なのでルーシーお姉様も気にしていません。
 その間に、陛下と簡単に話をします。

「午後、例の場所に行ってきます。早めに動いたほうが良いと思いまして」
「うむ、気をつけるように。少数で動く事になるが、戦闘になる事も頭に入れておけ」

 ジンさんが陛下と話をするけど、さっそく午後から動き始めます。
 現地に向かうのは、僕、リズ、ティナおばあさま、それにジンさんとレイナさんです。
 スラちゃんとプリンも、僕たちと一緒についてきます。
 闇ギルドが何かを仕掛けてくる可能性があるので、王都や辺境伯領の守りも固めます。
 なので、カミラさんたちはポッキーと一緒に辺境伯領に向かい、エレノアたちはミカエル達と共に王都に残ります。
 各領地にも、闇ギルドの襲撃を警戒するように王都からお触れが出るそうです。

「腹が減っては戦はできぬってことだから、俺らも沢山食べるか」

 パクっ。

「あー、お父さんそれレイカが食べようとしたトマトだよ!」
「分かったから騒ぐな。ほら、こっちのやつを持ってくるよ」

 とはいえ、今は普通の食事タイムです。
 ジンさんも、普通に子どもの面倒を見ています。
 そのうちに、レイカちゃんだけでなく他の子も面倒をみることになりそうですね。
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