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第二十一章 ちょっと平和な日々

五百四話 自称未来の王の登場

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 控室を出た僕達はそれぞれの場所に移動します。
 僕とリズとティナおばあさまはステージ上に用意された来賓席で、ルーカスお兄様とアイビー様は新入生の席に、そして王妃様は保護者席に移動しました。

「早速ルーカスお兄様とアイビー様の所に人が集まってきたね」
「凄いね、何だか必死だね」
「ルーカスとアイビーと仲良く仲良くなることは、将来の重臣になる可能性があるからね。だから皆必死なのよ」

 ルーカスお兄様とアイビー様の周りにわらわらと集まっている新入生を見ると、いきなり必死で大変なんだなと思ってしまった。
 一方の王妃様は、知り合いの貴族の両親でもいたのか仲良く談笑していた。
 というか、他の新入生の両親も王妃様に挨拶しているけど、結構塩対応だぞ。
 恐らく王妃様が塩対応をする両親は、ルーカスお兄様に近づきたくて胡麻をする貴族なんだね。
 ルーカスお兄様とアイビー様の方も元々仲の良い新入生と話始めたので、何とか接触しようと群がっていた新入生も悔しそうに距離を置いて眺めています。
 ここで気になったのが、例の凄い新入生の存在です。
 会場を見回しても、それっぽい人物がいない様です。
 まだ、体育館の中に入っていないのかな?

「まだ、例の新入生は体育館の中にいないみたいですね」
「そうね。でも、もうそろそろ受付締め切りになるからやってくるはずよ」

 ティナおばあさまの予想はぴたりと当たった様で、アマリリスから情報を聞いたアイビー様にスラちゃんが一緒にいる王妃様も表情を変えていました。
 プリンも何だか警戒し始めた様です。
 僕も、念の為に学園内の探索をしました。
 え?
 これは!

「ティナおばあさま、学園内に敵の表示があります。もうすぐ体育館の中に入ってきます」
「リズも何となく分かった!」
「という事は、あの妄想癖のある新入生は何かをしてくる可能性があるという事ね。急ぎジンを呼んできて」
「分かりました。直ぐに行きます」

 ティナおばあさまが近衛騎士に命令して、学園の敷地内の監視に行っているジンさんを呼びに行きました。
 そして、例の伯爵家の三男が体育館に姿を現しました。
 大分ぽっちゃりで、癖毛の茶髪だ。
 うん、探索結果もばっちりと敵だと表示しているぞ。

「ははは。皆の者、未来の王たる私を歓迎するのだ」
「「「……」」」

 うん、会場にいる人全員がドン引きしているよ。
 本当に未来の王になるっていっているんだ。

「未来の王は、ルーカス様ですわ」
「そうだ。お前はひっこめ!」

 そして、新入生から伯爵家の三男に向けて一斉に罵声が飛んでいます。
 というか、ルーカスお兄様とアイビー様はとっても冷静で、さっき塩対応された新入生が叫んでいるのがとっても滑稽だけど。
 というか、この時点で既に入園式がカオスな状態になっているぞ。

「おうおう、中々面白い事になっているな」
「私達の時にも、あんな馬鹿はいなかったわよ」
「直ぐに動ける様に準備した方が良さそうね」

 ステージの裏手から、ジンさん達もやってきました。
 兵にも緊張が伝わっていて、いつでも動けるようにスタンバイしています。
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