転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
上 下
298 / 956
第二十章 マロード男爵領とジンさんの結婚式

四百五十七話 各地の戦闘の様子

しおりを挟む
 辺境伯領では、想像以上に多くの魔物が押し寄せてきていた。

「くそ、弱いくせして数が多いぞ」
「本当に面倒くさいなあ」

 オオカミやゴブリンレベルがメインなので、今の冒険者や兵で余裕で倒せる相手だ。
 数が多いのが難点で、疲労も濃くなり怪我人も多くなってきた。
 そして、さらなる強敵が姿を現したのだ。

「グオオオ!」
「ちっ、このタイミングでゴブリンキングかよ」
「こればかりは、ちょっとヤバイな」

 なんと、ゴブリンキングが冒険者や兵の前に姿を現したのだ。
 多くのオオカミやゴブリンと対峙して疲弊している冒険者や兵には、ちょっとキツイ相手だ。

「くそ、増援を呼んでこい」
「俺達は、ここを死守するぞ」

 兵や冒険者は、街にゴブリンを入れないためにも決死の覚悟でここを守ろうとしていた。
 その時だった。

 ヒューン、ヒューン。
 ズドーン、ズドーン、ズドーン。

「グオー!」
「なっ、何だ何だ?」
「取り敢えず、少し引くぞ!」

 突然ゴブリンキングを中心に強力な魔法が連発で撃ち込まれたのだ。
 兵と冒険者は戸惑いながらも、ゴブリンの動きが止まったのを見てゴブリンから素早く距離をとった。

「お、何とか間に合った様だな」
「ゴブリンが沢山来たって、屋敷に急ぎの連絡があったのよ」
「ジン、それにレイナとアレクサか!」
「魔法を撃ち込んだのは私達よ」
「カミラとルリアンとナンシーか、助かったぞ」

 颯爽と現れたのは、ジンとレイナとアレクサとカミラとルリアンとナンシーだ。
 助っ人の登場で、兵と冒険者は助かったと実感した。

「先ずは怪我の治療だな、そら!」
「うーん、その聖剣は相変わらずぶっ壊れ性能だなあ」

 ジンの聖剣から光が広がり、怪我人の傷が治っていった。
 エリアヒールの効果が発動したのだ。

「流石に重傷者は治せねえ。アレクサ、頼むぞ」
「治療はお任せください」
「さてと、倍返しと行きますか」
「「「おー!」」」

 重傷者の治療はアレクサに任せて、兵と冒険者はジンを先頭にして体制を立て直した。

「もう一発いくわよ」
「くらいなさい!」
「吹き飛びなさい!」
「「「グオオオ!」」」

 再度、カミラとルリアンとナンシーによる強烈な魔法攻撃が再開された。
 ある程度魔法耐性のあるゴブリンキングはともかくとして、その他のゴブリンは一斉に駆逐されて行きます。

「ガォォォ!」
「甘いよ!」

 辛うじてゴブリンジェネラルは魔法を防いだのだが、直ぐ様レイナによって頸をはねられた。
 撃ち漏らしたゴブリンも、兵と冒険者によって倒されていく。

「ジン、さっさとデカブツをやっちまえ!」
「おうよ!」

 もうここまでくれば、一気に押し返すだけです。
 ジンは聖剣に魔力を溜め始めました。

「くたばれ、デカブツ!」
「グアアア!」

 そしてジンの跳躍からの強力な一閃により、ゴブリンキングの体は真っ二つに裂かれた。

「ふう、こんなもんかな?」
「ジン、助かったぞ。この後はどうするんだ?」
「女性陣がストレス発散で暴れたいらしいから、最後まで付き合うぞ」
「ははは、お前も大変だな」
「言うなよ」

 こうして助っ人の活躍もあって、辺境伯領は次第に平穏を取り戻しました。

 一方のバイザー子爵領では、この二匹が活躍していました。

「ブランターク男爵領と辺境伯領の戦闘は、何とか終了に向かっているそうです」
「本当ですか? 一時は危ないと聞きましたが、それは良かったわ」
「まあ、うちはあの二匹が活躍しているからなあ」
「お陰様で、兵も冒険者も怪我人がいなくて良いではないでしょうか」

 ルーカスとアイビーがバイザー子爵領でのんびりできているのは、スラちゃんとアマリリスが森の中で大活躍しているからです。

 シュッ。

「すらちゃ、あまちゃ。おかーりー」
「おかーり!」

 ドササ。

「おおー、すごーい!」
「すごーい!」

 スラちゃんとアマリリスは時々屋敷の庭に帰ってきては、戦利品を見せてくれた。
 ミカエルとブリッドは、山積みになった魔物を見て大はしゃぎです。

「スラちゃん、アマリリス、頑張ってくれるのは良いけど、兵と冒険者の活躍の場をうばわないでね」
「分かっているって。じゃあ宜しくね」

 シュッ。

 ルーカスの苦言を聞いたスラちゃんとアマリリスは、敬礼みたいたポーズをしてまた森の方へ動き始めた。
 またスラちゃんとアマリリスは、沢山の魔物を倒すのかな?
 ルーカスは苦笑するしかなかったのだった。
しおりを挟む
感想 246

あなたにおすすめの小説

小さな大魔法使いの自分探しの旅 親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします

藤なごみ
ファンタジー
※2024年10月下旬に、第2巻刊行予定です  2024年6月中旬に第一巻が発売されます  2024年6月16日出荷、19日販売となります  発売に伴い、題名を「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、元気いっぱいに無自覚チートで街の人を笑顔にします~」→「小さな大魔法使いの自分探しの旅~親に見捨てられたけど、無自覚チートで街の人を笑顔にします~」 中世ヨーロッパに似ているようで少し違う世界。 数少ないですが魔法使いがが存在し、様々な魔導具も生産され、人々の生活を支えています。 また、未開発の土地も多く、数多くの冒険者が活動しています この世界のとある地域では、シェルフィード王国とタターランド帝国という二つの国が争いを続けています 戦争を行る理由は様ながら長年戦争をしては停戦を繰り返していて、今は辛うじて平和な時が訪れています そんな世界の田舎で、男の子は産まれました 男の子の両親は浪費家で、親の資産を一気に食いつぶしてしまい、あろうことかお金を得るために両親は行商人に幼い男の子を売ってしまいました 男の子は行商人に連れていかれながら街道を進んでいくが、ここで行商人一行が盗賊に襲われます そして盗賊により行商人一行が殺害される中、男の子にも命の危険が迫ります 絶体絶命の中、男の子の中に眠っていた力が目覚めて…… この物語は、男の子が各地を旅しながら自分というものを探すものです 各地で出会う人との繋がりを通じて、男の子は少しずつ成長していきます そして、自分の中にある魔法の力と向かいながら、色々な事を覚えていきます カクヨム様と小説家になろう様にも投稿しております

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【コミックス第1巻発売中です!】 皆様どうぞよろしくお願いいたします。 【10/23コミカライズ開始!】 『勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる!』のコミカライズが連載開始されました! 颯希先生が描いてくださるリュークやアニスたちが本当に素敵なので、是非ご覧になってくださいませ。 【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)

いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。 --------- 掲載は不定期になります。 追記 「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。 お知らせ カクヨム様でも掲載中です。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。