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第二十章 マロード男爵領とジンさんの結婚式

四百五十六話 本格的な魔物討伐の開始

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 ブランターク男爵領で本格的にゴブリン退治が始まるのを前に、辺境伯領とバイザー子爵領も緊張に包まれています。
 というのも、ゴブリンの巣が発見された森は、辺境伯領とバイザー子爵領を繋ぐ森とも接しているからです。
 逃げ出したゴブリンが辺境伯領とバイザー子爵領になだれ込む可能性もあり、冒険者と兵はかなり警戒しています。

「流石に万が一の時はジンの力を借りるぞ」
「おう、遠慮なく使ってくれ。あと半日もあれば、結婚式の準備も終わるぞ」

 冒険者もジンさんに声をかけているけど、冒険者にとってジンさんは最終手段と考えている様です。
 冒険者のプライドもあるのか、今回はかなりやる気になっています。
 とはいえ、作戦の要は僕達ブランターク男爵領側の兵と冒険者です。
 今日は、近衛騎士もゴブリンの巣壊滅作戦に参加します。

「おばあちゃん、リズ達は?」
「リズちゃん達も万が一の時の為の戦力ね」
「分かった!」

 僕達も万が一に備えての戦力です
 病院での治療と炊き出しは普通に行なうけどね。
 因みに、念の為にとルルーさんとクラヴィーアさんもブランターク男爵領にいます。

「ランディ様、体調は如何ですか?」
「おかげさまでだいぶ良くなりました。まだ剣を振るう事は厳しいですが、部隊の指揮は出来ます」
「そうですか。ご無理をなさらないようにして下さい」

 ランディ様も公務復帰です。
 完調ではないのでルルーさんもランディ様の事を心配しているし、無理はしないで欲しいです。

「皆無事かな?」
「危険って連絡は入ってないし、大丈夫だよ」

 病院での治療を終えて炊き出しを手伝っていると、リズがちょっと心配していた。
 兵も冒険者も強いけど、流石にゴブリンキングとかが出てきたら苦戦するかもしれない。
 そんな事を思っていたら、緊急事態発生です。

「大変です、一部の魔物が街に向かってきます!」

 炊き出しをしている所に、焦った様子の兵が駆け込んできた。
 でも、大量の魔物を討伐しているので、今回のケースも折り込み済みです。

「討伐漏れですね。大丈夫ですよ、そのために私達がいるのですから」
「「「そーだよ!」」」

 ティナおばあさまの言う通り、万が一のために僕達は控えています。
 僕達は直ぐに屋敷から防壁の外に出ます。

「男爵領の兵は専守防衛です。無理をしないでくださいね」
「「「はい!」」」

 防壁の門を締め、街に魔物が入らない様にします。
 ブランターク男爵領の兵は昨日治療を終えて今日から復帰したばっかりなので、ティナおばあさまの言う通り無理はしないで貰います。
 迎撃は、残っている王国軍の兵と僕達です。

「姿が見えてきました。オオカミの群れとゴブリンの群れです」
「どうやら上位種もゴブリンジェネラルまでの様ですね。これなら容易く撃退できますね」
「では、作戦通りに行きましょう」

 数は百匹はいるけどそんなに強くないので、最初に立てた作戦を実行します。
 といっても、魔法兵と僕達が一斉に魔法を放って、撃ち漏らしたのを兵が撃破します。
 念の為に、ルルーさんがランディ様の側についています。

 ドドドド!

 先ずオオカミの群れが近づいてきたので、いよいよ作戦開始です。

「よし、作戦開始です!」

 ランディ様の掛け声で、先ずは僕達が魔法を一斉に放ちます。

「「「えーい」」」

 ズドンズドンズドン。
 ズドドドーン。
 ズドーン、ズドーン。

「「「おお、何という魔法の嵐なんだ!」」」

 ブランターク男爵領の兵は、国軍の兵と僕達が放つ魔法にとてもびっくりしています。
 特に、リズが張り切って魔法を乱射しています。

「魔法を回避したオオカミとゴブリンが、こちらに接近します」
「よし、撃破せよ」
「「「はっ」」」

 魔法を避けたオオカミとゴブリンが接近するけど、控えていた国軍によって討伐されていきます。
 ゴブリンジェネラルは魔法単体では無理だけど、国軍の連携プレイで撃破していきます。
 うーん、オオカミとゴブリンはほぼ国軍で撃破できているので、僕達の出番は殆どなさそうだ。
 と、思ったら、上手く兵をかわしてランディ様の所に突っ込むオオカミが!

 ダッ!。

「グァー!」
「領主様、危ない!」

 なんと、オオカミは僕達の上をジャンプして飛び越えて、ランディ様目掛けて突っ込んできたのだ。
 でも、ご安心を。
 ちゃんとランディ様の側に控えている人がいます。

「せーい!」

 ザシュ!

 大剣を手にオオカミをぶった切ったのはルルーさんです。
 というか、何でルルーさんは毎回オオカミを縦にぶった切るのでしょうか。
 真っ二つにされたオオカミは、そのまま後方の防壁に激突します。

「おお、流石は導くもの様の妹君だ」
「あんな大剣を軽々と振るっているぞ」

 ルルーさんは下手な兵よりも遥かに強いからなあ。
 そして、ルルーさんは大剣を担いでランディ様に振り向きます。

「ランディ様、大丈夫です。私達が、皆様をお守りします」
「あ、ああ。ありがとう」

 うーん、またもやルルーさんは血だらけのメイド服姿でニコリとしていたぞ。
 ランディ様も血まみれのルルーさんを見て、思わず引いていたぞ。

「大きいの、倒した!」

 さてさて、肝心のゴブリンジェネラルはというと、既にリズによって倒されていた。

「もう、なんにもいないよ」
「探索にも特に反応はありません」
「よし、引き続き警戒をしつつ、我々は一旦引き上げよう」

 リズの直感でも僕の探索でも特に周囲に敵の反応はなかった。
 僕達は一旦屋敷に引き上げます。
 周りの領地は大丈夫かな?
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