僕の部下がかわいくて仕方ない

まつも☆きらら

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第8話

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従兄弟の渉くんから話を聞いた時には部下、それも男を好きになって隠し撮りした写真を会社のパソコンに保存してるとか、いよいよやばい奴だなと思ったんだ。

だけど酔っぱらって調子に乗った渉くんがスマホに保存してた写真を見せてくれて。

「・・・・かわいい」

そう、思わず言っちゃったんだ。

女の子みたいだとか、そう言うわけじゃなかった。

きりっとした眉毛とか、通った鼻筋とか、どちらかというと男っぽい。

だけどその肌の白さ、目の大きさ、睫毛の長さとかはその辺の女の子よりもきれいで・・・

さらにその写真に撮られたときの彼のはにかんだような笑顔が、なんとも言えずかわいかった。



だから、あの居酒屋に合コンの数合わせで連れていかれたとき、途中で現れてお店を手伝い始めたのがその彼だと、すぐに気づいたんだ。

明るく感じのいい接客で、ちょっと鼻にかかった声は甘くて。

実際に見る彼は写真で見るよりもずっとかわいくてきれいだった。

店に入った時から、その店の店員が高校の同級生だった坂井直之さかいなおゆきだということはすぐに分かった。

けど、忙しそうだったしバカな友達に説明するのも面倒で黙ってた。

『悠太』

直之とその兄の店長に、彼はそう呼ばれていた。

こっそり見るだけにしようと思っていたんだけど、バカっぽい女たちが悠太くんに絡み始めたのを見て、思わず声を掛けてしまった。

おかげで直之に気づかれるし、友達もバカなこと言い始めるし。

イライラしたのがつい態度に出てしまった。

きっと不愛想ないやなやつだと思われた。

不本意だったけど、その後も店は忙しそうで、とても話しかけられるような雰囲気じゃなかったから諦めるしかなかった。



そして今日。

俺を見て驚く悠太くんを見て、俺は楽しくて仕方なかった。

驚いて目を見開くその表情がかわいくて。

そして渉くんと一緒に部長室へ行ってからの不思議そうな悠太くんの様子も。

やっぱりかわいい。

渉くんが好きになる理由がよく分かった。

そしてさらに、俺らのグループにいる河合課長もたぶん、悠太くんが好きだ。

部長室に行くときからずーっと、目で追っていた。

俺が悠太くんに仕事を教えてもらっている時も。

河合課長は目鼻立ちの整ったイケメンだった。

渉くんの話では、課長とは幼馴染なんだとか。

俺は会ったことがなかったけれど、時々話には聞いていた。

真面目で優しくて頭もよくて、中学からは私立の学校へ行ったんだとか。

そんな人を部下に持つ渉くんもまた、ふにゃふにゃしているようで意外と頭が切れるし仕事もできる人だ。

小柄で猫背で、顔は整ってるけどあまり感情を表に出さない渉くんは、上下関係に関わらずだれにでも優しい人だけれど、いまいち何を考えているかわからない。

そんな渉くんが好きになった悠太くん。

単純にその事実に興味があったというのもあるけれど。

俺自身が、悠太くんにどんどん惹かれ始めていた・・・・。
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