RISING 〜夜明けの唄〜

第十一篇第一章 月明かりに照らされる真実

出迎える人間達

「ロード君…良くぞ此処迄…お越し頂きました…！」



感激の表情を浮かべながら扉を開いたロード
達を真っ先に出迎えたのは氷の街で顔を突き
合わせたガスタだった。



「ガスタ…！アンタもあんなコトじゃあ死にゃあしねぇって思ってたぜ…！」



ロードが発した言葉の意味とは氷の街で追走
を図って来た裏帝軍アノンを引き受けて崖下
へと落下して行った事を指してだった。



「ええ…此の通り…ロートルではありますがピンピンしておりますよ」



笑顔で腕を上げて見せたガスタの姿にロード
も一安心という表情を浮かべた。



「直に全員揃います。先ずは此方に掛けてお待ちを…」



ロード達はガスタに指定されたソファに三人
ずつの配分で腰掛けて行く。

ロードとシャーレ、ポアラの三人の目の前に
木製アンティーク調のテーブルを挟んで其の
対面にシェリー、レザノフ、シグマがソファ
に腰を下ろす形となった。

そして、一度頭を緩りと下げたガスタが其の
六人が座るソファから少し離れた木製の椅子
に緩りと腰を下ろす。

ロード達が首を曲げてガスタの方向を見遣る
と流石の百二十八階建ての最上階。

雷の街ヴォルテーク本町となるネオン街の
煌びやかな景色が一望出来る大きな窓の形が
全面ガラス張りの状態で目に入る。

すると、奥の部屋からティーセットをトレー
に乗せた白髪の男性と黒髪の着物の女性が
緩りとロード達の前に姿を見せる。



「ロード君…久しぶりですね」


「アンタ…ザックさん…話には聞いてたけどまさか…アンタも一枚噛んでるとはな…」



ロード達の目の前にティーセットを置いて声
を掛けて来たのは森の街フォレストールにて
知り合った孤児村ピースハウスの代表である
ザック・トニーキースだった。

ロードの行方が解らなくなった頃にシャーレ
達を導いてくれたのがザックらしい。



「詳しい話は…全員が揃ってからでお願いします…其れより…皆様にとっては初めましてでしょう？御紹介します…祈りの街メイデンセイスに在る由緒正しき神殿“鳳凰殿”の巫女…リア・フローレスさんです」


「皆様、御機嫌麗しゅう。リアと申します」



ザックに紹介を預かって微笑みを浮かべると
礼儀正しく腰を折って頭を下げた巫女の格好
をした女性の名がリア・フローレス。

黒く美しい髪を赤いリボンで結い唇に真っ赤
な口紅を塗った大人の女性だった。



「な…何と…お美しい…。私はシャ…痛いッッ！！」



頬を赤らめて挨拶をしようとしたシャーレの
足を勢い良く踏ん付けたポアラの表情は少し
だけ強張っている様に見える。

きっとポアラからしてシャーレの口調と目が
イヤらしく見えたのだろう。

忘れがちだが、シャーレは此の見た目で大の
女好きにして渾名は“スケベ”なのだ。

其の光景に笑顔を絶やさずに落ち着いた視線
を送っていたザックとリアが紅茶を淹れる。