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第十一篇第一章 月明かりに照らされる真実
高層ビルの頂上へ
しおりを挟む迎えに上がったシグマの先導で此の高層ビル
M・S・システムズ本社のエレベーターへと
乗り込んだ四人は驚きを隠せない。
「此のエレベーター…全面ガラス張りか?下まで透けて見えるじゃないか…」
「ちょっ…さ、さすがにこわいんだけどっ…」
四人が乗り込んだM・S・システムズ本社の
エレベーターは全面ガラス張りで移動中も下
迄くっきりと良く見える。
しかも此の建物は何と脅威の百二十八階建て
という此の国最高峰のタワーだと言うのだ。
ポアラが怖がるのも無理は無い。
「ポアラはシャーレの兄さんにくっついて目でも瞑ってたらええやんけ」
「シグマっ!そんな恥ずかしいコト言わないでってばっ!!」
悪戯に笑いながら茶化したシグマに対して
ポアラは顔を真っ赤にしてムキになった様に
怒り始めて見せた。
すると、ロードは其の光景に何やらぽかんと
口を開けて黙り込んでいた。
「どうした?ロード…」
心配そうに声を掛けたシャーレに対して頬を
掻きながらロードは口を開いた。
「いや…なんかこういう…会話すら…久しぶりに感じてよ…」
「なーに言ってんねん。ボケがァ…その会話っちゅうのを待ち焦がれてメシすらあんまり食わへん姫様のコト忘れてしみじみしてんなっちゅうねん…!」
「お、おう…シェリーにも心配かけちまったな…」
「ホンマやで…」
そんな会話を弾ませながらロード達に頂上へ
到着の合図となるベルの音が聞こえて来る。
そして、扉が開くと其処は頂上の大広間の
手前となる綺麗なエントランスだった。
其処に足を踏み入れたロードの元へ半泣きの
状態の少女が慌てて駆け寄って来た。
「ロード様っ!!」
「シェリー!!」
久方振りの再会となったシェリーは勢い良く
ロードの胸へと飛び込んで来た。
ロードはシェリーを受け止めるとロードの胸
に顔を埋めてシェリーは涙を止められない。
「本当に…心配しましたっ…でも…生きていてくれて良かったです…!」
「ああ、心配かけて悪かったな…」
ロードはシェリーからの心配を受け止めると
共に自身の秘密が暴かれそうになったあの日
以来の再会だった事で変わらないシェリーと
シグマの対応にホッと胸を撫で下ろした。
「皆様…良くぞ御無事で…!」
「レザノフさん…!」
シェリーの背後から緩りと革靴の音を鳴らし
現れたレザノフ・スタールマンも安堵の表情
を浮かべてロード達の元に歩み寄る。
本当に、永い期間会っていなかったかの様な
安心感がロードにも他の五人にも湧き出でて
来たのが伝わって来る。
そして、合流後ほんの少しの会話を挟んで
ロード達六人はM・S・システムズ本社の
高層タワー最上階の一室の扉を見詰める。
遂に、全ての秘密が明かされる刻が訪れた。
期待と不安、様々な感情が入り組む中で六人
は其の扉のノブに手を掛けるのだった。
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