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第十一篇第一章 月明かりに照らされる真実
続々と現れる招待者達
しおりを挟む紅茶を淹れ終えたザックとリアはガスタが
腰を下ろす大きな窓付近に残されていた空席
の椅子に静かに腰を下ろした。
「いいからっ。僕の言った通りにすれば万事問題無しだよ…うんうん…どんどんと回して行こうじゃないか、此の国の経済をね」
何やら慌ただしく無線に向かって言葉を掛け
ながら入って来たのは小洒落たスーツに高価
そうなシルクハットを被った実業家風の男。
其の男は無線を切るとロード達を確認して
笑みを浮かべながらシルクハットを外して
静かに頭を下げた。
「皆さん、ようこそ。いらっしゃい…我が社の高層タワーの居心地はいかがかな?」
「あ?ん、え…えぇっと…」
「はいっ。とても素晴らしいです。夜景も家具も何もかも素敵で胸が華やぎますっ」
口籠ったロードを見て目の前のシェリーが
助け舟を出すかの様に華麗に受け答えをする
と奥の方でシグマが歯を見せて笑う。
「たっ…はっ…こりゃあ姫様のほうが一枚も二枚も上手やったなあ」
「るせぇよ…ニャロウが…!」
「申し遅れたね。僕が此のM・S・システムズの代表取締役マルク・セイアートだよ。言わなくても解ると思うけど…M・Sは僕のイニシャルからだね」
茶髪のマッシュヘアで笑みを浮かべながら
シルクハットを被り直したマルクの性格は
単純にお喋りなんだろうなと感じる六人の
視線を受けながらマルクは最後方のデスク
付きの回転椅子に足を組んで腰掛けた。
そして、次に現れたのはロードを火の街の
川辺で救い出し裏帝軍や死蜘蛛狂天からの
追手を前に共闘したガルフだった。
しかし、ガルフは部屋へと入るなり静かに
ロード達の座っていたソファへと腰を下ろす
一人の男に目を向けて動きを止める。
「はっ…しゃらくせぇ。お互いに歳食ったモンだな?レザノフ…!」
「ええ。私も今そう考えていた所ですよ…ガルフ」
此の会話に疑問を浮かべたロード達の視線を
受けながらレザノフが緩りと立ち上がる。
「オメェのツラを見ると…此の無くなった左眼が疼いてる様な気がしてならねぇな…」
「何を御冗談を…貴方からあの日…其の左眼と引き換えに喰らった傷のせいで私は一度は護衛軍から身を引く羽目になり…今やギフトを使って戦えば…反動でのインターバルが長い身体になったのですから…」
ガルフとレザノフが視線を交わらせる。
其れは味方を前にしてぶつける様な視線では
無く周りに居る人間ですら其の威圧感を痛い
程に感じるのであった。
「其れが今度は味方だと?運命ってのァ…しゃらくせぇってんだよ…」
ニヤリと笑みを浮かべたガルフが静かに窓際
のガスタ達の元へと歩みを進めて行くと此の
会社の代表取締役であるマルクが腰を下ろす
椅子の前に置かれたデスクに腰掛ける。
其れを見たレザノフも静かに笑みを浮かべて
ソファへと緩りと座り込んだ。
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