RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第九編第二章 真実の声

久しき対面

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三人揃って泣きっ面が綺麗に赤くなりやっと
顔を合わせる三人に笑顔が戻り始めていた頃
背後から編笠の男が近寄って来た。



「話は決着して心は晴れやか…ってか。水を差す様ですまんな、若人共…」



眼帯に編笠の男が三人の前で足を止めた瞬間
にシャーレとポアラが口をあんぐりと開けた
状態でガルフを指差して声を漏らす。



「「あっ……!」」



そして、声が被った事に驚きを見せるポアラ
とシャーレが顔を合わせて「えっ」と再び声
を合わせて互いに首を傾げる。

不思議そうに二人の顔をジロジロと眺めた
ガルフは顎をさすりながら何やら目を細めて
いると不確かながら口を開いた。



「昔…お前等に良く似たガキと会った事がある…あれは確か…」



顔を見合わせたシャーレとポアラは互いに手
を差し出して譲り合う姿勢を見せている中で
折れたポアラが先に口を開く。



「子供のころっ…コミンチャーレにあるカント近くの平野で戦争があって…そ、そこで…両親が死んじゃって…」


「……ッ!あの時の嬢ちゃんか…」



ガルフがまだ帝国軍大将だった頃に始まりの
街コミンチャーレに在るカント近辺の平野で
死んだ両親の亡骸を肩に乗せて少女だった
ポアラの元へ運んだのがガルフだった。



「あ…あの時は泣きわめいちゃってごめんなさいっ!!まさか…また会えるなんて…」


「しゃらくせぇ事言いやがんな…生きて助けてやれなくて済まなかった…」


「いえいえ…そんな…。で、シャーレの方はっ?」



タジタジと言った表情を見せたポアラが話を
振ったシャーレの方からもまた幼き頃に得た
不思議な縁の話が出た。



「同じく始まりの街コミンチャーレの北の村落…ホウランの事を覚えておいでですか?」


「やはりな…あの時唯一人…村から消息を絶ってしまっていた少年か…。あの後…長屋町でお前さんを見つけた…だが、町の連中に頭を下げられてな…このまま此処にいさせて欲しいと…面倒は自分達で見るからと…」


「ああ…皆がそんな事を…」


「調査の末、お前の家族の事も知った。もっと早く…儂等が気付いていれば…遅くなったが謝罪させてくれ…」


「やめてください。あの時は怖くて逃げてしまったけど…感謝は忘れていませんから…」



バルモアの軍隊に捕虜とされてしまっていた
少年時代のシャーレ、其の産まれたホウラン
という村落を遅ればせながら助け出したのも
元大将ガルフの隊であった。



「……ロード。お前の仲間として此奴等が来たのも不思議な縁だ…お前には礼を言わなくてはな…何年かモノの凝りが取れた気がするぞ…」


「……ん?わっかんねぇけど、それなら良かったな…」



ロードは全く話の全容が見えていなかった様
でとぼけた返事を真顔でした姿にシャーレと
ポアラは不意にも吹き出してしまう。



「しゃらくせぇ野郎だ。まあいい…儂はもう少し掛かる刀の手入れを待つ…お前等は近くで飯でも食って来い…」



そう言い残してガルフはフェレーロの鍛冶場
へと緩りと踵を返して向かって行った。



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