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第九編第二章 真実の声
迫り来る二色の脅威
しおりを挟む一方、場面は切り替わる。
此処は、火の街メルフレアが誇る国内最大の
活火山ポルナダベトルの麓の里からは活火山
を挟んで真逆に位置する麓の河原。
穏やかに流れる川を挟んでとある二人の男性
が互いに動かず視線をぶつけ合っていた。
一人は瑠璃色の羽織を纏う白の着物姿に特徴
的なスキンヘッドをした眼鏡の男性。
もう片方は細身ながらかなりの長身で翠色の
マントを羽織った黒と黄色のツートンカラー
の髪をした男性だった。
そして、遂に痺れを切らしたスキンヘッドの
男性が緩りと口を開き始めた。
「御主は裏帝軍の者だな。何故、某の前に立つのだ…愚か者の政府の犬が…」
「いやはや…貴方達、死蜘蛛狂天こそ金に取り憑かれた亡者だと訊いていますがね…互いに印象は良く等無い事をお忘れ無き様に…」
ニヤリと笑みを浮かべたのは政府直下裏帝軍
の幹部スネイク・ドラーアッシュだった。
スネイク・ドラーアッシュ。
彼は第四篇第三章の砂の街コルドデザートの
セバラ砂漠にあったマムナック遺跡に於いて
あのランス・テラモーノを追って来た裏帝軍
の刺客として登場していた。
其のスネイクを睨み付ける様に鋭い眼で見て
居るのは死蜘蛛狂天リゼア・ゴードトプス。
リゼア・ゴードトプス。
彼は第五篇第三章の森の街フォレストールに
在る孤児村ピースハウスへと訪れていた時に
シェリーの命を狙って現れレザノフとの死闘
を繰り広げた際に登場していた。
今になって死蜘蛛狂天と裏帝軍の幹部が此の
火の街メルフレアの活火山ポルナダベトルに
現れた理由は恐らく同じだろう。
「何を宣おうと構わぬが…其の金が動いておるのでな…ガルフ・ジャッククォーツの身柄は某達に捕らえさせて貰おうか…」
「いやはや…目的は同じだと言うのに競争とは…。しかし其れも致し方無し…貴方達と私達では解り合えぬでしょうからね…」
話の通り、彼等はガルフ・ジャッククォーツ
という国家指名手配の男の足取りを追って
此の街まで訪れたのだが道中でバッタリと
遭遇してしまった様であった。
互いの組織が得る名声と富を考慮している内
は此処で何方かを先に行かせる等言語道断。
其の理由は此処に割いた両軍戦力が関係して
いる様で裏帝軍は幹部四人全員、死蜘蛛狂天
もリゼアの他に三大幹部のソフィアすら参戦
している背景もあるみたいだ。
実は此の二つの組織は全く同じ目的、更には
同じく政府からの依頼で此処へ訪れている。
政府としてもガルフ、ランス、ガスタを捕縛
する事にはもう背に腹は代えられず血眼とも
取れる探し方をしている様であった。
だからこそ、互いを牽制し合うのは当然。
スネイクは鞭を、リゼアは鉞を。
互いに武器を構えて川を挟んだ位置で陣取り
をし合い両者共に敵の動きを察っていた。
そして、両者がギフトのオーラを解放する。
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