RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第七篇第三章 狂宴の雪山

双つの護国

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「貴様等も先に行け。ガスタという男の足取りを追い尻尾を必ず掴め…」



ノエルの号令に声を発した後方の帝国軍隊士
達の隊列はアドリーの居る後方へと真っ直ぐ
に抜けて行こうと走り始める。

だが、其の瞬間だった。



「…はぁ…誰が通っていいって言ったの?任されたのは貴方一人じゃなくて此処に居る全員よ…?」



物の数秒で氷雪のギフトの特性“造形”に因り
空色の氷の弓を顕現させたアドリーは平野の
雪が降り積もる大地に弓を翳すと雪の中を氷
の矢が奔ったかの様に散り散りになり隊士達
其々の足元から矢が天へと射抜かれた。

地から天へ突如現れた空色の氷の矢の射抜き
に隊士達は其々何と一箭ずつで戦闘は不能の
状況に追い込まれてしまうのだった。



「……ほう。一撃ずつで仕留めたか…大佐等の佐官クラスならまだしも大尉以下の尉官クラスには荷が重かったという事。だが、甘いな…全員意識は飛んでいるが…まだ息があるぞ?」


「……其れでいいのよ。私達は護国師団…無駄な殺生なんかしない…だから矢から波動を流し込んで気絶して貰ったワケ…」


「護国か…。ならば何故俺達と歩みを共にしないのだ…?俺達帝国軍こそ此の国の地盤を支えるプレジア守護の第一人者だろう」


「……お生憎様…。貴方達が尻尾振ってる政府のお偉いさん達と私達じゃそぐわない物が多過ぎる…だから私達は別個の組織として、立ち上がったまで…」


「……驕りが過ぎるな。護国を掲げながら反乱軍として政府打倒迄を打ち上げたか…。所詮…貴様等の組織規模では政府打倒など夢のまた夢だ…」


「……はぁ…言い切れる根拠はそれだけ?」



アドリーから投げ掛けられた問い掛けに対し
ノエルはすっと集中力を高めて行くと平野に
積もる雪が逆巻き天へと昇ろうとする程の
竜巻の様な風を身体から巻き起こす。



「…根拠は…今から示そう。死に際に咽び泣き実感するといい…貴様は此処で俺が仕留める…!」



白花色(薄く青みのある白色)のオーラを纏い
疾風のギフトを発現させたノエルは腰元に
据えてあったポーチの様な入れ物から両手に
鉤爪を装備させると腰を低くして構える。

其れに合わせてアドリーも空色のギフトの
オーラを纏うと弓を前にして構えを見せる。

そして、ノエルが前へと踏み出した。

雪の大地に其の足跡はくっきりと残されて
居るがノエルは特性“静寂”を用いて音を消し
アドリーとの間合いを詰めて行く。

両手の鉤爪を地面に向けて身体を前に倒して
雪の大地を駆ける其の様は正に、狩人。

接近戦は拙いと感じたのだろう。

アドリーは特性“造形”に因って周囲に氷の道
を速攻で造り上げて行くと雪の結晶の様な形
の台座まで造り上げ其の上に身を乗せる。

そしてまるで雪の平野にジェットコースター
を用意したかの様な氷の道が完成し其処へと
雪の結晶の台座ごと乗り上げて行った。


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