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第七篇第三章 狂宴の雪山
帝国軍少将 ノエル・スティング
しおりを挟む「…もうっ…エルヴィスは関係ないでしょ…」
「とか言ってぇ。顔真っ赤っかだよっ?アドアドぉ。まるでトマトみたーいっ」
「…はぁ…トマトって。もう少し可愛いもの無かったの…?…イチゴとか…って違う違う…ああもう…そうじゃないし。トマトに失礼だし…」
「あはは。なに一人でブツブツ言ってるの?陰気な人だと思われるよっ」
一つだけ注意を入れておこう。
リズの言動で困り顔を続けるアドリーも重々
承知の事実なのだが所々失礼な物言いのリズ
だが全くと言っていい程、悪気は無い。
天然の毒舌、更には何故だか許してしまい
たくなる此のフワフワとした感じ。
本人が貶そうと思っておらず、しかも其の上
で相手が困っている事にすら気付けていない
という事から反乱軍ではお決まりの光景。
リズは反乱軍という組織のメンバーが大好き
だが中でも同性のアドリーには特になついて
いる事もあり姉と妹の様な関係なのだろう。
現状を整理するととある目的の為に氷の街
ケベルアイスに在る雪山エルブルーム山へ
入ってきた反乱軍はアドリーとリズ。
そして、逸れたもう一人のメンバーと合計で
三人は居る様だが、かつての風の街ヴェント
で勃発したロジャーズグリフの戦いでも最中
に一人迷子になっていたなと思い返される。
更にはロードが反乱軍ガルダを初めて見た時
の感想からするとやはりメンツが濃い。
特にしっかり者の立ち位置に居るアドリーの
気苦労は簡単には絶えそうも無い組織だ。
其処へ一つの隊列が現れる。
先頭を闊歩するのは小紫色の羽織を羽織った
国王直下帝国軍の幹部クラスの男の姿。
其の背後には二十人程の帝国軍隊士達が列を
成してアドリー達の元へと歩みを進めた。
其の人間達の姿を確認してアドリーとリズは
其方へと向き直り敵対心を見せつける様に
帝国軍隊士達へ睨みを効かせた。
「…貴様達もあの男を狙って来たか。だが相済まぬ…。標的は俺達が仕留めさせて貰う。邪魔はするな…反乱軍…」
先頭に立っていた白髪で揉み上げ辺りを長く
伸ばしたサラサラの髪の男性が口を開く。
帝国軍の羽織の下に厚着のコートを着込んで
は居るが普段は袖の無い韓服を着用しており
腕には黒のリストバンド腰元にも黒い布を
きつく締め上げる様に巻いた細身の男性。
反乱軍アドリーとリズの睨みに応える様に
帝国軍の男性は其の特徴的な赤い瞳を光らせ
彼女達は圧迫し威圧していた。
「……はぁ…確か…帝国軍少将ノエル・スティング…。また話が通じなさそうな相手が来たわね…リズ…先に行って先ずはウチのもう一人の幹部を探しておいて…勘は当たる方でしょ?」
「うん、リズの勘はすごいけどっ。アドアドはぁ、一人で大丈夫なのっ?」
「…はぁ…舐められたモノね…任せて?直ぐに私も追い付くから…」
「うんっ、わかったっ。あんまり無理してグロテスクな死体にならないよーにねっ」
リズは幸先悪そうな言葉わや笑顔で残して
悠々と手を振りながら先へ向かった。
勿論、悪気は無い。
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