RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第五編第二章 立ち上がる若き新芽

失念していた目的

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U・Jが放った十手の攻撃に纏われていた
流水のギフトの特性“連撃”を双刃刀で防御
したサーガは背面宙返りを決めて後ろへと
距離を取ると仕切り直そうと構える。



「…一撃入れたら…俺の勝ちッス!…って言い張って。覚醒すんのはあんたッス!って半ば強引に進める気だったんスけどね…」


「…んあー…お互い手ェ抜いてやってっから躱したりするのはちょっと楽だしな…めんどくせぇけど別の方法にするか…」


「別の方法ッスか…因みにどんな…?」


「……ジャンケンだ」


「なら最初からジャンケンで決めりゃ良かったッス…」



サーガが肩から力を脱力させて呆れた様に
言い放った言葉にU・Jは「ああ、確かに」
と言いたげな様に手のひらをポンと叩く。



「…はぁ…結局…上手い事乗せられてるッスわ…さっさとジャンケンでも何でも決めるッスよ…」


「おし。ならついでに昼飯の奢りも掛けるかあ…行くぞー?じゃーんけーん……」


「待った待った!何で夕飯まで増えるッスか…しかも前半だけ早口で言いやがって…せこいッスよ…アンタ本当…」


「仕方ねぇだろ…?アイツ等が飯食ってんの見たら腹減って来てよ…俄然ミートパイが食べたい!」



子供みたいにロード達を指差したU・Jの
言葉にサーガはどんどん苛々を重ねて行く。



「其処はサンドイッチにするッス…何でミートパイに変わるッスか…」


「ミートパイは最高だろ?」


「もう…ミートパイ…ミートパイ…五月蝿いッスよ…ん……?ミート…パイ?」



何かに引っ掛かりを感じたサーガは顎に手を
当ててブツブツと何かを発しながら右に左に
右往左往、うろちょろと動き回る。



「何だ…あの人…手合わせ止めて何か考え事してんぜ?」


「どうされたんでしょうか…?」



全員の視線を集めたサーガは当初より何かを
失念している事を感じては居たのだが其れが
思い出せずにおり、何故今日はピースハウス
へとわざわざ出向いてやって来たのか。

其れは何か用があったからに他ならない。

U・Jの自由気ままさに振り回された事で
きっと其の用件を忘れてしまったのだろう。

だが、サーガは頭の中でごちゃごちゃに
なっていた案件が段々と整理させ一つの
答えに向けて線が繋がりつつある。

キーワードは、ミートパイの「パイ」の文字
と頭の中に浮かんだU・Jの自由気ままさに
振り回された、という自己分析のワード。



「(あと一息ッス…パイ…自由気まま…振り回される…U・J…………あああッ!!!!)」



心の中でハッと何かを思い出したサーガは
U・Jを見て完全に其の事を思い出す。

そして、今度は口に出してU・Jに其の事を
問い詰めて訊こうと詰め寄って来た。



「忘れてたッス!!U・Jッ!!アンタ…無線はどうしたッスか!?」


「…は?無線…そんなモンうるさくてめんどくせぇからバギーの中で電源切ってあるに決まってんだろ…」



呆れて眩暈がした様にサーガはよろめく。

そしてU・Jに指を突き刺した。
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