RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第五編第二章 立ち上がる若き新芽

振り回される部下

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「パイロが連絡取れなくて困り果てて俺に連絡した来たッス!!其れを言いにきたのに…アンタのペースに呑まれて忘れてたンスよ…パイロ…ごめんッス…!」


「P・Jがッ!?」



何やら慌ててバギーへと走って戻ったU・J
は無線の電源を入れて直ぐに連絡を入れる。

そして無線が繋がった。



「おいッ!P・Jどうかしたのかッ!?」



切羽詰まった様に声を上げたU・Jの姿に
ロード達も其の返答に注目をしている。

すると、無線の奥から声が届く。



「…………U・Jッ!!昨日から電源切ってんじゃないよ…無線の意味無いだろうがッ!」


「悪ィ、で、何があった!?」


「…何か勘違いしてませんか?…はぁ…まあいいですよ…頼まれた書類全部終わってます…いつも通り…「うん、いいよ」って言って下さい…」


「…うん、いいよ…」


「はい、此れでやっと上に提出が出来ます。U・J…仕事しなくても構いませんから…私達の仕事の邪魔はしないでくださいね?「許可」だけ貰えればいいので。それでは…」



無線は向こうから切られてしまった。

U・Jは振り返ると頭の後ろに手を置いて
舌を出して色黒で解り難いが頬を赤らめた。



「えへへ、怒られちった…!」



心配そうに見ていたロード達は一斉に
ズッコケでまるでコントの一幕の様だった。

さて、おさらいしよう。

“P・J”本名はパイロ・ジョバーニ。

U・Jが一応「指揮」する帝国軍第九支部の
副支部長にして第九支部の実質的に支部管理
を務める本当に仕事の出来るU・Jの部下。



「U・J…アンタ…まさかとは思うッスけど書類チェックとかも全部パイロに任せて申請許可だけ中身見ずに…口頭でしてるッスか…?」


「…うん。いいよって言えば後はP・Jがやってくれっからさ…!」


「呆れたッス…アンタね…何処の支部もパイロみたいに仕事出来るのが揃ってるワケじゃ無いッス…感謝を常にしなきゃダメッスからね…?」



サーガからも呆れ顔で忠告を受けるU・Jは
頭の後ろに手を置いたまま未だ笑っていた。



「久しぶりに聞いたな。パイロさん」


「相変わらず…U・Jには手を焼いてるんだねぇ…」


「パイロ殿とは、何方ですか?」



懐かしそうに話すシャーレとポアラの会話に
パイロとは会った事の無いレザノフがハテナ
を浮かべて問い掛けて来た。



「U・Jの部下らしいんだけど、仕事は全部任せっきりみたいで苦労してんだよ…その人…」


「き、気の毒ですね…」



レザノフの問い掛けに答えたロードもパイロ
に同情する様に呆れ顔で話すとシェリーも
トーンを合わせて話に入って行った。



「元気そうだけど…大変そうだな…パイロさん…」


「さっきの声のトーンも見た中で一番怒ってたかもねぇ」


「だから…U・Jも少し面を食らった様に笑って照れ隠ししてるんじゃないか?」



ロードとシャーレ、ポアラは始まりの街が
ある方向の空を眺めてパイロを慮っていた。



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