RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第三編第三章 ロジャーズグリフの戦い

反乱軍幹部ギルドvs帝国軍少将ドーマン

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「…何だ?黙りこくりやがって…」


「…貴公は…仲間と無線等で繋がっていないのか…?」


「無線?…あー…ああゆう小難しいモンは、俺の理解の範疇から外れてらぁ…」



ギルドの言葉にドーマンは気力が抜けた様な
白けきった表情を浮かべて言葉を続ける。



「拙者の同僚から入った情報では…反乱軍の幹部も二人程アジト内に突入したと聞いたが…?」


「………え?」



まだ理解が及んでいないのだろう、ギルドは
真顔でドーマンの言葉にほんの少し固まる。



「…逸れたのは貴公…では無いのか?」


「………え?」



少しずつ理解が追い付いたのだろう。

ギルドはまるで岩かの如くカチカチに
固まると、其の儘受け身も取らず背中から
密林の大地にドサッと大の字で倒れ込む。

そして、煉瓦橋を挟んで沈黙を続ける
ドーマンが見守る中すくっと立ち上がると
段々と湯沸かし器の様に体内の血が沸騰する
かの様に顔を真っ赤にしていきり立つ。



「アイツらァァ…俺を置いてったのか…戦いって言ったら祭りだろ?祭りって言ったら俺だろォ!?ありえねぇェェ!!!」


「…あ…拙者はもう行くぞ…?」



地面に向かって顔を真っ赤にして叫ぶギルド
の行動に愛想を尽かした様にドーマンは
其の場から去ろうと一言声を掛けると
とんでもない目付きでギルドが睨んで来る。

そして其の目付きが段々と和らいで行くと
ギルドはドーマンの腰元を見据えて小さく
笑みを浮かべて背筋を伸ばして口を開く。



「いや…待て。其の腰のモン…大業物の一振り…刺徹波統してつはとうだろ?…はっ…結局の所俺はツイてるじゃねぇか…ソイツを渡すついでに俺と戦えッ!!」



ギルドは笑みを浮かべたどすどすと重たい
足音を鳴らして煉瓦橋の中央に立ち塞がる。



「…貴公は…追い剥ぎ橋の刀狩りのつもりか…それではまるで只の盗賊ではないか…」



呆れ加減はとっくにメーターを振り切って
いるドーマンは苦笑いを浮かべて気力の
抜けたツッコミをかまして肩を落とす。



「御託はいらねぇ…。テメェ強いんだろ…なあ?俺と戦えェ!」


「ご、御託か?真っ当だと思うが。今回は革命軍の捕縛が目的だったが…貴公等反乱軍も反逆の徒には変わらぬ。未熟者の拙者で良ければ御相手致そう」


「はっ…グダグダと長ェんだよ!おらっ、余所見すんなよォ!?」



ギルドは太刀を鞘から抜刀すると巨大な
刀を片手で易々と振り上げ、煉瓦橋の上で
大きく跳躍するとドーマン目掛けて太刀の
強烈な一撃を振り下ろす。

大地を割る様に着地した其の太刀と身体には
既に紫檀色(暗く深い赤みのある紫色)の
大地のギフトのオーラが荒々しく纏われる。

身軽に其れを背後へのバックステップで
躱したドーマンは長刀を抜刀し構える。

するとドーマンも密林を揺らすかの如く
金糸雀色(少しくすみのある黄色)の
鉄鏡のギフトのオーラを纏い集中した。



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