RISING 〜夜明けの唄〜

Takaya

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第三編第三章 ロジャーズグリフの戦い

密林内の彷徨い人

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突如として接近戦を挑むヴィスタの攻めに
アレスはカリスティックを器用に使った
棒捌きで防御に図ると黄色い葉を足元から
発生させてヴィスタは此れを視界を奪う
目眩しの陽動として用いてきた。



「…ん?…な、なにこれ…」


「ヘイッ…それはデコイでこっちが本命さっ!」



葉による目眩しで背後に回ったヴィスタは
低い体勢から錫杖を横に薙ぎ払う。

背後からの殺気に気付いたアレスだったが
何とか防ごうと構えたカリスティックごと
錫杖が脇腹をヒットし吹き飛ばされる。



「ミー達のビッグなドリームの為なら今はユー達に逆らう事も恐れない…ストップなんてもってのほか…ミー達はワールドにアイズを向けて此の時代を生き残るのさっ」



また大きく両手を広げて高らかと発言する
ヴィスタの言葉を吹き飛ばされて片膝を
付いたまま聞いていたアレスは緩りと
立ち上がると痛みを堪え武器を構える。



「…素晴らしいと思います…その思想の大きさは…。でもだとしたら敵は強大…僕だったら無理だって諦めますね…」


「諦めるのはイージー…立ち向かうのはデフィカルト…さあ、どっちがミーを愉しませるエンターテイメントかな…?」



ニヤリと微笑むヴィスタと冷めた目で呆れた
雰囲気を醸し出す両者が目を合わせる。




場所は変わり、風の街ヴェントの密林地帯
ロジャーズグリフを駆け抜ける漆黒の団服の
上に黒と紫の花吹雪の羽織を肩に掛けて
大刀を携えた大男の姿が有り。

其の大男は重たい足音で地面を揺らしながら
足場の悪い密林をきょろきょろと首を向けて
行き先を変えては走り続ける。

そして密林内を水量豊かに温和とも表現
出来そうな程緩やかに流れる川の上の
アーチ状の煉瓦の橋に辿り着き立ち止まる。

すると、其の大男は髪をガシガシと掻いて
腕を組むと、ひっそりと静まり返り夜の帳に
包まれた密林をただただ見渡して口を開く。



「小娘も…副長も…アドラスの親分さんも…どこ行っちまったんだ?…たくっ…世話が焼けるぜっ…!」



此の男、現在四十六歳にして2メートル近い
巨躯に体重三桁を超える巨漢の大男。

護国師団反乱軍幹部ギルド・ラーケイド。

本人自身が逸れ、迷子という自覚無し。



其処に夜闇を掻き分ける様にギルドから
見てアーチ状の煉瓦橋の正面から姿を現す
小紫色の羽織の男の姿有り。



「貴公は…反乱軍のギルド・ラーケイドだな…。反乱軍は革命軍のアジトに向かったと聞く…貴公は何故こんな所に居る?」


「…あ?テメェは…確か。帝国軍だな…」



ギルドの目の前に姿を見せたのはアレスに
続き別の入り口から革命軍のアジトを目指す
帝国軍少将ニッキー・ドーマンだった。



「…こんな所でってウチの連中が逸れたから探してんだよ…」



腕を組んで言い放つギルドの言葉に
ドーマンは首を傾げて頭の中で言葉を
咀嚼しながら沈黙を重ねて行った。



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