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第二編第二章 狙われた姫の命
護衛隊隊長vs反乱軍副長
しおりを挟む撃ち込まれた弾丸を軽々と避けて行く
反乱軍副長ウィルフィン・フィンドール。
其れも想定の範囲内として間合いを
守りながら戦うレザノフ・スタールマン。
反乱軍副長とバルモア国護衛隊隊長。
お互いのプライドを賭けた戦いは
更にヒートアップして行く。
二階にはシェリーが居る。
レザノフにとっては、シェリーを起こす事
無く何事も無かった様に朝を迎えたい。
不安を煽る事はしたく無い。
其の想いを胸に目の前に迫るウィルフィンの
攻撃を防ぎ、攻勢に転じる。
「姫が気になるか…?レザノフ・スタールマン…!」
「ええ、それは勿論。私は姫様の執事ですから」
「其れは今夜で終わりだ」
ウィルフィンの攻めが一層激しくなる。
そんな折、二階の一つの部屋の扉が開く。
眠気まなこを擦りながら二人が戦う中庭を
覗く事が出来るバルコニーへ部屋から
出た少女が顔を覗かせる。
「…ぅ~ん…レザノフー?どうしたの…?」
レザノフにとっては嫌な状況を迎える。
「姫様ッ…!此処は危険です…中へ…!」
「見つけたぞ…。シェリー・ノスタルジア…!」
ウィルフィンの視線がシェリーに向いた事で
レザノフは最悪のパターンを回避する為に
一度背を向けて、二階のバルコニーに向けて
地面を蹴って跳躍する。
其れはウィルフィンにとって最も望んだ
最高のパターンでもあった。
レザノフにとっては、シェリーの命と安全が
最優先、だが、ウィルフィンにとっては
先ず此のレザノフの動きを封じたい。
真っ先にシェリーを狙うと予想した
ウィルフィンの動きはレザノフの其れとは
真逆の行動を取っていた。
ウィルフィンが振り切った刀から放たれた
のは一陣の黒い旋風。
其の風の一撃がレザノフの背中を襲った。
痛みを堪えながらバルコニーへと降り立った
レザノフは、状況を飲み込めていない
シェリーに近付き離れる様に伝える。
「残念だったな、其の願いが叶う道理は既に消え失せた」
レザノフの背後に降り立ったウィルフィンは
しゃがみ込んでシェリーに向かっていた
レザノフの脇腹を黒い風を纏った刀で
切り裂き、風の勢いで吹き飛ばした。
受け身を取りながらも其の勢いに負けて
吹き飛ばされたレザノフはガラスを突き破り
とある一室の扉を破って、倒れた。
「レザノフ…ッッ!!」
腰を抜かして尻餅をついたシェリーの
目の前にはレザノフの返り血を浴びた
ウィルフィンの姿があった。
緩りと刀を突きつけると、ウィルフィンは
シェリーの頭上に刀を振り上げる。
満月を背にウィルフィンは怯えて涙を
流すシェリーに向けて口を開く。
「多くの民の積年の恨み、今此処で果たす…覚悟!シェリー・ノスタルジア!!」
目を瞑り、手を咄嗟に出したシェリーに
向けて、ウィルフィンの凶刃が迫り来る。
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