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第二編第二章 狙われた姫の命
闇夜の暗殺者
しおりを挟む撃ち込まれた弾丸をひらりと躱すと
反乱軍の副長と呼ばれた男はレザノフとの
間合いを一気に詰める。
「普段は温厚な執事を演じている様だが、バルモアで名を馳せ、王家直属の護衛隊隊長を任された貴様の実力、見せて貰うぞ」
反乱軍副長の振り上げた刀を避けると
後方にバックステップしながらレザノフは
再度弾丸を撃ち込む。
其れを刀で弾き、接近戦に再度
持ち込もうと地面を蹴る。
レザノフも負けてはおらず、軽い身のこなし
を披露して、侵入者の背後を取る。
「其の名を知っているとは驚きですね。反乱軍副長…ウィルフィン・フィンドール殿…!」
「光栄だ、レザノフ・スタールマン…だが今夜で貴様等の暗躍は幕を下ろす」
「いいえ、そうは行きません…!」
ウィルフィンと呼ばれた反乱軍のナンバー2
副長の座に座る男から明かされたレザノフの
バルモア王家に於いての肩書き。
平時は執事を務め、シェリーに仕える貴人。
だが、其の正体はバルモアに於いて数々の
武功を修めて王家直属の護衛隊に所属。
緊急時に於いては護衛隊隊長の肩書きを
発揮し敵を討つ強者だった。
対するウィルフィンも若くして反乱軍を
起こし、其の多大なるカリスマ性で民意
からも支持を受ける総長の懐刀。
ウィルフィンを警戒するレザノフ。
レザノフを最難関と認めるウィルフィン。
どちらも戦い方にその本音が現れる。
レザノフの拳銃から放たれた弾丸を
背中ごしに察知して横に躱すと
またも低い姿勢で刀を構えるウィルフィン。
詰められた間合いの中でレザノフは
ウィルフィンの足元に弾丸を撃ち込むと
ウィルフィンは空中に舞い上がり回避。
「貰った…!」
「それは、どうかな…」
空中での身動きは取れないと勝機を得たと
判断したレザノフがウィルフィンを目掛けて弾丸を撃ち込むが、またも刀に弾かれる。
ウィルフィンの動体視力は不利と言われる
刀対銃の対戦をも軽々と覆して行く。
地面に降り立ったウィルフィンは
レザノフの腹部を目掛けて横に愛刀と
読んだ刀、宵闇で横に薙ぎ払いを掛ける。
拳銃の側面で其れを弾いたレザノフは
一度間合いを開ける為に背後に飛んだ。
「見事…!だが、其れは盾では無い。無理はしない事だな」
「御忠告どうもありがとうございます。ですが、私の命に代えても姫様の命は御守りせねばなりません、無理も承知なんですよ」
「捨て身か…だが、それだけでは守り切れる道理にはならない。俺の手で必ず姫の首は獲る…!」
「ですから、私が其れをさせません。私の戦う理由は姫様の御命を御守りし、母国の未来を繋ぐ事、其れだけですから」
「良かろう…レザノフ・スタールマン…!」
戦いの最中、屋敷横の広い庭へと
場所を移して居た二人、激突は止まらない。
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