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第一四一話 シャルロッタ 一五歳 魔剣 〇一
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「……貴方……もうお休みになったほうが」
「あ、ああ……すまない、起こしてしまったか」
アマデオ・コルピクラーニ子爵は魔導ランプの少し暗い灯のなか、かなり難しい顔をしながら手紙を見ていたところに声をかけられ、そこでようやくかなり長い時間悩んでいたことに気がつき少し疲れた目を擦るように深くため息をついた。
コルピクラーニ子爵家は王都と辺境を結ぶ土地に位置しており、派閥としてはやや中立寄りの第一王子派という認識ではあるが、小さな街道沿いにある低位貴族として第二王子派を刺激しないように極めて柔軟な交渉を続けてきた家でもある。
夫人であるセルマ・コルピクラーニは心配そうな顔で夫の顔を見ているが、王都で第一王子派の支配が始まった後から複数の手紙が彼らから送られてきており、その対応と返信……さらには戦争になるのではないか? という領民からの不安や陳情なども増加傾向にあり、彼は憔悴しきっていた。
「……第一王子派の方はなんと?」
「第二王子派の首魁であるインテリペリ辺境伯家との戦の際には軍を出せ、というお話だ……私は戦争では中立を保ちたいと思っているし、もし断ればどのような報復がくるかもわからん……」
「アンダース殿下は本当に弟君との戦を考えているのでしょうか?」
「ああ、残念ながら正当性を誇示するためにもどこかで戦いを仕掛けるしかないだろうな……今国王陛下がご病気とはいえ、殿下が代理ということになっているが……本当に彼がいうことが正しいのか……」
「クリストフェル殿下は私もお会いしましたが、非常に利発そうな青年でしたわ……あの方が反乱など……」
「だが現状クリストフェル殿下はインテリペリ辺境伯家を頼って落ち延びられた、王都はアンダース殿下のものだ」
コルピクラーニ子爵だけではないが、王国内のあらゆる貴族のもとに第一王子派と第二王子派両陣営からの檄文が送られている。
第一王子派曰く、第二王子クリストフェルとインテリペリ辺境伯家、サウンドガーデン公爵家を中心とした第二王子派は王国に弓を引く大罪人である、正統なる王家を守るために味方をせよと。
第二王子派曰く、第一王子アンダースと第一王子派は不当に権力を簒奪しようと目論み、クリストフェルへと危害を加えようとした、第二王子派は結束し第一王子派の横暴に備えよ、国王陛下をお助けするのだ、と。
現状のパワーバランスは第一王子派に有利に傾いているが、大規模な軍の展開などは行われていないため実際の戦闘になった場合どうなるかがわからない。
「国王陛下が健在であればな……兄弟の諍いをお止めすることもできたのだろうが……」
彼の領地は貧しく、軍を出せと言われても最大で二〇〇人程度の歩兵を供出できる程度で、戦争に駆り出された場合に前線で戦うほどの余裕があるとは思えない。
後方支援などをするとしても第一王子派の軍を養えるような拠点を持っていない……はっきり言えば役立たずになってしまう可能性が恐ろしく高く、どちらに味方してもあまりいい未来が見えるとは思えないのだ。
子爵家は長きにわたって様々な貴族家の寄子としての生活を享受している……先代からの繋がりで第一王子派に属する貴族との関係性が深いが、それでもインテリペリ辺境伯家との繋がりも全くないわけではない。
「そういえば……辺境の翡翠姫はまだ見つかっていないとか?」
「らしいな……彼女がうちの領地を通るとは考えにくいが、もしいたとしたらその対応も考えねばならん……」
「どちらに渡すかで我が家の運命も決まってしまいますわね……」
どちらからともなく深くため息をつく……できれば自分の領地にはいてくれるな、という気持ちでいっぱいだが、往々にしてこういう場合は最悪の予想というのが的中してしまうものなのだ。
考えたくないが……領地を防衛する衛兵隊には、もしシャルロッタ・インテリペリ辺境伯令嬢とその一行がいた場合は「丁重に扱うこと」を命じている。
とはいえ、その命令がどこまできちんと履行されるかどうか……不安でしかない、特に第一王子派に近しい息子が指揮をとっているのだから。
「……頼むから大事だけにはなってくれるなよ……息子よ……」
「で、地図を見た感じだとコルピクラーニ子爵領を通過して、一度街で休んでそこから辺境伯領入りというのが望ましいと思います」
馬車を走らせながらエルネットさんが地図でコースを指差しながら、この後の行程を説明していく……コルピクラーニ子爵家は第一王子派に味方している貴族だが、インテリペリ辺境伯家とも関係がある家で農産物の交易などで何度か子爵本人と顔を合わせたことがある。
金髪のほんの少し強面の貴族然とした中年男性で、領地がそれほど豊かではないため「私はかろうじて子爵なんだ」と自嘲気味に話してたっけ。
「コルピクラーニ家は味方してくれないでしょうねえ……」
「そう言えば子爵家の跡取りの……ディートリヒ様はシャルロッタ様へと求婚されたことがありましたね」
「……ああ……わたくしが一〇歳のころでしたわね……」
マーサの言葉で思い出したが、ディートリヒ・コルピクラーニ様はわたくしへと求婚をした過去があり、一度顔を合わせたことがある……なおその時わたくしは一〇歳だったが、彼は二五歳で……「こいつ……ロリ⚪︎ンだ!」って恐怖を覚えた記憶がある。
あまりに怖かったので完全に死滅した表情筋でロボットみたいな対応をしたわたくしを見たお父様が流石に年齢差があるので……とやんわりとお断りした経緯もあったりしたなあ。
まあ伯爵家の令嬢が子爵家に嫁ぐなんて、相当やばい事態にならないと起きえないってのもあるし、その頃からお父様は王家からのお話もあるって言ってたくらいだから、まあまとまらなくてよかったと思った、うん。
「あのろりこ……いいえ、ご子息のディートリヒ様にはあまり良い記憶がないのですが、子爵はまともそうな方でしたわよね?」
「強面ですが温厚そうな方でしたし、事情を話せば助力を惜しまない方かと思います……ただ第一王子派なんですよね……」
派閥に属している貴族であるため、優先されるのは派閥の論理……もしわたくしが助力を求めたとしても、彼はその立場上どうしても第一王子派に味方をしなきゃいけないだろうし、いろいろやってくれたとしてもひとの口に戸は立てられないため、どこかで第一王子派に知られてしまう可能性が高い。
そうなるとコルピクラーニ子爵家自体が危険に晒されてしまうわけで、そう言った不測の事態を避ける上でも彼らには助力をお願いできない状況になりそうだ。
「貴族の力関係ってのも大変ねえ……」
呆れ顔のリリーナさんだが、ぶっちゃけ貴族ではなくサラリーマンや会社の力関係などに置き換えてもこのあたりは同じことだと思うんだよね。
商売上付き合っている相手と、本来所属している会社の利益を考えた際にどちらを取るのか、という話でしかないわけで……その辺りをあやふやにした状態で不祥事が起きるとコンプライアンス的に問題があるって話になっちゃうわけだ。
貴族同士の繋がりはそれよりももっとドロドロしているし、パワハラセクハラなんでもござれの世界だからな……下手すると暗殺者を平気な顔して送り込んできたりもするわけでさ。
「まあ、子爵家に迷惑をかけるのは本心からして避けたいですわ、ディートリヒ様に会いたくないってのもありますけど……」
「すごかったですもんねえ……まだ幼いシャルロッタ様に熱烈な視線を送って、一生懸命手を握ろうとしてましたしね……」
「やめて、思い出すだけでわたくし死にたくなるわ……」
いや、ディートリヒ自身はいい男なんだよ、お父さん譲りの少し無骨な男性で、ガタイもいいし剣の腕もそこそこで、貴族の跡取りとしてはとても優秀だとは思うよ。
でも性癖というか明らかに幼女だったわたくしにあれだけの視線を送りつけるというのは正直怖かった……こいつマジでなんなんだよって思ったし、手を握る時の触り方がね、もう……。
背筋がゾクゾクとしてわたくしは思わず身を震わせるが、そう考えるとクリスってめちゃくちゃ紳士だし、わたくしに嫌なことを一切してこなかったな、やっぱ優良物件すぎますなあわたくしの婚約者は。
「でもまあ街に立ち寄るってことは相手に接触をする可能性も増えるわけでね、それは避けたいから変装は必要だと思うんだよね」
「そりゃそうでしょうね」
「ということで私リリーナお姉さんとマーサさんによるシャルロッタ様大改造計画を実行したいと思いまーす!」
リリーナさんとマーサはどこで調達したのか、複数の服と化粧道具が握られており、わたくしは思わず固まる……え? 大改造計画って今からやるの?!
リリーナさんは男性陣を手で追い払うような仕草をすると、馬車内に仕切りを立ててそこへ大きな布を使って物理的な壁を作っていく。
辺境伯領にいた頃はよくマーサ達の手によって着せ替え人形扱いされていたけど……リリーナさんまで参加してくるとは、これは一生の不覚、慈悲はない。
リリーナさんは衝立の向こうへと退避していく男性陣に向かって話しかけてから、わたくしの不安そうな顔を見てニンマリと笑う。
「ほらほら、男性陣はここに入ってくんなよ? 入ってきたら酷いことになんぞ……じゃあシャルロッタ様、私とマーサさんでいろいろお着替えさせちゃいますからねー、うふふ♡」
「あ、ああ……すまない、起こしてしまったか」
アマデオ・コルピクラーニ子爵は魔導ランプの少し暗い灯のなか、かなり難しい顔をしながら手紙を見ていたところに声をかけられ、そこでようやくかなり長い時間悩んでいたことに気がつき少し疲れた目を擦るように深くため息をついた。
コルピクラーニ子爵家は王都と辺境を結ぶ土地に位置しており、派閥としてはやや中立寄りの第一王子派という認識ではあるが、小さな街道沿いにある低位貴族として第二王子派を刺激しないように極めて柔軟な交渉を続けてきた家でもある。
夫人であるセルマ・コルピクラーニは心配そうな顔で夫の顔を見ているが、王都で第一王子派の支配が始まった後から複数の手紙が彼らから送られてきており、その対応と返信……さらには戦争になるのではないか? という領民からの不安や陳情なども増加傾向にあり、彼は憔悴しきっていた。
「……第一王子派の方はなんと?」
「第二王子派の首魁であるインテリペリ辺境伯家との戦の際には軍を出せ、というお話だ……私は戦争では中立を保ちたいと思っているし、もし断ればどのような報復がくるかもわからん……」
「アンダース殿下は本当に弟君との戦を考えているのでしょうか?」
「ああ、残念ながら正当性を誇示するためにもどこかで戦いを仕掛けるしかないだろうな……今国王陛下がご病気とはいえ、殿下が代理ということになっているが……本当に彼がいうことが正しいのか……」
「クリストフェル殿下は私もお会いしましたが、非常に利発そうな青年でしたわ……あの方が反乱など……」
「だが現状クリストフェル殿下はインテリペリ辺境伯家を頼って落ち延びられた、王都はアンダース殿下のものだ」
コルピクラーニ子爵だけではないが、王国内のあらゆる貴族のもとに第一王子派と第二王子派両陣営からの檄文が送られている。
第一王子派曰く、第二王子クリストフェルとインテリペリ辺境伯家、サウンドガーデン公爵家を中心とした第二王子派は王国に弓を引く大罪人である、正統なる王家を守るために味方をせよと。
第二王子派曰く、第一王子アンダースと第一王子派は不当に権力を簒奪しようと目論み、クリストフェルへと危害を加えようとした、第二王子派は結束し第一王子派の横暴に備えよ、国王陛下をお助けするのだ、と。
現状のパワーバランスは第一王子派に有利に傾いているが、大規模な軍の展開などは行われていないため実際の戦闘になった場合どうなるかがわからない。
「国王陛下が健在であればな……兄弟の諍いをお止めすることもできたのだろうが……」
彼の領地は貧しく、軍を出せと言われても最大で二〇〇人程度の歩兵を供出できる程度で、戦争に駆り出された場合に前線で戦うほどの余裕があるとは思えない。
後方支援などをするとしても第一王子派の軍を養えるような拠点を持っていない……はっきり言えば役立たずになってしまう可能性が恐ろしく高く、どちらに味方してもあまりいい未来が見えるとは思えないのだ。
子爵家は長きにわたって様々な貴族家の寄子としての生活を享受している……先代からの繋がりで第一王子派に属する貴族との関係性が深いが、それでもインテリペリ辺境伯家との繋がりも全くないわけではない。
「そういえば……辺境の翡翠姫はまだ見つかっていないとか?」
「らしいな……彼女がうちの領地を通るとは考えにくいが、もしいたとしたらその対応も考えねばならん……」
「どちらに渡すかで我が家の運命も決まってしまいますわね……」
どちらからともなく深くため息をつく……できれば自分の領地にはいてくれるな、という気持ちでいっぱいだが、往々にしてこういう場合は最悪の予想というのが的中してしまうものなのだ。
考えたくないが……領地を防衛する衛兵隊には、もしシャルロッタ・インテリペリ辺境伯令嬢とその一行がいた場合は「丁重に扱うこと」を命じている。
とはいえ、その命令がどこまできちんと履行されるかどうか……不安でしかない、特に第一王子派に近しい息子が指揮をとっているのだから。
「……頼むから大事だけにはなってくれるなよ……息子よ……」
「で、地図を見た感じだとコルピクラーニ子爵領を通過して、一度街で休んでそこから辺境伯領入りというのが望ましいと思います」
馬車を走らせながらエルネットさんが地図でコースを指差しながら、この後の行程を説明していく……コルピクラーニ子爵家は第一王子派に味方している貴族だが、インテリペリ辺境伯家とも関係がある家で農産物の交易などで何度か子爵本人と顔を合わせたことがある。
金髪のほんの少し強面の貴族然とした中年男性で、領地がそれほど豊かではないため「私はかろうじて子爵なんだ」と自嘲気味に話してたっけ。
「コルピクラーニ家は味方してくれないでしょうねえ……」
「そう言えば子爵家の跡取りの……ディートリヒ様はシャルロッタ様へと求婚されたことがありましたね」
「……ああ……わたくしが一〇歳のころでしたわね……」
マーサの言葉で思い出したが、ディートリヒ・コルピクラーニ様はわたくしへと求婚をした過去があり、一度顔を合わせたことがある……なおその時わたくしは一〇歳だったが、彼は二五歳で……「こいつ……ロリ⚪︎ンだ!」って恐怖を覚えた記憶がある。
あまりに怖かったので完全に死滅した表情筋でロボットみたいな対応をしたわたくしを見たお父様が流石に年齢差があるので……とやんわりとお断りした経緯もあったりしたなあ。
まあ伯爵家の令嬢が子爵家に嫁ぐなんて、相当やばい事態にならないと起きえないってのもあるし、その頃からお父様は王家からのお話もあるって言ってたくらいだから、まあまとまらなくてよかったと思った、うん。
「あのろりこ……いいえ、ご子息のディートリヒ様にはあまり良い記憶がないのですが、子爵はまともそうな方でしたわよね?」
「強面ですが温厚そうな方でしたし、事情を話せば助力を惜しまない方かと思います……ただ第一王子派なんですよね……」
派閥に属している貴族であるため、優先されるのは派閥の論理……もしわたくしが助力を求めたとしても、彼はその立場上どうしても第一王子派に味方をしなきゃいけないだろうし、いろいろやってくれたとしてもひとの口に戸は立てられないため、どこかで第一王子派に知られてしまう可能性が高い。
そうなるとコルピクラーニ子爵家自体が危険に晒されてしまうわけで、そう言った不測の事態を避ける上でも彼らには助力をお願いできない状況になりそうだ。
「貴族の力関係ってのも大変ねえ……」
呆れ顔のリリーナさんだが、ぶっちゃけ貴族ではなくサラリーマンや会社の力関係などに置き換えてもこのあたりは同じことだと思うんだよね。
商売上付き合っている相手と、本来所属している会社の利益を考えた際にどちらを取るのか、という話でしかないわけで……その辺りをあやふやにした状態で不祥事が起きるとコンプライアンス的に問題があるって話になっちゃうわけだ。
貴族同士の繋がりはそれよりももっとドロドロしているし、パワハラセクハラなんでもござれの世界だからな……下手すると暗殺者を平気な顔して送り込んできたりもするわけでさ。
「まあ、子爵家に迷惑をかけるのは本心からして避けたいですわ、ディートリヒ様に会いたくないってのもありますけど……」
「すごかったですもんねえ……まだ幼いシャルロッタ様に熱烈な視線を送って、一生懸命手を握ろうとしてましたしね……」
「やめて、思い出すだけでわたくし死にたくなるわ……」
いや、ディートリヒ自身はいい男なんだよ、お父さん譲りの少し無骨な男性で、ガタイもいいし剣の腕もそこそこで、貴族の跡取りとしてはとても優秀だとは思うよ。
でも性癖というか明らかに幼女だったわたくしにあれだけの視線を送りつけるというのは正直怖かった……こいつマジでなんなんだよって思ったし、手を握る時の触り方がね、もう……。
背筋がゾクゾクとしてわたくしは思わず身を震わせるが、そう考えるとクリスってめちゃくちゃ紳士だし、わたくしに嫌なことを一切してこなかったな、やっぱ優良物件すぎますなあわたくしの婚約者は。
「でもまあ街に立ち寄るってことは相手に接触をする可能性も増えるわけでね、それは避けたいから変装は必要だと思うんだよね」
「そりゃそうでしょうね」
「ということで私リリーナお姉さんとマーサさんによるシャルロッタ様大改造計画を実行したいと思いまーす!」
リリーナさんとマーサはどこで調達したのか、複数の服と化粧道具が握られており、わたくしは思わず固まる……え? 大改造計画って今からやるの?!
リリーナさんは男性陣を手で追い払うような仕草をすると、馬車内に仕切りを立ててそこへ大きな布を使って物理的な壁を作っていく。
辺境伯領にいた頃はよくマーサ達の手によって着せ替え人形扱いされていたけど……リリーナさんまで参加してくるとは、これは一生の不覚、慈悲はない。
リリーナさんは衝立の向こうへと退避していく男性陣に向かって話しかけてから、わたくしの不安そうな顔を見てニンマリと笑う。
「ほらほら、男性陣はここに入ってくんなよ? 入ってきたら酷いことになんぞ……じゃあシャルロッタ様、私とマーサさんでいろいろお着替えさせちゃいますからねー、うふふ♡」
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