23 / 82
第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている
01-7.※
しおりを挟む
「……無理にはしたくないんだが」
アルバートは気まずそうな声をあげる。
相変わらず、視線は逸らされたままである。
「は?」
ブラッドはそれが気に入らなかった。
昔から負けず嫌いだった。
出来ないだろうと決めつけられることはなによりも嫌いだった。
「なんだよ。それ」
強引に結婚させられたとはいえ、諦めることさえもできなかった恋が報われたのだ。
意識が飛び、所々、覚えていないとはいっても、初夜を拒んだわけでもない。
それなのにもかかわらず、無理をさせたくないというアルバートの言葉はブラッドの逆鱗に触れるようなものであった。
「俺が無理をしているとでも思ってんのかよ」
痛み止めの服用が必要となるほどに体中が痛く、倦怠感がある。
しかし、それでも無理をしているわけでも、我慢を強いられたわけでもない。
「お前の我儘を受け入れられないような奴だとでも?」
昨夜、抱かれていたとは思えないほどの強気な言葉だった。
「そうだな」
アルバートはブラッドの言葉を聞き、思い直したかのようにわざとらしく頷いた。
「ブラッドは俺のことが好きだよな」
「好きじゃない相手にこんな真似しねえよ」
「そうだよな。それなら、安心した」
アルバートはブラッドの後頭部に手を伸ばす。
「我儘を言ってもいいんだろう?」
逃げ道はない。
アルバートの言葉にブラッドは素直に頷きながら、内心、後悔をしていた。
……やばい。嵌められた。
ブラッドの負けず嫌いを知っているからの言動だったのだろう。
強引な真似をしたとしても、合意の上だったと納得せざるを得ないような状況を作るのはアルバートがブラッドを相手によくする方法の一つだった。
「口でしてくれるんだろ?」
アルバートの言葉に、ブラッドは覚悟を決めたような表情を浮かべた。
それから口を開き、再び、アルバートの陰茎を咥える。
先ほどと同じように舌で舐めてはいるものの、射精する気配はない。
アルバートは気まずそうな声をあげる。
相変わらず、視線は逸らされたままである。
「は?」
ブラッドはそれが気に入らなかった。
昔から負けず嫌いだった。
出来ないだろうと決めつけられることはなによりも嫌いだった。
「なんだよ。それ」
強引に結婚させられたとはいえ、諦めることさえもできなかった恋が報われたのだ。
意識が飛び、所々、覚えていないとはいっても、初夜を拒んだわけでもない。
それなのにもかかわらず、無理をさせたくないというアルバートの言葉はブラッドの逆鱗に触れるようなものであった。
「俺が無理をしているとでも思ってんのかよ」
痛み止めの服用が必要となるほどに体中が痛く、倦怠感がある。
しかし、それでも無理をしているわけでも、我慢を強いられたわけでもない。
「お前の我儘を受け入れられないような奴だとでも?」
昨夜、抱かれていたとは思えないほどの強気な言葉だった。
「そうだな」
アルバートはブラッドの言葉を聞き、思い直したかのようにわざとらしく頷いた。
「ブラッドは俺のことが好きだよな」
「好きじゃない相手にこんな真似しねえよ」
「そうだよな。それなら、安心した」
アルバートはブラッドの後頭部に手を伸ばす。
「我儘を言ってもいいんだろう?」
逃げ道はない。
アルバートの言葉にブラッドは素直に頷きながら、内心、後悔をしていた。
……やばい。嵌められた。
ブラッドの負けず嫌いを知っているからの言動だったのだろう。
強引な真似をしたとしても、合意の上だったと納得せざるを得ないような状況を作るのはアルバートがブラッドを相手によくする方法の一つだった。
「口でしてくれるんだろ?」
アルバートの言葉に、ブラッドは覚悟を決めたような表情を浮かべた。
それから口を開き、再び、アルバートの陰茎を咥える。
先ほどと同じように舌で舐めてはいるものの、射精する気配はない。
45
お気に入りに追加
716
あなたにおすすめの小説
転生令息は冒険者を目指す!?
葛城 惶
BL
ある時、日本に大規模災害が発生した。
救助活動中に取り残された少女を助けた自衛官、天海隆司は直後に土砂の崩落に巻き込まれ、意識を失う。
再び目を開けた時、彼は全く知らない世界に転生していた。
異世界で美貌の貴族令息に転生した脳筋の元自衛官は憧れの冒険者になれるのか?!
とってもお馬鹿なコメディです(;^_^A
そばかす糸目はのんびりしたい
楢山幕府
BL
由緒ある名家の末っ子として生まれたユージン。
母親が後妻で、眉目秀麗な直系の遺伝を受け継がなかったことから、一族からは空気として扱われていた。
ただ一人、溺愛してくる老いた父親を除いて。
ユージンは、のんびりするのが好きだった。
いつでも、のんびりしたいと思っている。
でも何故か忙しい。
ひとたび出張へ出れば、冒険者に囲まれる始末。
いつになったら、のんびりできるのか。もう開き直って、のんびりしていいのか。
果たして、そばかす糸目はのんびりできるのか。
懐かれ体質が好きな方向けです。今のところ主人公は、のんびり重視の恋愛未満です。
全17話、約6万文字。
敵国軍人に惚れられたんだけど、女装がばれたらやばい。
水瀬かずか
BL
ルカは、革命軍を支援していた父親が軍に捕まったせいで、軍から逃亡・潜伏中だった。
どうやって潜伏するかって? 女装である。
そしたら女装が美人過ぎて、イケオジの大佐にめちゃくちゃ口説かれるはめになった。
これってさぁ……、女装がバレたら、ヤバくない……?
ムーンライトノベルズさまにて公開中の物の加筆修正版(ただし性行為抜き)です。
表紙にR18表記がされていますが、作品はR15です。
illustration 吉杜玖美さま
謎の死を遂げる予定の我儘悪役令息ですが、義兄が離してくれません
柴傘
BL
ミーシャ・ルリアン、4歳。
父が連れてきた僕の義兄になる人を見た瞬間、突然前世の記憶を思い出した。
あれ、僕ってばBL小説の悪役令息じゃない?
前世での愛読書だったBL小説の悪役令息であるミーシャは、義兄である主人公を出会った頃から蛇蝎のように嫌いイジメを繰り返し最終的には謎の死を遂げる。
そんなの絶対に嫌だ!そう思ったけれど、なぜか僕は理性が非常によわよわで直ぐにキレてしまう困った体質だった。
「おまえもクビ!おまえもだ!あしたから顔をみせるなー!」
今日も今日とて理不尽な理由で使用人を解雇しまくり。けれどそんな僕を見ても、主人公はずっとニコニコしている。
「おはようミーシャ、今日も元気だね」
あまつさえ僕を抱き上げ頬擦りして、可愛い可愛いと連呼する。あれれ?お兄様、全然キャラ違くない?
義弟が色々な意味で可愛くて仕方ない溺愛執着攻め×怒りの沸点ド底辺理性よわよわショタ受け
9/2以降不定期更新
無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~
紫鶴
BL
早く退職させられたい!!
俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない!
はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!!
なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。
「ベルちゃん、大好き」
「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」
でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。
ーーー
ムーンライトノベルズでも連載中。
魔王討伐後に勇者の子を身篭ったので、逃げたけど結局勇者に捕まった。
柴傘
BL
勇者パーティーに属していた魔術師が勇者との子を身篭ったので逃走を図り失敗に終わるお話。
頭よわよわハッピーエンド、執着溺愛勇者×気弱臆病魔術師。
誰もが妊娠できる世界、勇者パーティーは皆仲良し。
さくっと読める短編です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる