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第二話 『悪役令息の妹』の元婚約者に追われている

01-6.※

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 しかし、支配されるかのような感覚をまた味わいたいとさえも思ってしまう。

 棒付きの飴を舐めるように先端を口に含み、舌で撫ぜる。

 慣れているかのような言葉とは裏腹、その動きはぎこちないものだった。

 ……これでいいのか?

 正しいやり方などわからない。

 女性にしてもらう行為の一つとして聞いたことのある知識を思い出しながら、ゆっくりと舐めていく。

 その刺激が心地よいのだろうか。

 ブラッドの唾液で濡らされた陰茎からは先走りが零れ始める。

 ……苦い。

 吐き出してしまいそうになる気持ちを抑え、ゆっくりと口を離す。

 それから昨夜のような硬さと大きさを取り戻したアルバートの陰茎を下から上に向かって舐める。

 顔を動かしながら舌で上下に舐め上げていく。

 ……視線が痛い。

 舌を動かしながら、上目遣いでアルバートの様子を窺う。

 ブラッドの仕草を一つも見逃すことがないようにと言わんばかりの表情で見つめていた。その顔には昨夜のように余裕がない。


「……ブラッド」

 ブラッドの視線に気づいたのだろう。

 アルバートは申し訳なさそうな声でブラッドの名を呼んだ。

「それでは、たぶん、イくのに時間がかかりそうだ」

 言いにくそうに声をあげる。

 その言葉を聞き、ブラッドは不服そうな表情を浮かべた。

「どうしろと?」

 他の方法を考えながら、ブラッドは低い声をあげる。

 いつもよりも声が低いのは機嫌が悪いわけではない。

 昨夜、喘ぎ声を上げすぎて喉が枯れているだけである。

「口でしてくれないか?」

「してるだろ」

「いや、そうではなくて」

 アルバートは言いにくそうに眼を反らす。

「なんだよ。言ってみろ。望み通りにやってやるよ」

 それに対し、ブラッドは陰茎を舐めるのを止めて言い返した。

 アルバートが言葉にしたわけではないものの、ブラッドには出来ないだろうと言わんばかりの視線を向けられていたことが不満だったのだろう。
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