僕のおじさんは☓☓でした

林 業

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中学校では普通だった。
限界集落かと思っていたが、一クラスではなく三クラスで、各クラス四十名ほどいる。

自己紹介をしているので当たり障りのない言葉を紡ぐ。
どうやら九割、小学校からの顔なじみらしい。
都会からの転入に興味はあれど、授業が始まるまでの間にかまってくる余裕はないらしい。

今日は午前授業のみ。
帰宅の準備をする。
「なぁなぁ。秋庭」
「何?」
同じクラスメイトの男子、確か名前は、佐藤、だったはず。
「今から山に行かね?」
「山?」
「おう。あそこの山」
窓から見える山を示す。
行きたいと言いかけて、ソウスケの言葉が浮かぶ。
(詳しい登山方法を説明をするまでは子供だけで山に行くな)
と、毎朝にように口を酸っぱく言われたのを思い出す。
「あー。いきたいけど」
「だよな」
「けどさ。俺、山に行くと迷子になるかもって言われてるから今回はやめとく」
「なんだよ。都会っ子は軟弱だな」
そんなことないと叫び返そうとして、飲み込む。

山登りやプライドより、レンの命ほど大事なものはない。

ソウスケはそう言ってくれた。
真剣に言ってくれたソウスケを裏切りたくない。
だって人は明日にだって死んでしまうのだと知ったばかりだから。

「うん。ごめんね。よそ者だから余計に慣れない場所を子供で行くなって言われてるんだ」
「ちぇ。つまんねーの。あ。リョウ。今から山に」
嬉しそうに駆け寄っていく、佐藤。
いいなぁと思いつつも、ソウスケを思い出して、お昼のお弁当何かな。と楽しみにする。



家でくつろいで、携帯ゲームを楽しむ。
電話の音にはいはいとソウスケが走っていく。
同じ部屋でテレビを見ていたキョウヘイを見る。
「うちに置き電話あったんだ」
「ある。でもほとんど鳴らない」
なんであるんだろうと思いつつも、ゲームを続ける。
「れーん。今いいか?」
「何?」
「赤里君たちが家に帰ってないらしいんだけど知らないかって」
「赤里?」
首を捻って、ソウスケを見る。
「誰だっけ」
「同じクラスメイトだぞ。赤里亮太、佐藤、圭佑。連道、彩花がいなくなったらしい」
「なんで僕のクラスに僕より詳しいの?」
「そういうもんだ」
「ふぅん?」
納得いかないまでも、知らないと口にしかけて止まる。
「佐藤君だったら山行くって言ってたよ」
「山?」
「うん。誘われたけどソウスケおじさんに山について今度教わるからって断ったんだけど」
「どこの山?」
「教室から見える山指してた」
「んじゃあ、鶯山だな」
「わかるの?」
「おおよそな」
そう告げて電話へと戻っていく。
「僕、止めたほうが良かったかな」
「ガキなんて言っても無駄だろ」
珍しくキョウヘイが口にして、でもと口にする。

「お前が行かないおかげであいつらの無謀な行動の行方がわかったんだから結果オーライ」
「でも見つかったわけじゃないし。もし別のところだったら」
頭をなでられ言葉を止められる。
「キョウヘイ。俺も見てくるから家任せていいか」
「わかった」
「僕も」
「お前は明日の朝頑張ってもらうから今日はもう休んで英気を養え。なっ?」
渋々頷き、寝室へ向かう。
「気をつけてね」
「おう。任せろ」
ベッドへと潜り込み、しばらく眠れずにベッドの上で何度も寝返りを繰り返す。

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